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第26話 シー・ラブズ・ユー

健司「“ウォルラス”はカーミット副司令官だ」


ベティス2世はその名を聞いた途端全身を身震いさせ、そして笑い始めた。


ベティス2世「なるほど。ククク…面白い。そう思うだろう?ローゼズ」


ローゼズはゆっくりと部屋に入ってきた。


ローゼズ「ええ、おっしゃる通りでございます。知っていますか?カーミットの過去の名を」


ベティス2世「なんだ?言っておくが、私を失望させるなよ?」


ローゼズ「カーミット副司令官はその昔、第一次合同探索の総指揮をとったポール司令官なのです」


ベティス2世はさっきよりさらに高く笑った。健司達はただ固唾を飲み見守ることしかできない。


ベティス2世「ローゼズ!やっぱお前は最高だ!ボーナスとして10億出してやる!」


ローゼズ「お気に召して頂いて何よりです。我が国王」


ベティス2世「そうだった!確かこいつらに用があって来たんだよな。好きに使え」


ローゼズ「ありがとうございます」


ローゼズはこちらを向き、声色を変え話す。


ローゼズ「それじゃ、ついてこい」


健司達は金魚のフンのようにローゼズの後ろを歩いていた。きっとロンリーハーツに関してのことなのだろう。健司は若干怯えながら歩く。


ローゼズ「ここだ。はやく入れ」


司令官室は豪華でとても広い。副司令官室とは比べられないほど贅沢な空間であった。壁には絵画と賞状がびっしりとついていて、床のカーペットと来客用のソファはとても肌触りが良く柔らかい。中でも目を引くのは机に置いてある薔薇だ。みずみずしく、見事な紅色であった。


ローゼズ「君達を呼んだのは他でもない」


ローゼズが椅子に座り、机に両足を乗せる。


ローゼズ「あの時の女をこちらに渡せ」


恐らくロベリアのことを言っているのであろう。理由はきっとあの科学力だろう。あの計り知れない科学力さえあれば中央政府は瞬く間に天下を取れる。もしそうなってしまえば今より最悪な世の中になってしまう。


健司「さあ?あいつがどこにいるかどうか俺らは何もわかりません。本当です。神に誓って言えます」


ビリー「だな。本当にしらねぇんだよ。カーミットも女も」


エリナ「同じく」


ローゼズは立ち上がり、窓から外を眺める。


ローゼズ「…面白い。挑戦状として受け取ろう」


ビリー「好きに探してろ」


ローゼズが花瓶に入っている薔薇を一つとり、胸ポケットに突き刺した。


ローゼズ「では、失礼する」


ローゼズが部屋から出た。


ビリー「何してんだ?俺らも行くぞ」


健司「何故そこにいるんだ?こっちに来ればいいじゃあないか」


エリナ「…何を言っている?」


健司「早く来いよ、レディ・マドンナ」


レディ「流石。よく分かったわね」


レディが部屋に入り、壁に寄りかかった。


ビリー「いつからそこにいた?」


レディ「一部始終を聞いたわ」


エリナ「それで、何のようなの?」


レディ「とりあえず、私の家まで来て」


健司「また付いていくのか…」


国王の妻ということだからきっと大豪邸なのだろうと誰もが思っていた。しかし、実際は真逆であった。レディの家は国から離れたフィクシング間近のオンボロ屋敷であった。


健司「ここか?」


レディ「えぇ、ここが私達の家」


エリナ「私“達”?」


レディ「そうよ。とりあえず上がって」


中は思った通り最悪な状態であった。廊下と階段は歩くたびにギシギシと音が鳴り、電気、水道、ガス全てを絶っている状態だ。健司達は今にも壊れそうな椅子に座る。


レディ「早速本題に入るわ。さっき言った私“達”ってことについてなんだけど、実は私には妹がいるの」


エリナ「なるほど、だからさっき私“達”と言ったのね。で?それがどうしたの?」


レディが机の上に多額の金を置いた。


レディ「これを妹に渡して来て欲しいの。恐らく今は隣国にいるから今すぐ向かってちょうだい」


健司「こんなに多額ってことは…妹さんは無職ってことか?」


レディ「いいえ。立派な仕事に就いているわ。とても誇らしく感じるくらい、ね」


ビリー「じゃあ、聖職者とかか?」


レディ「違うわ。もっと素晴らしいものよ」


健司「だとしたら…医者か?」


レディ「正解よ。国立病院にいるだろうから急いで行って来なさい」


全員が支度をしているとレディが悲しげに話し始めた。


レディ「小さい時からメンタルが弱い子でね、特に中高になってから鬱になって引きこもっちゃって…」


健司「俺もそんな感じでしたよ、引きこもってないけど」


レディ「だけど、ある日学校に行ったらいじめてきた人全員が休んでいたみたい。しかもずっと」


支度が終わり、健司はレディの方へ体を向ける。


健司「何か伝えるか?」


レディ「“お金は慎重に使いなさい。天から降ってくるもんじゃないんだから”って言ってちょうだい」


健司「分かった。それじゃ、行ってくるよ」


健司は三歩すると足を止め、レディに話す。


健司「じゃあな。“ディア・マドンナ”」


レディは一瞬びっくりとした。


レディ「…いつ分かったの?」


健司「妹さんの過去話で」


くたくたな足を無理やり引っ張り、再び進み始める。


健司「それじゃ、会いに行こう。カーミットとロベリアと」


健司は国があると思われる方角を見た。果てしない草原が眼下に広がる。


健司「プルーデンスに」













ディア・マドンナ


尊敬する人 母

夢 妹を幸せにすること

最近のマイブーム ファッション

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