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UNGIFTED-アンギフテッド-無能と《追放》された《欠陥魔術師》は努力と工夫で異世界の《大英雄》へと成り上がる  作者: モーリー
第一巻 第三章:リズ

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27:一撃

大会開始


名前を呼ばれたウォーリアーが入場する。

共に巨躯の男性。


片方は大剣で片方は大戦斧。

どちらも鉄製。


「まったく!私、あの人たち大嫌いです!」


セレナはいまだにゴルドーたちへの怒りが冷めないままだ。


「俺もだよ。もうすぐ始まるから、あとはリズに任せよう」


俺がそう言うと、受付男性が叫ぶ。


「構えてえぇぇっ!」


叫びと同時に、両ウォーリアーが全身と武器にマナを纏わせる。


その様子を見て、俺は呟く。


「大戦斧が勝つな」


「え?分かるんですか?」


セレナが尋ねてきたが答える間もなく受付男性が「はじめっ!」と叫ぶ。


「「うおぉぉぉぉっ!」」


両雄の雄叫びと、大きな金属同士がぶつかる音が会場に響き渡る。


次の瞬間。


「ぐはぁっ!」


大剣を持っていたウォーリアーが、衝撃に耐えかねて手の内が緩んだことで大剣が吹き飛ばされてしまった。


「っっしゃぁ!」


同時に、大戦斧のウォーリアーが拳を天に突き上げ、勝利を噛みしめる。


熱意のこもった大歓声の中、大戦斧のウォーリアーは雄々しく退場。

「ちくしょう!」

負けた大剣のウォーリアーは、悔しさを声に出し、大剣を拾ってから退場した。


「す、すごい戦いですね」


「ああ。まさにウォーリアーらしい一撃必殺の戦いだな。俺たちじゃ枯れ枝みたいに叩き斬られるだろうね」


セレナの言葉に俺がそう答えると、セレナは「そ、それで。どうしてわかったんですか?」と尋ねてきた。


「ああ。ゴルドーとリズの時と一緒だよ。大戦斧の方が明らかに大量のマナを高密度に圧縮していた。体格が同じくらいだったから、武器の性能に大きな差がなければ、大戦斧が勝つかなって」


俺はそう言ってから「スキルのレベルというか熟練度とでも言うのかな。とにかく大戦斧の方が、技量が高かったってことさ」と続けた。



「そ、そんなことまで分かるんですね」


「次が始まるよ。よく見てて」


俺がそう促すと、セレナは入場する二名のウォーリアーに目を凝らす。


今度は大剣の女性と大剣の男性。


背丈はほぼ同じだけど、性別の差で筋肉量の多い男性が有利に見える。


両者が入場して武器を構えると同時に号令がかかる。


「構えてぇぇっ!」


号令がかかるとすぐに両名とも全身と武器にマナを纏う。


その様子を見てセレナが言う。


「じょ、女性?」


「まだわからないな。でもセレナが思った通りスキルの熟練度は女性が上だと思う」


俺がそう答えるとすぐに「はじめっ!」と号令がかかった。



「おらぁぁっ!」


「やぁぁぁっ!」


男女の声が重なり、金属音が響き渡る。


一撃目は互角。


すぐさま両名共に二撃目の体勢に入る。


するとそこでスキルの熟練度の差が出た。


男性のマナは乱れ、女性のマナは高密度に研ぎ澄まされたままだ。


「勝負ありだな」


俺がそう言うとセレナは頷いた。


次に瞬間には二撃目がぶつかり合い、男性の大剣が折れて女性の勝利が確定した。


そして両名は武器をしまい、互いを称賛するように握手をしてから退場した。


「紳士的ですね」


「ああ。誇り高きウォーリアーって感じだ」


セレナの言葉に俺はそう答えてから、次の入場者に視線を向け「見習ってほしいもんだ」と呟いた。


「い、いよいよですね」


俺はその言葉に「無事を祈ろう」とだけ答えた。


以前までのセレナなら「なんでそんなこと言うんですか!?」と食って掛かってきただろう。


しかし、セレナはゴルドーを見ながら「はい……」とだけ答えた。


すでにゴルドーはマナを漲らせている。


まだスキルを発動していないはずなのに、その佇まいは明らかに今まで見た四人のウォーリアーよりも威圧感がある。



セレナは、マナを見極めて強さを判断する方法を知った今、ゴルドーの強さをひしひしと感じているのだろう。


俺たちが様子を見ていると、ゴルドーが大声を上げながら入場する。


「さぁ!祭りの始まりだぁ!」


すると、場内から様々な言葉が聞こえてくる。


「おい!あいつ二連覇中のゴルドーじゃねぇか!?」


「ああ。もう少しでゴールドランクになるって噂だぜ!」


その言葉を聞き、セレナが「ゴ、ゴールド手前だなんて」と呟く。


冒険者のランクは全部で五つ。


アイアンランク、ブロンズランク、シルバーランク、ゴールドランク、ミスリルランク。


それぞれランクに応じた材質のプレートを首から下げている。


どうやらゴルドーは銀板を首から下げているが、ゴールドランクへの昇格に指がかかっているようだ。


「リズさん……大丈夫でしょうか」


「危険だな。いざとなったら止めに入るよ」


セレナが不安そうに言うため、俺は安心させるためにそう答え、ロックボム導火線を短く千切り、乱入する準備をした。


続いてリズが入場。


「リズさん!がんばってー!」


セレナが声援を送るが、それをかき消すほどに野次が飛び、笑いが巻き起こる。


「木剣が来たぞー!切れ端が飛ぶから皆気を付けろー!」


「ここはファイターが棒遊びしに来るところじゃねぇぞぉ!」


中にはリズの美しく整った容姿や体型について、品のない事を言葉にする者までいる。


ゴルドーよりも先に、会場中にロックボムを巻き散らかしてやろうか。


俺が苛立っていると、横ではセレナが顔を真っ赤にしながら「なんて下品なことを!」と憤りを言葉にした。


その中を、ゴルドーは会場を煽るように両手を上げて歩き、リズは静かに歩く。


そして両名が中央でにらみ合う。


おそらくスキルの熟練度はリズが上。


しかし、それ以外に根本的な体格差と武器性能の差がある。


勝敗は火を見るよりも明らかだ。


「今なら泣いて土下座すれば見逃してやるぜ?」


「それはこっちのセリフだ!」


両名が言葉を交わすと、今までとは異なり男性がくすくすと笑いながら「構えて!」と号令をかける。


同時に、両名は武器を構えスキルを発動した。



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