↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
UNGIFTED-アンギフテッド-無能と《追放》された《欠陥魔術師》は努力と工夫で異世界の《大英雄》へと成り上がる  作者: モーリー
第一巻 第五章:冒険者

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

44/54

第44話:お人よし

「一番多いのはここ。次に多いのはあっちのはじゃ」


老人が案内してくれたのはトマト畑。


そして指さしたのはトウモロコシ畑だ。


「決まって夜になると荒らしに来よるんじゃ」


「わかった。リズとフリードであっちを見てきてくれないか?」


俺がそう言うと、リズとフリードは頷き、村人の一人が二人を案内してくれた。


「こっちはこっちで情報収集だ」


「はい!」


俺とセレナは並んでしゃがみ、足跡と齧られたトマトを見る。


「小さい足跡と、それよりも一回りくらい大きな足跡があるな」


「はい。齧られているトマトも、小さな齧り跡と、少しだけ大きな齧り跡のものがあります」


俺たちはさらに続ける。


「こっちの茶色の体毛はモフモフォックスだよな?」


「ええ。こっちの黄色っぽい体毛がコンキツネです」


クエスト内容と、魔物の情報は一致している。


しかし、不可解な点がある。


それは、二種類の小さな足跡の数倍ある大きな足跡と、白くて長い体毛が落ちていることだ。


「白くて長い体毛……肉球のある魔物……コンキツネとモフモフォックスの群れ……」


セレナは情報を整理するように呟くと「思い出しました。クラウドフォックスという魔物です」と言った。



「クラウドフォックス?」


「はい。水魔術で水蒸気を発生させ、姿をくらませる厄介な魔物です。頭がよくて統率能力もあるので間違いないかと」


俺の質問に、セレナは端的にそう答えてから「図鑑に載ってました」と笑顔で続けた。


「頼りになるよ。教えてくれてありがとう」


俺はそう言ってから立ち上がり、老人に尋ねる。


「討伐依頼のあった魔物はモフモフォックスとコンキツネでしたが、実際に目撃はしたんですか?」


「い、いや、見とらん。あ、ああ、あ、朝見回りに来たらこの有り様でのぉ」


ん?

なんだ?


明らかに動揺してるぞ……


俺が確認を深めようと口を開くと、言葉にする前にリズとフリードが戻ってきた。


「おーい!ルーク!セレナ!聞いてくれ!明らかに大きな足跡と白い体毛があったんだ!」


リズはそう言いながら歩いてきた。


そしてフリードは傍に来てから「クエスト依頼外の魔物もいるんじゃないかなぁ」と言う。


「ギクゥッ!」


「じいさん……今『ギクゥッ!』って言った?」


俺が尋ねると、老人は思い切り首を横に振る。


「いや、言っただろ」


「あ、明らかに言いましたね」


リズとセレナがそう言うと、フリードは「今のを誤魔化そうとする根性は凄いね」と続く。


「んで?何か知ってることがあるんだろ?」


俺がそう言いながら白く長い毛を見せた。


すると老人も村人たちも、視線を向けられたものは皆一様に首を横に振り始めた。


「はぁ……なぁ、じいさん」


俺がため息をついてから呼ぶと、老人は口を両手で押さえながら体をびくつかせた。


いや、別に「ギクゥッ!」って言わなきゃ良いって問題じゃないんだよ。



そして老人は平静を取り繕いながら言う。


「な!ななな、なんじゃ?」


「俺たちに何か隠し事してないか?」


俺が老人の目を見ながら尋ねると、老人は「うっ……な、なにも隠しとらんぞ!」と答えた。


どうも怪しい。


そう思い全員でじっと見続ける。


老人が目を反らしたから、俺たちは村人に視線を移した。


すると村人たちも目を反らす。


「そうか。好きにしてくれ。俺たちの受けた依頼はモフモフォックスとコンキツネの討伐だ。他の魔物が出ても対処する必要はない。それであってるよな?」


俺がそう言うと、老人は「そ、そんな……」とだけ答えた。


さらに俺は続ける。


「例えば仮にだ。クラウドフォックスとか他の魔物が出た場合、俺たちは討伐しない。モフモフォックスとコンキツネだけを討伐して帰る」


そして俺はさらに続ける。


「その場合、クラウドフォックスは後日この村に報復に来る可能性がある。今隠し事をしていると、取り返しのつかない事態になるが、それでもいいってことだな?」


「ぐぬぬ」


俺の問いに、老人は黙り、村人たちも目を反らしたまま。


するとセレナが言う。


「私たちはアイアンランク。クラウドフォックスは、ブロンズランクやシルバーランクの冒険者パーティーが挑む魔物です。もし存在を知っているのに隠して依頼したのであれば、冒険者の暗殺を企てたに等しい行為です」


そしてセレナは「そうではないと信じていますので、どうか本当のことを教えてください」と続けた。



セレナの真っ直ぐな言葉と瞳に、老人は「す、すまなかった」と答えた。


「そこまで考えておらんかった。すまない。この村には、これ以上出せる金がなかったのじゃ」


老人がそう言うと、村人たちも口々に謝罪を言葉にして頭を下げた。


「た、頼む。なんとか助けてくれ。金は出せんが野菜でよければたくさんある!丹精込めて作った野菜じゃ!」


まったく……どうしたもんかな。


俺の一存じゃ決められないし、ギルドにも報告しないといけないし……


俺がそう思いながら仲間を見ると、三人ともが笑顔で頷いてくれた。


本当にお人よしの仲間たちだ。


俺は嬉しさを抑えながら、険しい表情を作ってから言う。


「じいさん。俺たちの受けた依頼は、モフモフォックスとコンキツネの討伐だ」


俺がそう言うと、老人や村人たちの表情は暗くなる。


「だからといって困ってる人を見殺しにはできない。勝てるか分かんねぇけど、やれるだけのことはやってみるよ」


俺がそう言ってから「ギルドには帰り道に遭遇したって報告して誤魔化しておく。その代わり、少しは一緒に戦ってもらうぞ」と続けた。


「ああ、わかった!感謝する!ありがとう!ありがとう!」


明るく涙ながらに感謝を言葉にする老人に、俺は口調を丁寧に戻して「お礼を言うのはまだ早いです。準備物について説明するのでよく聞いてください」と切り出した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。