↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
UNGIFTED-アンギフテッド-無能と《追放》された《欠陥魔術師》は努力と工夫で異世界の《大英雄》へと成り上がる  作者: モーリー
第一巻 第五章:冒険者

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

47/54

第47話:氷炎の双頭大狼 -オルトロス-

慌てて振り返ると炎に照らされた森から、巨大な双頭のオオカミが姿を現した。


深く暗い紫色の体毛に覆われ、片方は赤い瞳、もう片方は青い瞳をしている。


その魔物は炎をものともせずに、悠然と跨ぎ、涎を垂らしながら俺たちに近づいてきた。


頭の位置がフリードよりも高く、身体は荷馬車よりも大きい。


あまりの光景に、俺たちは思考を奪われ、立ち尽くしてしまった。


次の瞬間。


「きゃぁぁぁぁっ!」


家から様子を見に出てきた女性が叫び声を上げる。


その声を開戦の合図とするかの様に、一斉に時が動き出す。


巨大な双頭のオオカミは、身を竦(すく)めると、赤い瞳側の口から炎を揺らめかせた!


「セレナァ!」


咄嗟に俺がそう叫ぶと、セレナがすかさず防御魔術を発動。


オオカミが音を立てながら吐き出した炎を、光の壁が遮った。


「ガルッ!?」


防がれたことに驚いている!?


こいつかなり高い知性があるぞ!


「う、動けぇ!」


セレナのおかげで命拾いした。


安堵するよりも、礼を言うよりも、先に俺は叫んだ。


「うわぁぁぁっ!」


「逃げろぉぉっ!」


村人たちが長槍を捨て、一目散に家へと走って行く。


それを巨大な双頭のオオカミは目で追うが、そうはさせない。


俺たちは気を引くために、少しでも村人たちが逃げる時間を稼ぐために、スキルを発動。


俺は拳に雷を纏わせ、リズは迸るマナを身体と石の双剣に圧縮。


フリードは弓と矢にマナを込め構えた。


俺たちの様子を見て、巨大な双頭のオオカミも臨戦態勢に入る。


すると、俺たちの後方へと移動したセレナが小声で言う。


「お、おそらく、オルトロスという魔物です。赤眼からは炎、青眼から冷気を吐き出す強力な魔物です」


そしてセレナは「だ、大規模討伐の魔物リストに載っていました」と続けた。


大規模討伐の魔物?


こっちに逃げてきたってことか。


ってことは、相当強いんだろうな。


でも……


「歯牙に掛けたってことは、俺たちに脅威を感じてるってことだ」


俺はそう言い、拳の雷を強めた。


出し惜しみは無しだ。


今!


俺が決死の覚悟で青眼側へと駆け出すと、リズが合わせて赤眼側へと間合いを詰める。


すかさず、フリードは首の付け根へと矢を放つ。


「ガルゥッ!ガァル!」


俺たちが二手に分かれたことで一瞬戸惑ったが、オルトロスは赤眼側で矢を噛み砕き、青眼側から冷気を吐き出した。


俺は素早く外套に包まり防御した。


「ルークさんっ!」


「「ルーク!」」


「大丈夫だ!青眼は俺に任せろ!」


氷属性への高い耐性を持つダークベアー装備で助かった。


俺は霜を払うように外套を叩き、オルトロスを見た。


「セレナ!炎を防ぐことを最優先に頼む!」


「はい!」


俺はそう指示を出し、狙いを定めさせないために、オルトロスの後ろ脚の方へと移動。


青眼側が俺を追おうとしたことで、赤眼側が引っ張られる。


「ガルゥッ!」

「ガァルッ!」


すると、赤眼と青眼がいがみ合い始めた。


何とも不思議な光景だが、今のうちだ。


俺は地魔術を発動。


穴の空いた石を作り出し、燃えるロープを結び付けて思い切り投げつけた。


するとオルトロスは、素早く尾を振り、ロープを切り裂く。


とんでもなく強力な尾と強靭な体毛だ。


リズもチャンスを逃さず、駆け抜けるように前脚に連撃を入れるが、クラウドフォックスの時と同じように体毛に阻まれてダメージには至らない。


そんな中、唯一ダメージを与えたのがフリード。


リズが攻撃を仕掛けた隙に、地を這うように矢を放ち、急上昇させて体毛の薄い内腿へと突き刺した。


「ガルゥッ!ガァルッ!」


怯んだ!


「リズ!尾を頼む!俺は顔!フリードは確実にダメージを稼いでくれ!」


「「わかった!」」


俺は氷結息を引き付けつつ、投擲。


時折、噛みつきを躱しざまに雷の拳をお見舞いする。


炎はセレナが防ぎ、尾の斬撃のような強力な攻撃をリズが《《いなす》》。


そして、出来た隙を逃さずにフリードが矢を突き刺してゆく。


様々な攻防を繰り返し続けること数分。


七本……八本……


どんどんと内腿に刺さる矢が増えていき、オルトロスの機動力が徐々に下がり始めた。


しかし、致命傷には至らない。


もう一手。

もう一手何かないか。


時間がない。


後方からはセレナの息遣いが聞こえてきている。


フリードの矢も残り少なくなってきている。


俺もリズも、いつまでも攻撃を躱しきれない。


ロックボムはあと二つ。


絶対に無駄にできない。


落ちつけ!考えろ!


焦りの中、俺は赤眼の喉元に傷があることに気が付いた。


肉が見えて血が滲んでいる。


おそらく大規模討伐で負った傷だ。


「フリード!赤眼の喉を狙え!」


俺は長槍を拾い、そう叫びながら一直線に赤眼側に向かって走った。


「ガルゥッ!ガァルッ!」


双頭で俺を噛み砕こうとするが、それを俺は地面に長槍を突き立て、オルトロスの頭上へと大跳躍。


素早くロックボムへと着火。


俺を見上げてたことで、露わになった喉元の傷口へ、フリードが射抜く。


「ガルゥッ!?」

オルトロスが怯んでいる頭付近に、俺はロックボムを投げつけ、地面に転がり落ちた。


直後。


俺が地面にはいつくばっている間に、ロックボムの炸裂音が響き渡る。


俺は無理やり立ち上がり、さらにもう一発。


後ろ脚へと投げつけた。


炸裂音が響き渡り、業火がオルトロスを焦がす。


後ろ脚が歪むオルトロスを見て、俺は叫ぶ。


「この機を逃すなぁぁ!」


俺は数本の長槍を手に持ち、叫びながら突進するようにして長槍を突き立てた。


フリードは残りの矢を放ち終えると、俺の目的を察知したのか、長槍を持って走ってきた。


そして体格と体重を生かし、オルトロスに突き立てた。


オルトロスの体毛は硬く刺さりにくい。

さらに筋肉の密度が高く、体毛を超えたとしても肉に深く刺さることはない。


「押せぇぇっ!」


「うおぉぉっ!」


俺とフリードが声を上げながら押し込む。


そこへオルトロスの尾が襲う。


「させるかぁぁっ!」


すかさずリズが間に入り、石の双剣をハサミの様に交差させて、尾を切り落とした。


くそ……力が入らない……

もう一息だって言うのに……


俺が失敗を覚悟した時、俺たちの身体を暖かな光が包んだ。


セレナの回復魔術!?

しかも三人同時に!?


体力が回復して力が漲る。


「「「うおぉぉぉっ!」」」


「ガルゥッ!?ガァルッ!?」


俺たちの力が増し、オルトロスが驚きの声を上げると同時。


ドサッ!


後方で何かが倒れる音がした。


「セレナ!?」

俺がそう叫びながら振り返ろうとすると、すぐさまセレナが言う。


「だ、大丈夫です!ゲホゲホッ!しゅ、集中を!」


そう言われ、俺たちは雄叫びを上げながら、花の位置までオルトロスを押し込み続ける。


すると家から村人たちが飛び出してきた。


「待ってろよ!今行く!」


「お、俺たちの村だ!俺たちも戦うぞ!」


自分たちを鼓舞するように長槍を手に叫び、走ってきてオルトロスに突き立てて行く。


「この村は、儂の全てなんじゃ!魔物なんぞにやられてたまるかぁ!」


「「「おおおおおおおっ!」」」


老人の言葉に呼応するように、村人たちが声を上がる。


「リズ!そっちを頼む!」

「まかせろ!」


フリードと村人たちに押し込み役を任せ、俺とリズはスキルを発動。


俺は渾身の力を込めて、雷の拳で前脚付近を連打。


リズはマナを圧縮した石の双剣で、後ろ脚付近に超連撃。


「「「うおぉぉっ!」」」


俺たちは雄叫びを上げながら押し込み、なんとかオルトロスを落とし穴へ落とすことに成功した。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。