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第17話 ゴッド・オンリー・ノウズ

その讃美歌は誰を讃えるのか。神か、国王か、中央政府か、それともペパー軍曹なのだろうか。


その答えは神のみぞ知る。


教会の扉が開く。古びているせいか、少し不快な音を立てながら開いていく。中から現れたのは見慣れてしまった軍服を着ている女。


ルーシー「…やはりあなた達でしたか」


健司はただ這いつくばることしかできない。何故か体に力が入らない。またしてもセットなのだろうか。でも何故?神父が何故こんなことをする?


ルーシーはスコープ越しでこちらを覗いている。避けようがない。


エリナ「お前は引っ込んでろ!」


ルーシーはエリナが撃った弾を軽々と避け、颯爽と逃げていった。


ビリー「健司!!大丈夫か!?貴様!!」


ビリーが大剣を構え、ジョーンズ神父へと向かう。エリナはルーシーを追いかけた。ジョーンズ神父はポケットに入れていた拳銃を取り出す。健司はただただ見ることしかできなかった。あぁ、なんと虚しいのだろう。何もできない自分が醜い。


ジョーンズ「…すまない。ひどいことをしてしまった。だが、これが最善な選択なのだ。許してくれ。健司君」


ジョーンズ神父は拳銃を頭に突きつけ、最後の誓いを捧げる。その姿は懺悔している時と酷似していた。


ジョーンズ「孤独な人々よ。彼らはどこから来る?孤独な人々よ。彼らの居場所は一体どこへ?」


帰ってきたエリナはその状況を見ると固まった。自分の命の恩人が自殺しようとしている。エリナは本能的に体が動いた。反射という方が正しいだろう。


ジョーンズ「誰も救われなかった」


あぁ、孤独な人よ。何故祈りを続ける?何の為に生きている?


トミー・ジョーンズ神父は教会で死に、彼の名と共に埋葬された。参列者は我々3人しかいなかった。


エリナは土で汚れたその手を拭い、教会から去った。


だが当然軍に見つかり、ロンリーハーツと鉢合わせになった。


ペパー「…忠告が聞こえなかったそうだな」


ビリー「とにかく、医者を呼んでください!軍曹。こっちには怪我人がいるんすよ!」


健司はビリーの背中で息を切らしながら意識を彷徨っている。


「医者!?呼んだ?私のことを!!」


意気揚々とテントの中から医者であるプルーデンスが出てきた。


プルーデンス「…あれ?あんた、健司?どしたの?」


健司「プルーデンス?何故ここに?いや、とりあえず治してくれないか?」


力無く垂れている右腕をプルーデンスに近づける。


ペパー「もういい、カイト。攻撃を許可する」


横にいたカイトは意欲が失せた返事をし、健司に近づく。


カイト「ルールは守らないとね?健司クン。制裁だと思ってね」


カイトが槍を軽く回し、こちらに近づいてくる。せいぜいこちらができることはまだ使える左腕で自分の武器を使い、防ぐことのみ。逃げることはできない。なぜならここは巨大な谷だからだ。フィクシングだからだ。一歩でも足を踏み間違えればあの世への乗車券が手に入る。


ガキン、と重々しい音を鳴らし、火花を散らしながらなんとか防いでいる。


エリナ「このクソ野郎共がッ!」


エリナが拳銃を構え、カイトに標準を向ける。


ビリー「やめろエリナ。これは決闘だ。邪魔するんじゃあない」


ビリーはひたすら健司を見守っている。腕を組み、ただひたすら見守っている。唇がわずかに震えている。


健司は防ぎきれているが、後ろは奈落。もう後にはひけない状況だ。だが、チャンスはわかっている。カイトが攻撃する時に槍を回す為、わずかながらに隙が生まれている。やるなら今しかない。そう思い、左腕を振り下ろそうとすると


カイト「知ってた」


カイトは槍の持ち手部分で健司を軽く押し、健司は深い闇へと沈んでいった。


頬を伝うる風はどこか暖かみを感じた。落ちても生きていた、という保証すらないのに何故か心の中では不安と恐怖よりも納得と安堵が多かった。エリナも同じ気持ちだったのだろうか。仲間が私の名を叫んでいる。今更遅いのに。はぁ、まったく。死ぬのに何を考えているのだろう。無駄に長い時間が刻々と消えていく。最後に脳内で音楽を流すことにした。それくらいしか娯楽がないからな。曲は…そうだな。ブルースにでもしようかな?それともフォーク?R&B?ロック?もういいや。1番好きなものにしよう。


なんだか時間が長く感じる。こんな長いもんなのか?それとも走馬灯的な感じで長く感じているだけでもしかしたら早く墜落しているかもしれない。


健司はこれまでの道のりを振り返っている。突如として転生?転移?し、フィクシングの事を知り、戦友達と会い、フィクシング内で色々とあり、本当に長くも短い道のりだった。たった少しのことなのに展開が早く多すぎて頭が混乱している。体も疲れ果てている。所々筋肉痛で痛い。まさに心身共に限界という状態だ。あぁ、考えるのも疲れてきた。少し休もう。少しずつ瞼を閉じ、呼吸を整える。激しい風なども今はもう感じない、今あるのは疲労感のみ。健司はそのまま眠りにつき、やがて地面へと激突した。






トミー・ジョーンズ神父


尊敬する人 神

夢 妻とのどかで平和な生活をすること

何故聖職者になったか 心を清らかにする為

最近のマイブーム 酒


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