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UNGIFTED-アンギフテッド-無能と《追放》された《欠陥魔術師》は努力と工夫で異世界の《大英雄》へと成り上がる  作者: モーリー
第一巻 第三章:リズ

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23:戦神祭

耳慣れない言葉に俺とセレナは「戦神祭(せんじんさい)」と尋ね返した。


するとリズはどこか誇らしげに言う。


「そうだ。最強のウォーリアーを決める大会だ」


そして笑みを浮かべながら「まぁこの近辺で数年前から開かれるようになったばかりだから規模は小さいがな」と続けた。


「ウォーリアー同士の戦いか。下手したら死人が出るな」


「ええ。それでさっき私は救護班と勘違いされたのですね」


俺とセレナがそう言うと、リズは「いや、そこまで危険な大会ではない」と言ってから大会ルールを教えてくれた。


勝負は一対一。


全身全霊のマナを込めて、肉体と武器を強化。


後は思いっきり攻撃して武器同士をぶつけ合う。


先に武器が壊れるから、肉体に限界が来て武器を振るえなくなったら負けというものだそうだ。


「だから、よっぽどの力量差がない限りは大けがはしない。手の皮が捲れるとか骨が折れるとかの軽傷がほとんどだ」


「お、おい。後半のは軽傷じゃないだろ」


リズの言葉に俺がそう言うと、リズは「骨折なんて、ほっといても数日で治るから軽傷だろ」と答えた。


「そ、それはウォーリアーだけ……いえ、リズさんだけかもしれませんね」


「ん?そうか?まぁ、あたしは昔から非力だけど、マナの量と回復の速さには自信があるからな」


セレナが呆れと驚きを混ぜて言うと、リズは自慢げに答えてから豪快に笑った。


「その大会さ。リズにとってはかなり不利な大会じゃないのか?」


俺は木剣を見て尋ねた。


するとリズは表情を暗くして言う。


「あ、ああ。その通りだ。一昨年と昨年の二回出場したんだが、二回とも一撃のもとに初戦敗退。いい笑い者にされたさ」


「だ、だろうな」


どんなにマナが多くて、武器を強化したとしても、木製の大剣で、鉄の大剣に勝てるわけがない。


「今回も同じことになるのでは……」


「だ、大丈夫だ!繰り返さないために鍛錬を積んできたんだ!」


セレナが心配そうに言うと、リズは立ち上がりながら力強い口調で答えた。


きっと、自分自身を鼓舞するためだろう。


「ぐ、具体的にどんな鍛錬をしてきたんだ?」


「ん?そんなの決まってるだろう。全身と武器にマナを込めて、大木や大岩をたたき割るんだ」


俺が尋ねると、リズは親指を立てながら脳筋過ぎる回答をした。


嫌いではないが、根本的な解決になっていない。


「武器を変えることは考えてないのか?例えば刃の部分だけを鉄にするとか」


俺が軽量化と耐久性の強化の提案をすると、リズは驚きの表情を浮かべた。


「ま、まさか……」


「ああ。思いつきもしなかった。ルークは頭がいいんだな」


俺が尋ねようとすると、リズは驚きの表情のまま答えた。


想像以上に脳筋だな。

まぁ嫌いじゃないけど。


「リズは、大会で勝つことが目的なのか?それとも戦いで誰にも負けないくらい強くなることが目的なの?」


「ん?それの何が違うんだ?」


なるほど。


俺にとっては大会で勝つために必要な能力と、実戦で勝つために必要な能力が全く違うけど、リズの中では「大会で優勝する=実践でも強いウォーリアー」という考えなのだろう。


「全然違うよ。だって……」


俺はリズに説明しようとした瞬間。


俺の言葉を遮るように、大きなアナウンスが流れる。


「大会参加者は広場に集まれ!」


そのアナウンスを聞き、リズは「少し行ってくる。また後でな」と言い、広場へと向かった。


「気になるな。俺たちも行こうか」

「はい」


俺とセレナも広場へと向かうことにした。


露店市を超え、受付のさらに向こう側には、杭とロープで円形の闘技場が作られていた。


闘技場は家が数件入るほどに広く、地面は雑草も小石も取り除かれ、平坦に整地されている。


その中に列をなさずにウォーリアーたちが並んでいる。


その光景を見てセレナが言う。


「み、皆さん殺気立ってますね。今にも争いが始まりそうというか……」


並ぶウォーリアーの一人一人が、マナを漲らせて闘志をむき出しにしている。


気圧されるのも無理はない。


「もし大乱闘が始まったら全力で走って逃げようね」


俺が笑いながらそう言うと、セレナは少し気が緩んだのか「そうですね」と笑って答えた。


すると受付をしていた男性が壇上に上がり言う。


「今回の参加者は百三十名!大会開始は明日の昼!万全の状態で臨んでくれ!そして今回から優勝賞品を用意している!これだ!」


男性が白い布を勢いよく剥ぎ取ると、男性の背丈と大差のない大剣が姿を現した。


遠目に見ても切れ味が感じられるほどによく鍛えられ、磨かれた大剣。


片刃で、持ち手には皮布が巻かれている。


まるで巨大な鉈のような形状だ。


ウォーリアーたちが口々に言う。


「お!気前がいいじゃねぇか!」

「俺様のもんだぜ!」


騒めきに負けじと、受付男性がさらに声を張り上げる。


「これはかの名工ヴェルグが叩き上げた一振りだ!そんじょそこらの大剣とはわけが違う!」


その言葉を聞き、ウォーリアーたちの騒めきが一層大きくなる。


「ヴェルグってあのスミスの頂点と謳われる……」


「本当ならとんでもねぇ代物だぜ!」


「こいつぁ負けらんねぇぜ!」


様々な言葉が聞こえる中、ふと見てみると大剣に目を奪われ、興奮気味の表情を浮かべているリズがいた。


本当に大剣に対しての憧れが強いんだな。


きっと今、リズの頭の中では優勝して手に入れた大剣を自由自在に振り回す妄想が繰り広げられているに違いない。


「それでは大会ルールを説明する……」


それから受付男性は大会のルールを説明。


最後に「大会外での揉め事は起こさぬように」と言って開会式を締めくくった。


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