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UNGIFTED-アンギフテッド-無能と《追放》された《欠陥魔術師》は努力と工夫で異世界の《大英雄》へと成り上がる  作者: モーリー
第一巻 第五章:冒険者

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第48話:凱旋

落とし穴の杭に刺さり、もがき苦しんでいた氷炎(ひょうえん)の二頭大狼(オルトロス)も、やがて絶命。


村人たちは大歓声を上げ、喜びを分かち合う。


俺たちは、すぐにセレナの元へと駆け寄る。


「大丈夫か?」


「す、すみません。マナ切れで……」


俺が手を差し伸べると、セレナはそう言いながらゆっくりと立ち上がった。


「まったく。無茶をする」


「三人同時に回復魔術をかけるなんて驚いたよ」


リズとフリードが笑顔でそう言うと、セレナは「負けてられませんから」と答えた。


きっと役立っていることが嬉しいのだろう。


「お陰で勝つことができたよ。リズもフリードもかっこよかったぜ」


「へへへ」


「ルークもね」


喜びもつかの間。


ガサガサッ!


森から音がして戦慄が走る。


「嘘だろ!?」


「も、もう矢が残ってないよ!」


咄嗟に、俺は拳を炎で覆い、フリードは長槍を構えた。


「や、やるしかない!」


「わ、私だって!」


リズが石の双剣にマナを流し込み、セレナは杖を強く握る。


ガサガサッ!

ガサガサガサッ!


緊張が走る。


「ん?お前らこんなところで何してんだ?」


すると森から出て来たのはゴウゼンだった。


「か、勘弁してくれよ」


「ゴウゼンさん……」


俺とセレナがそう言うと、リズは「お、驚かせるんじゃない!」と怒り、フリードは大きく安堵のため息をついた。


「いったい何だってんだ」


ゴウゼンは、そう言いながら俺たちや村人、そしてコンキツネなどの死体を見渡した。


「お、おい!クラウドフォックスじゃねぇか!しかもデカい個体だな!お前らが倒したのか!?」


驚くゴウゼンを見て、俺たちは顔を見合わせた。


そして代表して俺が落とし穴に視線を移しながら言う。


「そこにもっと大物がいるぜ」


「ん?大物?こ、こいつは!」


ゴウゼンはゆっくりと近づき、声を上げた。


「お、お前らが倒したのか!?」


「ああ。俺たちだけじゃない。みんなで力を合わせてなんとかな」


俺はそう答えてから、経緯を説明した。


すると、ゴウゼンの表情はどんどん深刻な物へと変わっていった。


「状況はわかった」


「ど、どうしたんだ?」


俺がそう尋ねると、ゴウゼンは何も答えず、大剣を納め、村人たちの前に立った。


「私は冒険者ギルドの長(ちょう)。ゴウゼンと申します。この度は、村にご迷惑をおかけし、誠に申し訳ございません」


ゴウゼンはそう言うと、村人たちに深く頭を下げた。


そして顔を上げ、説明する。


「この魔物は我々が大規模な討伐を行う中で、仕留めそこなった魔物です。村民に死者が出なかったことがせめてもの救いです。後日、必ずお詫びをさせて頂きます」


言い訳もなく最小限の説明。

そして深い詫びの言葉。


村人を代表して老人が「わかりました」とだけ返事をする。

他に責める言葉は出なかった。


「お前たちにも迷惑をかけた。もうすぐ他の連中も駆けつけてくるはずだ」


ゴウゼンの言葉通り、すぐに騎士団や他の冒険者たちがやってきた。


総出で、俺たちが倒した魔物を回収。


村人たちに挨拶を済ませ、クエスト羊皮紙にサインをもらう。


そして、俺たちも一緒に荷車に乗せてもらい、明け方にグランダルムへ凱旋。


巨大な門が開いての入門は、圧巻の光景だった。


「やっと戻って来れたな」


長い夜だった。


俺はそう思いながら、疲れて眠る仲間たちの寝顔を見て、安堵した。



「止まれぇ!」


大通りに着いたところで、号令がかかり全体停止。


「ん、んんー。着いたのか?」


リズが伸びをしながら言うと、その隣ではセレナとフリードが大きなあくびをした。


「ああ。もうギルドの傍だ」


俺はそう答え、先頭を見た。


するとそこでは、ゴウゼンが騎士団のウィザードの女性と、何やら話をしていた。


騎士団員の中でも上位の立場にありそうな人だな。


何を話してるんだ?


様子を見ていると、話し終わったゴウゼンが、隊列に向かって声を上げる。


「よし!野郎ども!降りろ!俺たちの仕事はここまでだ!」


ゴウゼンに言われ、俺たちは馬車を降りて、徒歩でギルドへと移動。


中に入ると、ゴウゼンが言う。


「報酬は三日後だ!受付に取りに来い!今日は生還者の確認だけだ!」


ゴウゼンはそう言うと、受付にいくつかのプレートを渡してから、奥の通路へと歩いて行った。


「あのプレートって……」


「ああ。おそらく討伐に失敗した冒険者のプレートだろうな」


セレナの言葉に俺がそう答えると、受付でフレイが声を上げる。


「皆さん!どうぞお並びください!」


その言葉で、全員が並び、順にプレートを見せて生還報告を済ませていく。


見ればわかる。


表情が明るいパーティは、全員揃っての生還報告。


表情が暗いパーティは、おそらく死者が出ているのだろう。


様子を見ていると、俺たちの番が来た。


「み、みなさん!?どうして大規模討伐の部隊と一緒に!?」


「あ、ただいまです。ちょっと色々ありまして」


驚くフレイに俺は事情を説明した。


「そ、そんなことが……わかりました」


フレイはそう言うと、周りを見渡した。


「すみません。今この状況ですので、クエスト完遂処理は進めておきますが、報酬は後日とさせてください」


「わかりました。とりあえず二、三日休んだら様子を伺いに来ますね」


フレイの言葉にそう答えてから、俺たちは受付を後にした。

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