第236話 【攻略対象 平凡村娘】唯一至上の愛とは
「ふぁぁーーーっ! 正統派カップルのエンディング!! スチル通りっ、ううん、実物の方が素敵っ! 二人とも嬉しそうに微笑みあってっ、なんて甘々なのぉぉぉーーーー!!」
レーナが、壇上に立つ白いタキシード姿のクラウディオ王子と、彼の瞳と同じ蒼玉色のドレスに、金の刺繍を施した華やかなドレスを纏ったシルヴィアに歓声を上げる。
「やっぱ、一人を一途にってのが良いわぁー! ゲームではハーレムエンドも達成はしたけど、その後どうすんのよって退いちゃったもんね。愛する人を想っての二人って推せるわ!」
「そうか? なーんかあの二人、レーナを見て牽制し合ってる気がすんぞ? にこにこしてっけど」
レーナの視線の先を追って、アルルクが目を眇める。アルルクは卒業生ではないが、クラウディオ王子と共に王国を救った功労者として、彼の晴れの場を共に祝う名目での参加が認められている。
「レーナにそう見えているなら問題ない。あの二人はあれで互いを善く分かり合っているんだ。レーナを助け、王国を護ってくれるだろう」
「さっすがエドヴィン! そうよ、今度こそ本当に未来が拓けるハッピーエンドなのよ! 頑張った甲斐があったわぁ」
充足感に満ちた、屈託のない満開の笑顔で二人の門出を祝福するレーナに、エドヴィンは真実を告げる必要もないだろうと、ただ微笑んで見せる。彼女が困る事態が追随するなら、全力で行動するが、レーナを見守ることに決めたクラウディオらには、警戒も威嚇もする必要はないのだ。
「これでわたしも心置きなく、この世界を見て回ることが出来るわ。誘拐を認めるワケじゃないけど、リュザスがくれた折角のチャンスなんだもの。エンディング後の、シナリオの無いまっさらなダンテフォールを色々知りたいし」
今宵、レーナが纏うのは、彼女自身が選んだ真っ白のドレスだ。
「このドレスの白は、そんなわたしの意気込みを表わしてるのよ!」
にこりと満足げに笑むレーナに、エドヴィンは曖昧な笑みを返す。
ドリアーデ辺境伯やエドヴィンは、家系の色である緑を纏って欲しかったし、リュザスは隙あらばドレスを虹色に染めようとした。だが、彼女は頑なに白に拘ったのだ。
「だって13巡の苦労の末に、ようやく踏み出せた、崩壊しない世界へのデビュタントなのよ。これからどんな色を身に付けていくのか、ようやく考えて行けるわ」
「レーナの言う遊戯が、この夜会で終わるのは理解した。だからと言ってここまでのことが全部無くなる訳じゃないだろ? 私は、これまでのレーナとの繋がりも大切に想っているし、これからのことも共に考えて行きたいと思う」
エドヴィンが、真摯な表情で隣に立つレーナを見詰める。そのまま流れる動作で、片膝を床に突き、左手を胸にあて右手をそっと手を差し出せば、丁度楽団によるワルツの音が始まった。




