第41話:クエスト
自己紹介が終わり、早速行動開始。
機動力を考えて、俺とフリード、セレナとリズに別れて採取する。
「ペアからは離れず、何があっても対処できる距離にいること。俺たちは向こう側を探す。互いに意識し合って見える距離を保とう」
「わかった」
「はい!」
リズとセレナの返事を聞き、俺とフリードは川の向こう側を探すために移動を始める。
「お!セレナ!これじゃないのか!?」
「あ、リズさん!そんなに強く引っ張ったら!あぁ……しまいました……」
セレナの落胆の声の後、リズが「す、すまない」と小さく謝る声が聞こえてきた。
するとすぐにまたリズの声が聞こえてくる。
「お!これもじゃないか!?」
「リズさん!それは触ると手が毒に侵されます!ま、待ってください!すぐに回復魔術を!」
振り返らなくても何が起きているのかがわかる。
セレナ。がんば。
「さ!俺たちも見つけないとな」
「う、うん。そうだね」
そんなこんなで探すこと数時間。
森の中が暗くなり始める頃に、何とか目当ての薬草をクエスト分以上に集めることができた。
俺たちは、フリードの仕留めたシカの肉とセレナが見つけた山菜を入れたスープを口に運びながら焚火を囲む。
「一日で終わってよかったな。明日の朝に街に戻って、そこからもう一度クエストに出られれば、また宿代を浮かせられるな」
「そうですね。リズさんがスベリヒユをたくさん見つけてくださったおかげです」
セレナがそう言うと、リズは自慢げに「ふふふ。どうだ!もっと褒めてもいいんだぞ!」と言う。
「群生地を見つけるまで見放さずに、リズを支え続けたセレナのおかげとも言える気がするな」
「そ、それはその……その通りだ」
俺がそう言うと、リズはいじけながらに認め、セレナに感謝を伝えた。
「二人とも凄いよ。僕たちは全然見つけてないからね」
フリードのフォローの言葉が、俺に突き刺さる。
俺はただただ「と、とくに俺だな」とだけ言葉にした。
「あ、そう言えば……フリードさんが解毒茸四つで、私が解毒茸六つとオオバコ二つ」
「あたしはスベリヒユを三十だ!」
セレナとリズの言葉に「俺はハコベ一つ……あ、でも。火炎草ならいくつか見つけたぞ」と続いた。
少しの沈黙の後、リズが声を荒げる。
「ルーク!よくあたしのことを言えたな!」
「わ、悪かったって。肉を手に入れたんだから勘弁してくれ」
俺が申し訳なさを全面に出して言うと、フリードは「たしかに。肉にありつけたのはルークのおかげだ」とフォローしてくれた。
「仕留めたのはフリードじゃないのか?」
「たしかに仕留めたのは僕なんだけどね。先にルークが見つけて、上手くシカの脚に氷魔術を当てて逃げられ無くしてくれたんだ」
フリードの言葉を聞き、俺は違和感が強かったため「魔術ってほどのもんじゃねぇけど、そう言われると嬉しいな」と言った。
今まで投擲としか思ったことがなかったが、まさか魔術と呼んでもらえる日が来るとはな。
「クスクス……ルークさん凄く嬉しそうですね」
「ああ。頬が緩みまくってる。あれは相当嬉しいんだぞ」
俺の様子を見て、セレナとリズがそう話すのが聞こえたため、俺は「う、うるさいなぁ!」と言って、照れを隠すためにスープをかき込んだ。
するとフリードは言う。
「いつか、みんながルークを認める日が……今までルークを笑った人たちを見返せる日が、きっと来るさ」
「ああ。そのために俺は大英雄を目指してるんだ」
俺はそう答えてから、ふと思い言う。
「俺の目標に付き合わせてるみたいになってるけど、それでいいのか?」
その言葉を聞き、セレナは笑顔で言う。
「私は問題ありません。私の今の目標は、ルークさんと共に冒険して、たくさんの人を助けることですから」
「あたしもだ。あたしの目標は、世界一のウォーリアーになることだからな」
セレナの言葉にリズはそう続いた。
「フリードの目標は?」
「え、えっと……僕にはまだない……かな。というか今、もう叶ってる状態だから」
俺が尋ねると、フリードはそう言ってから「ずっと求めてた仲間ができた」と噛みしめるように続けた。
「フリード……じゃあまた新しい目標が出来たら教えてくれ。その目標が、もし俺たちと異なる道だったとしても、必ず応援する」
俺がそう言うと、フリードは「ありがとう。また見つけたら言うよ」と笑顔で答えた。
届いて……
世界が闇に覆われる前に……
翌朝。
あの夢か。
なんだか久しぶりに見た気がするな。
暗がりの森で目覚め、川で顔を洗い、テントを片づけて森を出る。
流石に恥ずかしかったのか、セレナはグランダルムに着くかなり手前でフリードの背から降りて歩ていた。
「次っ!四人か……ん?お前らはこの間の!」
一人の門番がそう言うと、残りの二人も俺たちに気が付いて言う。
「おいおい。ドデカいアーチャーまで増えてんじゃねぇか!」
「どんな珍妙な一団なんだよ」
こいつらいつか見返してやる。
俺はそう思いながらプレートとクエストが書かれた羊皮紙を見せて言う。
「通るぞ」
すると門番たちは慌て始める。
「お、お前ら冒険者になれたのか!?」
「ゴ、ゴウゼンがよく認めたな」
その言葉を聞き、俺は「俺たちを馬鹿にするってことはゴウゼンに喧嘩売るのと同じじゃないのか?」と言って睨みつけた。
「ば、馬鹿になんかしてねぇよ」
「あ、ああ。ちょっと驚いただけだよな?」
そう聞かれてウィザードの門番も「そ、そうだ」と取り乱しながら答えた。
「通っていいのか?どうなんだ?」
俺がそう言ってクエストの書かれた羊皮紙を眼前に突きつけると、門番は「あ、ああ。通行料は免除だ。通ってよし」と言葉にした。
セレナたちもプレートを見せながら通る。
俺たちは、これ以上気分が悪くなる前に、足場に、門を後にした。
グランダルムの街に入ったところで、堪えていた笑いが込み上げてくる。
「くくく。ダメだ。さっきのあいつらの取り乱した顔」
「ああ。ビビりまくっていたな」
俺とリズがそう言うと、セレナは「どうしてゴウゼンさんの名前を出されたんですか?」と尋ねてきた。
「なんとなくだ。あの手の奴らは、自分よりも強い奴や立場が上の奴にはヘコヘコするもんだろ?」
俺が試しにやっただけであることを説明すると、セレナは「ふふふ。ルークさんは悪い人ですね」と言って笑った。




