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UNGIFTED-アンギフテッド-無能と《追放》された《欠陥魔術師》は努力と工夫で異世界の《大英雄》へと成り上がる  作者: モーリー
第一巻 第二章:セレナ

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15:バン

「すみませーん。どなたかいらっしゃいますかー?」


扉を叩き、呼ぶとすぐに中から若い女性が出て来た。


「あら。どなたかしら?」


「ルークと申します。旅の者です。バンさんから、ここなら泊めてもらえると教わってきました」


俺がそう答えると、セレナは隣で「セレナです」と言い、会釈をした。


「そうでしたか。空いている部屋があるのはあるのですが……」


女性が何か言いかけると、奥からおじいさんが顔を出して「お客さんかい?」と尋ねて来た。


俺が同様の挨拶をすると、おじいさんは明るい表情で言う。


「そうでしたか。儂は村長をしているバリルと申します。カーナさんや。部屋を用意してあげてくれるかな」


「は、はい……」


カーナと呼ばれた女性は、何か言いたげな表情を浮かべながら、二階へと上がって行った。


バリルさんに案内され、ダイニングテーブルを囲み座る。


「ようこそおいでくださいました。何もない村ですが、せめて夕食だけでも食べて行ってください」


「ありがとうございます。すみません。ご迷惑でしたよね?」


にこやかに歓迎してくれるバリルさんに俺がそう言うと、バリルさんは「そんなことはありません」と答えた。


「でも……カーナさん何か言いたげな表情をされていましたし……」


「ああ。嫌な思いをさせて申し訳ない。カーナはおそらく、今のこの村の状況を考えて、お泊めするのをためらったのじゃと思います」


セレナが申し訳なさそうに言うと、バリルさんは柔らかい物腰のまま教えてくれた。


「バンさんから伺いました。アニマルグールが出るって。最近出始めたんですか?」


「ええ。十日ほど前からです。夜になると村の周りを徘徊し始めて、たまに村に侵入してくることもあるのです」


俺が尋ねると、バリルさんは困った表情でそう言い、さらに「倅(せがれ)を休ませてやりたいのですが、代わりの者もおらずで……」と続けた。


ん?倅?


「ひょっとしてバンさんは村長さんの息子さんなんですか?」


セレナがそう尋ねると、バリルさんは「おや?倅から聞かれてませんでしたか?」と聞き返してきた。


「ええ。すみません。確認不足でした」


「いえいえ。構いません。カーナさんは倅の嫁でして」


俺の言葉にバリルさんはそう言うと、嬉しそうに話し始める。


「昼は野盗の見張りをして、夜はアニマルグールの見張りをしている倅の身を案じてくれる優しい子です。まったく倅にはもったいないですよ」


そしてバリルさんは「心配しすぎてよく体調を崩すので少し心配ですがね」と穏やかな表情で続けた。


「優しい方なんですね。それにしても……昼も夜もって、バンさん全然休めていないんじゃ……」


「ええ。しばしば仮眠を取りに戻ってくるのですが、なにぶんこの村には倅以外に戦闘職の者がおりませんでして」


セレナの言葉にバリルさんはそう答えてから、この村の状況を教えてくれた。


バリルさんにあるエンブレムは鍬(くわ)。


これは農作業を得意とするファーマーのエンブレムだ。


畑を耕し、美味しい野菜を作れる素晴らしいエンブレムだけど、戦いにおいてはからっきし。


ちなみにカーナさんは、ペンのエンブレムのリサーチャーだそうだ。


「他の村民も生産職ばかり。私の家内がウォーリアーだったのですが、昨年、病でこの世を去ってしまいまして」


バリルさんはそう言うと、さらに話を続ける。


「倅が仮眠をとる間だけ、村民が代わりに槍を持って門番をしてくれているのです」


バリルさんは言い終えると、申し訳なさそうな表情を浮かべた。


「アニマルグールの事もですが、バンさんの体調も心配ですね……」


俺がそう言うと、二階から戻ってきたカーナさんが言う。


「お部屋の準備が終わりました。今から夕食を作りますので、少々お待ちください」


「ありがとうございます。ご無理言ってすみません」


俺はそう言ってから深く頭を下げた。


カーナさんは笑みを浮かべ会釈を返してくれてるけど、暗さは消えていないな。


するとキッチンに入っていくカーナさんを見てセレナが尋ねてくる。


「え?あれ?ル、ルークさん……」


「ん?どうしたの?」


俺が聞き返すと、セレナはカーナさんの腹部を見て言う。


「カーナさん……ひょっとして赤ちゃんがいるのではないでしょうか?」


「え?そうなの?」


セレナに聞かれ、俺が聞き返すと、セレナは「おそらくですが」と答えた。


そう言われてみれば……


さっきは気付かなかったけど、横から見ると、少しお腹が膨らんでいるような気がしなくもない。


あまり見すぎるのはよくないか。


俺がそう思っているとセレナが立ち上がり言う。


「私、お手伝いします。カーナさんはご無理なさらないでください」


「あら。ありがとう」


セレナの言葉に、カーナさんはそう言うと、一緒にキッチンで作業を始めた。


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