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UNGIFTED-アンギフテッド-無能と《追放》された《欠陥魔術師》は努力と工夫で異世界の《大英雄》へと成り上がる  作者: モーリー
第一巻 第一章:ルーク

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第4話:欠陥魔術士は工夫する

俺は職業訓練所(アカデミー)を出て、再び秘密の訓練場へとやってきた。


川がせせらぐ中、地魔術で小石を生み出し、向こう岸にある木に向かって小石を投げる。


動かない的であれば、十回投げれば八回から九回は当てられるし、いくつかの小石は木にめり込んでいる。


やや精度不足だが、背丈に恵まれたことと、持ち前の筋力で、威力はなかなかのものだ。


「ムカつくなぁ。ローウェンの事となると行動の早いクソ親父め」


誰が呼んだのか、俺とローウェンがいがみ合ってる所にクソ親父が来た。


そして卒業試験までは各々自主訓練。


職業訓練所(アカデミー)にも行かなくていいと言い出したため、秘密の訓練場にやってきたのだ。


卒業試験は来週。


職業訓練所(アカデミー)にいる者だけでなく、ノースリーフの者なら誰でも観戦自由にして、盛大に卒業試験を行う。


そのメインイベントとして、俺とローウェンの模擬戦が行われることとなった。


もちろん、俺が負けた場合の条件は継続だそうだ。


俺を派手に倒せば、後継ぎとなるローウェンの凄さを、町の人たちに見せられる。


そのうえ、邪魔者の俺は追い出せる。


どうせ「弟に負けたのが悔しくて、勝手に出ていった」とか真実を捻じ曲げるに違いない。


「考えれば考えるほどムカつくな」


俺はさらに力強く小石を投げた。


とはいえローウェンは強い。


どの属性も使いこなすが、特に得意とするのは氷魔術。


遠距離から氷柱を無数に飛ばされれば、石や氷を投げるだけの俺に勝ち目はない。


どう距離を詰めるか……


ローウェンは魔術の発動速度も速い。


無策に突っ込めば、返り討ちに遭うのは明らか……


頭の中で、何度も何度もシミュレーションするが、何をやっても殺される。


「くっそぉ……ダメだ……」


大きな岩の上に寝転がり、空を見る。


昼か。


そういや昼飯まだ喰ってなかったな。


「腹が減っては戦はできぬってな」


俺は悩むのをやめて、腹ごしらえをすることにした。


森に入り、拾ってきたのは長くて太い木の枝と、火炎草(かえんそう)と呼ばれる赤い炎のような草。


可燃性が高く、よく燃える性質を持っている。


川辺にある大きめの石を集めて組んで、そこに枝を無造作に投げ込む。


いくつかの長く真っ直ぐな枝を残し、枝の隙間に火炎草をねじ込んでマナを練り、炎魔術を発動。


手を炎で覆い、指先を火炎草に当てて着火。


火炎草は、ボォっと音を立てながら燃え上がり、一気に燃え広がる。


「放っておいてもいいけど、少しだけやっておくか」


手をかざして、風魔術を発動。


そよ風を送って、空気の巡りをよくすることで、火の回りを加速させた。


「普通のウィザードは地魔法で石窯作ったり、焚火を用意しなくても炎魔術で調理できるんだろうな」


嘆いても仕方がないか。


俺は気持ちを切り替え、マナを練り、氷魔術を発動。


指よりも長くて細いくらいの硬い氷の棘を作り出した。


「ほい、ほい、ほいっと」


川の水面に泳いでいるレインボーウィッシュに向かって氷の棘を三本投げて、全弾命中。


ワイルドラットのように素早くないから余裕だ。


自画自賛をしながら靴を脱いで川に入り、浮かび流れるレインボーフィッシュを拾い上げる。


氷魔術は便利だ。


地魔術で生み出した石の棘だと、仕留めた獲物の体内に、石の欠片が残ることがある。


しかし、氷なら体内に残っても溶けてくれる。


それに石の棘を使うと、刺さったまま重さで沈んでいくため、回収するのが大変になる。


「これに気づくまで、何度苦労したことか」


沈んだ獲物を取りに川に潜って、ずぶ濡れになったことを思い出しながら、再びマナを練って氷魔術を発動。


小さな氷の刃を生み出して、粘り気と鱗を取って、腹を裂いて腸(わた)を出す。


残しておいた長く真っ直ぐな枝に魚をくねらせながら刺して、火の傍に添えた。


そして濡れた足を焚火に向け、乾かしながら魚が焼けるのを待つ。


「どうやったら勝てるかなぁ」


魚の焼ける匂いを嗅ぎながら、頭の中でローウェンを倒すシミュレーションを再開。


石や氷を投げつけて、注意を逸らしながら近づき、雷を纏った拳で全力で殴る。


できることはこれだけ。


しかし、頭の中で何度投げても様々な魔術で撃ち落されるし、防がれる。


そして近づくことすらできずに炎で焼かれ、雷や風で貫かれ、氷漬けにされる。


石と氷かぁ……


せめて火とか雷を投げられればなぁ……


焚火を見つめてボーっと考える。


ん?


待てよ。


これ使えるんじゃないのか?


俺が目を付けたのは、火を起こすときにねじ込んだ火炎草。


閃きと同時に、頭の中を思考が駆け巡る。


よし!


いけるぞ!


「才能に恵まれぬ者(アンギフテッド)を舐めるなよ。才能に恵まれないからこそ工夫を凝らすんだ!」


急いで平らげ、行動を開始。


森の中を数時間彷徨い、火炎草(かえんそう)をかき集めて来た。


「これだけあれば足りるだろう。半分は投げる用だ。その前に……」


俺はある実験をするために、マナを練って地魔術で石のコップを作り出した。


コップに川の水を入れ、そこに数枚の火炎草を漬け込む。


「よし。これはうまくいけばラッキーくらいに思って放置だ」


火炎草を漬けているコップを倒れないように置いて、今度はもっと小さなコップを地魔術で作る。


小さなコップには水を入れず、火炎草をギュウギュウに押し込み、飛び出さないように地魔術で生み出した石で蓋をする。


石の蓋には穴を開けておいた。


ここに捩じって細くした火炎草を押し込めば……


できた!


導火線付きの、火炎草を詰め込んだ筒の出来上がり。


「試しに……」


炎魔術で導火線に着火。


少し離れた所にある岩に向かって投げた。


ん?爆発しないな。


失敗か?


あ、いや、導火線が徐々に燃えていってるな……


直後。


導火線が燃え切ると同時に、巨大な爆裂音と火炎が広がる。


「あっつ!あぶな!」


近づいてたら巻き込まれるところだった。


岩が欠けてやがる。


この威力……直撃したら怪我じゃすまないな。


魔物相手ならまだしも……


弟相手に使う訳にはいかないか。


「まったく……冷徹な弟と違って俺は優しいお兄ちゃんだな」


非情になり切れず、俺は威力を抑えるために、石筒のサイズを小さくして量産。


この新しい武器の名前は、ロックボムと名付けた。


「こっちもそろそろいけるかな」


俺は漬け置きしていた火炎草を取り出し、コップに残った水の匂いを嗅ぐ。


よし。


火炎草が燃える時と同じような臭いがするな。


マナを練り、炎を纏った手を近づけると、コップの水は炎が触れる前に着火。


勢い良く燃え上がり始めた。


「成功だ!燃える水の出来上がりだ!」


この燃える水をまき散らして着火すれば、広範囲に炎攻撃ができる。


ロープにしみこませれば、炎の鞭みたいにできるかもしれないな。


今まで散々見下されて迫害を受けて来たからな。


クソ親父とローウェンだけじゃない。


ノースリーフに住む全員の度肝を抜いてやるぜ。


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