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第16話 バラード・オブ・カーミット・アンド・ペパー

エドガー「“ウォルラス”はポールだ」


そのたった一言で全体に衝撃が走った。


健司「…今、なんて?」


ビリー「…まさかな」


デズモンド「…ポールって?」


健司とビリーは急いで拘置所から飛び出し、エリナに伝えた。


エリナ「ビリー?カーミット副司令官がうちらに用があるらしくて来てくれたよ」


エリナの前にはカーミットもといポールが立っていた。


ポール「あぁ、突然で悪いが話さなければならないことがある」


ビリー「うちらもあるぜ?あんたに話さなきゃいけないことがよ」


我々の眼に写っているのは“頼れる上司”ではない。苦労して見つけた真犯人、“ウォルラス”だ。決して良い印象ではない。その為、健司とビリーはポールを睨んでいる。


ポール「べディス2世から連絡があった。有効期限はあと3日とのことだ。何のことかわからないが急いだ方がいいだろう」


ビリー「それがよ…見たかったんだよ」


エリナ「私らが頑張って見つけたんだ、“ウォルラス”を」


ポールはその名を聞いた途端、一瞬全身が震え、体をビクッとさせた。額には微かに冷や汗が垂れている。


健司「その反応。まさか本当にあんただったとはな…」


エリナ「嘘…まさか、エドガーじゃないの?…」


何も喋れない。そのような空気にただ押しつぶされるだけであった。近くにいた人たちもことの重要さを知ったのか、世間話どころか小声すら出さなくなった。地獄のような状況の中、奥から男が近づいてくる。


ジョーンズ「おや、エリナではないですか」


エリナ「神父!」


エリナがジョーンズ神父の元へ近づいた。ジョーンズ神父は空気を読み、落ち着いた様子で話す。


ジョーンズ「何やら揉め事ですか?ならば教会が1番でしょう。ついてきなさい」


健司「ロンリーハーツのベースキャンプになってんじゃないのか?」


ジョーンズ「恐らく見つかっても大丈夫でしょう。なるべく見つからないようにしますが」


ジョーンズ神父はランタンを取り出し、万全の状態となっている。もちろん他の人たちも準備万端だ。


デズモンド「健司君!待ってくれ!」


デズモンドとモリーに呼び止められ、くるりと後ろを周りデズモンドたちの所へ向かう。


健司「えと、何?」


デズモンド「どうしても伝えたいことがあってさ…その…」


健司「早く言ってくれ。地味に急がなくちゃいけないんだよ」


モリー「今は…多分、言っても意味ないだろうけど…」


デズモンド「健司君は、“強さとは何か”わかる?」


あまりにもストレートで単純な質問に健司は頭を抱えた。確かに質問自体は簡単なものだ。だが、とてつもなく奥深い。

健司は悩み抜いた結果、答えが出なかったので適当に答えた。


健司「あー、武器?」


モリー「私たちが思うのは、結局は精神面だと思うの。特に大切な何かを守りたい。そう思えば人は強くなれると思うわ」


健司「…というと?」


嫌な予感がしてきた。


デズモンド「俺らが君に言うのもアレだけど…“愛は無敵”ってことさ」


健司は国王と会った時と同じ感情が芽生えた。あの独特な怒りを。


健司「それは煽りかな?彼女いたことない俺に対しての煽りかおい!?」


そのけたたましい怒声を聞いたビリーとエリナは即座に健司を引っ張っていった。


教会までの道のりを再び歩いていてあの頃を思い出す。

エリナが墜落し、今は失踪したバンガロウ・ビルと共に探していたあの頃を。今彼はどこで何をしているのであろうか?そしてヘルター達はどう思っているのだろう?確かにビルの背負う罪は大きい。だが、一理あるとも言える選択であった。彼は果たしてホワイトアルバムにとって背中を預けられる友になれるか、それとも憎むべき裏切り者として見るか。すぐに見つかると良いが。


複雑な感情が脳裏を駆け巡る中、いつのまにか教会の近くまでにいた。周りには軍の関係者ばかりだ。不思議なことにロンリーハーツは見当たらない。


ジョーンズ「そういえば健司君、これを」


ジョーンズ神父はそう言い、リュックサックを渡してくれた。これさえあれば遭難したとしても1週間は持つだろう。何故こんなタイミングなのだろうか?そう考えているうちにジョーンズ神父が進み出す。


ジョーンズ神父はあろうことか、そのまま突き抜けていった。しかも歩きで。何故か軍には見つかっていない。もはや意味がわからない。


ポール「…我々も行くしかないか」


健司、ビリー、エリナ、ポールは一列になってジョーンズ神父のように堂々と歩いた。不思議なことに誰にも見つからなかった。1人くらいこちらを見ていた気がするが大丈夫だろう。


教会の中は依然として変わらなかった。無駄に誇張している荘厳さ、朽ち果てた威厳、そこにあるのは神を讃えるものと静かさだけであった。


ジョーンズ「それでは、準備をしてくるので皆様方自由にしていて下さい。すぐに戻ります」


ジョーンズ神父はそう言い、物置へと颯爽と行った。エリナとビリーはポールを問い詰めている。健司はそのような気力がもうなかったので壁に飾っている絵画を見ることにした。

絵画というものは非常に繊細なものだ。画角、彩度、表現、題材それぞれにおいて全てが意味のあるものでなければならない。そのようなことを考えながら健司はひたすら絵画をじっくりと見ていた。


グサッ


小さいが生々しい肉を割く音が聞こえた。その音は教会中に響き渡り、ビリーとエリナがこちらを向いている。ポールはただ唖然としている。


ふと、右腕を見ると注射器のようなものが見える。中にはいかにも怪しい緑色の液体が腕の中に注ぎ込まれていく。そのまま顔をさらに右に向けるとジョーンズ神父がいた。これが神のお告げなのだろうか?それとも救いの手を差し伸べてくれているのだろうか?


ジョーンズ「 天と地は讃美歌を響かせる。すべてのケルビムよ、勝利を。私たちとともに歌え、セラフィムよ」


その讃美歌は誰を讃えるのか。神か、国王か、中央政府か、それともペパー軍曹なのだろうか。その答えは神のみぞ知る。








ルーシー・スカイ


年齢 19歳

誕生日 9月7日

身長 154cm

体重 非公開

武器 ウィズ・ア・ダイヤモンド(スナイパーライフル)

趣味 日記

特技 滑空、狙撃

好きな音楽のジャンル ブルース


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