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UNGIFTED-アンギフテッド-無能と《追放》された《欠陥魔術師》は努力と工夫で異世界の《大英雄》へと成り上がる  作者: モーリー
第一巻 第一章:ルーク

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第3話:欠陥魔術士は負けず嫌い

この世界の名前はライフォジア。


この大陸はルミナス大陸。


世界人口のほとんどがこのルミナス大陸に集約している。


この町ノースリーフからはるか南。


ルミナス大陸の中心にあるのが大陸最大にして世界最大の都(みやこ)グランダルム。


ルミナス大陸の南東側には地と雷の大魔獣ベヒーモスが支配するビースト大陸。


南西側には炎と風の大魔竜ニーズホックが支配するドラゴン大陸。


北側には氷と光の大魔妖ヨルムンガルドが支配するブリザード大陸がある。


そして、各大陸はこのルミナス大陸とのみ陸つなぎになっている。


海は水の大魔蛇リヴァイアサンが支配しているため、船は沖へと出られない。


そのため、移動は陸路でしかできない地形になっている。


地図の説明を終えた教官が、黒板を叩き声を張り上げる。


「いいか!今、世界で最も求められているのは戦力だ!冒険者やグランダルムに仕える騎士団員になれる戦闘職だ!」


教官はそう言うと「なぜだか分かる者は!?」と問う。


そこに手を上げるのは決まって……


「おお!流石はローウェン様!」


「ここではただの訓練生です。様はお止めください」


ローウェンは立ち上がると、そう前置きをしてから言う。


「世界で最も求められているのが戦闘職である理由。それは我らが世界の王。ダンテ王にかけられた忌まわしき呪いを解くためです!」


「その通りだ。ではそのまま答えてくれ。ダンテ王にかけられた呪いはどうやったら解ける?」


するとローウェンは黒板に書かれた地図や魔物の名称を見ながら言う。


「はい!四大魔物(モンスター)を倒すことで、呪いが解けるとされています!」


ローウェンの言葉に、教官は「うむ。簡潔で分かりやすい答えだ」と言いながら深く頷いた。


いやいや、もてはやしすぎだろ。


そんなことは、この大陸に住んでる者なら誰でも知ってるっての。


俺が心の中でツッコミを入れていると、ローウェンが席に着き、教官は雄弁に語り始める。


「ダンテ・フォン・ルシフェール王。ウィザードの頂点にして、魔術を統べる者(エレメンタルマスター)と称されているお方だ」


ダンテ王が呪いを受けたのは数千年も昔のこと。


当時、あまりにも強く勇者と呼ばれたウォーリアーがいた。


ダンテ王は、その勇者パーティで後衛を務めたウィザード。


勇者パーティは、世界を滅ぼそうとする凶悪にして強大な力を持つ闇の魔物。


魔王とも呼ばれたナイトメアという魔物に戦いを挑んだ。


そして死闘の末に、見事討伐。


しかし、ナイトメアが死に際に強力な闇魔術を勇者に放った。


勇者を庇い、ダンテ王が闇魔術を被弾。


その日を境に、ダンテ王は老いることがなくなった。


そして数千年経つ今もなお、グランダルムで生き続けている。


「被弾した闇魔術のもう一つの強力な拘束の呪いにより、ダンテ王はグランダルムから出ることすらできない。なんとお労しいことか」


教官は、そう言い終えると、微かに浮かべていた涙を拭った。


そして教官はさらに続ける。


「ダンテ王は解放を望んでおられる!安らかなる眠りを!心から望んでおられるのだ!」


不老不死とは、終わりのない強制的な旅のようなもの。


精神の限界はとうに超えており、ダンテ王は呪いから解放されて安らかに眠ることを望んでいる。


その悲願を叶えた者。


つまり四大魔物(モンスター)の討伐に成功し、呪いを解いた者には、大英雄の称号と、貴族以上の地位が与えられるというお触れが出ているのだ。


何度も耳にする話。


知っていて当たり前の話。


しかし、何度聞いても、この話は俺の心を躍らせる。


「絶対に俺が大英雄になってやる」


俺が意欲に駆られて言葉にすると、誰かがあざけ笑うように言う。


「石ころを投げるくらいしかできないアンギフが何か言ってるぜ」


「大英雄どころか家事手伝いか雑用係になれるかどうかも怪しいぜ」


今に見ていろ。


俺は必ず合格してやる。


強制退所じゃなくて卒業だ。


そのために諦めずに俺は、秘策を練り、鍛え続けてきたんだ。


そう思い睨みつけると「おお、怖い怖い。流石はウォリアーだな」とどこからか聞こえてきて、それを聞いた者たちが笑う。


ウィザードらしからぬ体のでかさも、筋力の高さも、弱みじゃなくて強みだ!


我慢の限界に達した俺は立ち上がり、拳を鳴らしながら近づき、一番口数の多かった奴の胸ぐらを掴む。


「近寄られたら何もできない雑魚が……そんなに見下すなら、卒業試験の実技を的当てから模擬戦にしてもいいんだぜ?」


そしてゆっくりと持ち上げると、そいつは足をぶらつかせ、怯えながら「お、おおお、おい!暴力はいけないんだぞ!」と言い始めた。


喧嘩を売っておいて被害者ぶるとはな。

全く理解に苦しむ。


「おい!やめ……」


「その模擬戦とやら……僕が相手になってやるよ」


教官が止めに入ろうとすると、ローウェンは立ち上がり、遮るように言った。


「なんだ?お兄ちゃんに遊んでほしくなったのか?」


「一族の恥さらしが、恥を重ねる前に処分する。それだけだ」


兄弟とは思えないほどの冷徹な視線。


家族愛も、人としての礼節もない。


よくもまぁそんな視線を人に向けられるもんだ。


「いいぜ。やってやろうじゃねぇか」


俺はそう言ってから「許可を出せ」と言わんばかりに教官を見た。


するとローウェンは「僕からもお願いします。領主である父には僕から説明しておきますので」と続く。


「ロ、ローウェン様がそうおっしゃるのであれば……」


同じ領主の息子なのに、俺は邪魔者扱いで、ローウェンには様付けか。


まったく胸糞悪い奴ばかりだな。


「んで?模擬戦の形式は?」


「そんなものは不要だ。お前は殴るもよし、投げるもよし。なんでもありで来い。僕はお前がどんな攻撃を仕掛けてこようと、本物の魔術で否定してやる」


なんでもありか……


魔術合戦なら勝ち目はないが、なんでもありならまだ勝機があるかもしれないな。


「ただし、条件がある」


「あん?なんだ?今更ビビッて自分に都合のいい条件を出そうってのか?」


俺の言葉にローウェンは、静かに、そして冷徹さを増しながら答える。


「僕が勝ったら、お前は自主的に職業訓練所(アカデミー)を退所。この町からも出て行け。そしてこの先一生アルベルトの名を騙ることは許さない」


「条件多すぎんだろ」


それに騙るって……


騙ってるんじゃなくてアルベルト家の長男だっての。


「んで?お前が負けたら?」


俺が呆れながら言うとローウェンは、たった一言「死んでやるよ」とだけ答えた。


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