第1話 役に立たない地味女はいらない
「エレナ。君との婚約は、今日限りで解消する」
その言葉が告げられたのは、ガイウスの工房が新型魔導灯の完成を祝うために開いた夜会の最中だった。
磨き上げられた床には魔導灯の白い光が落ち、王都の商人や貴族、魔導具師たちが酒杯を片手に談笑している。つい先ほどまで皆が褒め称えていた新型魔導灯は、従来品の半分ほどの大きさしかない魔導核で、二倍近い時間点灯できることを売りにしていた。
その核を作ったのは、エレナだった。もっと正確に言えば、設計から加工、魔力回路の調整まで、ほぼすべてを彼女一人で担当した。
けれど完成品を壇上で掲げ、喝采を浴びたのはガイウスである。それ自体は、今さらだった。
エレナは表舞台に立つことが得意ではないし、ガイウスは人前で話すのが上手い。婚約者同士なのだから、工房の成功は二人の成功だと、ずっとそう考えてきた。
だからこそ、彼が大勢の前で婚約破棄を告げたとき、エレナはすぐには意味を飲み込めなかった。耳には入った。言葉も理解した。それなのに頭の中だけが、ひどく静かだった。
「……今日限り、ですか?」
自分でも驚くほど平坦な声が出た。胸の奥では何かが急に冷えていたけれど、泣きたいのか、怒りたいのか、自分でもまだ分からない。
「ああ。こういうことは曖昧にするべきじゃないからな」
ガイウスは妙に晴れやかな顔で言い切った。
彼の隣には、桃色のドレスをまとった男爵令嬢セシリアが立っている。艶やかな金髪に宝石を散らし、胸元にはこの工房で作られた装飾用の魔導石を下げていた。
エレナが三日かけて調整した品である。
そのことに気づいた瞬間、胸の奥がわずかに疼いた。あれを作った夜は、ガイウスに「急ぎなんだ。頼むよ」と言われた。予定していた睡眠時間を削り、ひとりで何度も調整をやり直した。
まさか、それが彼の新しい恋人への贈り物だったとは思わなかった。
腹が立つより先に、ひどく馬鹿らしくなった。
「私からも、ごめんなさいね、エレナ様。こんな形になってしまうなんて思っていなかったの。でも、人の気持ちというものは止められないでしょう?」
セシリアは困ったように眉を下げながらも、ガイウスの腕にはしっかりと手を添えていた。
「セシリア、君が謝る必要はない。悪いのは、婚約者でありながら俺を支えきれなかった彼女だ」
その言葉に、エレナはほんの少し息を止めた。
支えきれなかった。その評価だけは、予想していなかった。
朝から工房へ出て、帳簿を確認し、納品前の検品をし、弟子が失敗した部品を直し、夜になれば試作品を作る。ガイウスが商談へ出ている間も、舞踏会で人脈を広げている間も、エレナは工房に残っていた。
それを「支えきれなかった」と言われるのなら、自分はいったい何をしていたのだろう。
「エレナ、俺はこれまで随分と我慢してきた。君は地味で、社交の場ではろくに話もできない。客が来ても工房の奥に引っ込んでいるばかりだ。俺がこれから一流の魔導具師としてさらに上を目指すなら、隣に必要なのは君のような女じゃない」
周囲にざわめきが広がった。中には面白そうにこちらを見ている者もいる。
エレナは手にしていた酒杯をそっと置いた。指先がわずかに震えていた。それを見られたくなくて、片手でもう片方の手首を押さえる。
悔しい。
そう認めた瞬間、少しだけ楽になった。
婚約がなくなることより、これまでの年月を丸ごと無意味だったように言われることが、悔しかった。
「なるほど。では、婚約だけではなく、工房での仕事も今日までという理解でよろしいですか?」
泣きもせず問い返したことが気に入らなかったのか、ガイウスの眉がわずかに動いた。
「もちろんだ。婚約を解消した女をいつまでも工房に置いておく理由はないだろう」
「分かりました」
答えると、今度はセシリアが目を丸くした。
「それだけですの?」
「ほかに何かございますか?」
「だって……普通、もう少し取り乱すものではなくて?」
悪意というより、本当に不思議そうだった。
エレナは一瞬、返事に迷った。本当は、大声で何か言えば楽になるのかもしれない。裏切られたと責めてもいいし、ふざけるなと怒鳴ってもいい。
けれど、ここで泣いて縋ったところで、ガイウスの気持ちは戻らない。それどころか、きっと「みっともない」と笑われる。それだけは嫌だった。
「驚いてはいます。ただ、決まったことを大声で否定しても、決定そのものが変わるわけではありませんので」
それを聞いて、何人かが小さく笑った。
地味な女らしい、可愛げのない返事だと思われたのだろう。その笑い声が耳に刺さり、エレナは奥歯をそっと噛んだ。
平気ではない。平気なふりをしているだけだ。
けれど、それをこの人たちに説明する義理もなかった。
ガイウスも鼻で笑った。
「そういうところだ、エレナ。女ならもう少し愛想というものを覚えるべきだったな。君は工房に籠もって、細かい部品を弄っているだけで、人を惹きつけるものが何もない」
細かい部品。
その言葉を聞いた瞬間、先ほどまでとは違う熱が胸の奥に生まれた。
彼が今夜、自分の最高傑作だと胸を張って紹介した魔導灯の心臓部も、その「細かい部品」で動いている。
何度も失敗した。最初の試作品は熱を持ちすぎて焼け、二つ目は出力を上げると魔力回路が不安定になった。三つ目でようやく形が見え、そこからさらに何十回も微調整した。
眠気で目が霞んでも、指を切って血が出ても、あと少しだけと机に向かった。
あれを。自分の技術を。ただの細かい作業と呼ぶのか。
エレナはガイウスを見つめた。言い返したい言葉はいくらでもあったけれど、喉元までせり上がったそれらを、一つずつ飲み込む。
自分の仕事の価値を、自分で知らないわけではない。だからこそ、それを理解する気のない人間に、今さら必死で説明したくなかった。
「では、契約上の整理だけさせてください」
「契約?」
「はい。私が製作、調整した魔導具について、今後は一切の保守を行いません。定期調整、故障時の修理、魔導核の交換、予備部品の製作も含みます。また、現在工房に残っている未完成品についても、私は完成までの責任を負いません」
ガイウスは一瞬、何を言われたのか分からないという顔をしたが、やがて肩をすくめた。
「そんなことか」
エレナの胸の奥に、ほんのわずかな期待が残っていたことを、その一言で知った。
もしかしたら、自分がいなくなることの意味くらいは分かっているかもしれない。婚約者としては不要でも、職人としては多少なりとも必要だったのだと。
そんなくだらない期待が、どこかに残っていた。それが今、完全に消えた。
「念のため確認しています。私個人が設計した専用部品の寸法表や、調整記録も持ち帰ります。工房側には完成品の設計図がありますから、今後はそちらで対応してください」
「好きにしろ」
あまりにあっさりした返事だったので、エレナは少しだけ黙った。
本当に理解していない。その事実が可笑しくて、同時にひどく虚しかった。
工房で販売している魔導具の設計図は存在する。だが、それだけで同じものが作れるなら、エレナが毎晩遅くまで残って一つずつ魔導核を調整する必要などなかった。
魔力の流れは素材ごとに違う。ほんのわずかな厚みの差、結晶の癖、刻印の深さで出力は変化する。エレナは測定器の数値と自分の指先の感覚を照らし合わせ、個体ごとに最終調整を施していた。
その工程をガイウスは何度も見ている。けれど見ていることと、理解していることは同じではないらしい。
「本当に、それでよろしいのですね?」
最後の確認だった。仕事の話として。同時に、長い婚約期間そのものへの、最後の確認でもあった。
「しつこいな」
ガイウスの顔に苛立ちが浮かんだ。
「君がやっていた程度のことなら、弟子に覚えさせれば済む。むしろ今まで、簡単な仕事を抱え込んで自分にしかできないように見せていたんじゃないのか?」
周囲から、また笑い声が漏れた。
今度は、さすがに胸の奥がきつく縮んだ。
簡単な仕事。自分にしかできないように見せていた。そう思われていたのか。今までずっと。
一緒に工房を大きくしてきたつもりだった。不器用でも、役に立てていると思っていた。ガイウスが「助かった」と笑えば、それだけで疲れも忘れたことが何度もあった。
あれも全部、自分だけが意味を持たせていたのかもしれない。
視界が少し滲んだ。エレナは一度だけ瞬きをして、それを押し戻した。
ここでは泣かない。少なくとも、この人の前では。
「承知しました。では、本日をもってすべて終了とします」
「ああ。明日から来なくていい」
「分かりました」
エレナは一礼した。それで話は終わった。少なくとも、彼女の中では終わらせることにした。
工房の奥にある小さな作業室へ向かい、自分の私物だけをまとめる。
着替えが二着。使い込んだ革手袋。それから、父が生前に買ってくれた工具箱。
蓋の角にはいくつも傷がつき、取っ手の革は手になじむほど柔らかくなっている。それを見た途端、急に胸が詰まった。
『道具は、最後までお前を裏切らない。ちゃんと手入れしてやれ』
父の声を思い出したからだ。
「……そうね」
誰に聞かせるでもなく呟き、工具箱の留め具を閉じた。
持ち出したのは、それだけだった。棚に並ぶ試作品には触れなかった。あれらは自分が作ったものではあるが、材料費は工房から出ている。所有権まで主張する気はない。
ただし、ノートだけは別だ。
魔導核を削る際の癖や、素材ごとの魔力伝導率を書き込んだ個人研究の記録は、自分の鞄へ入れた。
その作業をしているうちに、少しずつ気持ちが落ち着いてきた。不思議なものだ。人間関係は突然壊れるのに、工具は同じ場所にあり、ノートには昨日と同じ数字が並んでいる。
変わらないものに触れていると、自分まで元に戻っていくようだった。
工具箱を抱えて表へ戻ると、まだ夜会は続いていた。
ガイウスはすでにセシリアを隣に置き、次の新作について得意げに語っている。
「今後はさらに高出力の魔導具にも取り組むつもりです。これまで以上のものを作ってみせますよ」
エレナは思わず足を止めた。
高出力化するなら、現在の魔導核では発熱対策が必要になる。その試作も途中まで進めていた。今までなら、明日の朝一番にでも続きを始めただろう。
頭の中には、すでに改善案が三つ浮かんでいる。その癖が、少し悲しかった。
もう自分には関係のない工房なのに、それでも反射的に次の工程を考えてしまう。
「……もう、いいのよね」
小さく呟いてから、エレナは今度こそ歩き出した。
工房を出ると、雨が降っていた。
春先とは思えない冷たい雨で、石畳の上に薄い霧のような水煙が立っている。
「傘……置いてきましたね」
思わず独り言が出た。
一瞬だけ、取りに戻ろうかと思った。けれど扉の向こうから聞こえてくる笑い声に足が止まる。
今戻れば、また顔を合わせる。それが嫌で、エレナは首を振った。
「一本くらい、買えばいいでしょう」
負け惜しみのように言ってみる。財布の中身を思い出すと、少し心細くなった。
工房からもらっていた金は、給金というより生活費に近い。貯えも多くない。
実家の子爵家はもうない。父が亡くなった後、爵位も屋敷も遠縁の親族へ引き継がれた。ガイウスとの結婚を前提に工房へ住み込むようになっていたため、今夜泊まる場所すら決めていない。
ここへ来てようやく、婚約を失ったという事実とは別の重さがのしかかってきた。
仕事もない。家もない。明日から何をすればいいのかも分からない。
「……これは、ちょっと困りましたね」
口に出したら、急に笑えてきた。悲しいのか可笑しいのか、自分でもよく分からない。
人生でこれほど見事に、何もかも同時になくなることがあるのだろうか。
工具箱だけは濡らしたくないので、自分の外套で包む。そのせいで肩には容赦なく雨が落ちてきた。
冷たい。髪も頬も濡れていく。
さっきまで我慢していたものまで、雨と一緒に流れてしまえばいいのにと思った。
けれど涙は出なかった。
泣けない自分を少し薄情だと思い、すぐに違うと思い直す。泣くかどうかと、傷ついているかどうかは別だ。
「まあ……職人なら、工具さえあれば何とかなるでしょう」
自分で口にすると、あまりに無責任で、今度こそ小さく笑った。
けれど、さっきより少しだけ呼吸はしやすかった。
誰かに必要とされなくても、少なくとも、自分の手までなくなったわけではない。
雨の中を歩き始めて間もなく、背後から馬車の音が近づいてきた。
黒塗りの大型馬車だった。王都でも滅多に見ないほど立派な造りで、車輪には衝撃を吸収する魔導具まで取り付けられている。
エレナは思わずそちらへ目を奪われた。装置の構造が気になったのだ。
こんな状況でも魔導具を見るとそちらへ意識が向く自分に、少し呆れる。
その馬車が、エレナのすぐ脇で止まった。
「……私?」
心当たりはない。
扉が開き、一人の青年が降りてきた。
雨の夜でも分かる銀色の髪に、冷たい印象を与える青灰色の瞳。長身で、装飾を抑えた黒い外套をまとっている。
その顔には見覚えがあった。
「以前、工房へいらした……」
一度だけ来店した客だ。
他の客が見栄えや価格ばかり尋ねる中、その青年だけは魔導灯を裏返し、魔導核の構造について細かな質問をしてきた。
ガイウスが答えを濁したため、結局エレナが奥から呼ばれ、ほんの数分だけ説明した覚えがある。
あのとき彼は、話の途中で一度も退屈そうな顔をしなかった。それだけで、妙に印象に残っていた。
「覚えていたか」
「珍しい質問をされる方でしたから」
「私は逆だ。君のことを忘れたことはない」
いきなり何を言われたのか分からず、エレナは瞬きをした。
今日一日で、理解しにくい言葉を随分聞かされている気がする。
青年は彼女が抱えている工具箱を見た。
「工房を辞めたそうだな」
「……ずいぶん早いですね」
警戒心が湧いた。
「追っていたからな」
「私をですか?」
「ああ。君が作った魔導核を見た瞬間から、製作者を探していた。あの大きさで、あの出力を安定させる技術は、少なくとも私の国には存在しない」
エレナはしばらく返事ができなかった。雨の音が急に遠くなる。
褒められている。
しかも、完成品の見栄えでも、ガイウスの名声でもなく、自分が最も時間をかけてきた魔導核そのものを。
胸の奥に、熱いものが込み上げた。
先ほどまでどれだけ侮辱されても泣かなかったのに、こんな言葉で目の奥が熱くなることが悔しかった。慌てて視線を逸らす。
「ガイウス様ではなく、私が作ったと……どうして分かったのですか?」
「彼に製法を尋ねた」
「……それだけですか?」
「それで十分だった。自分で作った人間なら、あんな答え方はしない」
あまりにも当然のように言われ、エレナは息を呑んだ。
それだけで分かるのか。仕事を見れば、作った人間が誰なのか。
あれだけ長く傍にいた人には分かってもらえなかったのに、たった一度会っただけの人が、そこまで見抜いていた。
嬉しかった。同時に、少し腹立たしかった。
だったら自分は今まで何をしていたのだろう。どうしてもっと早く、外の世界を見ようとしなかったのだろう。
いくつもの感情が胸の中で絡まり、うまく言葉にならない。
「エレナ。行く場所は決まっているか?」
「いいえ。正確には、今から探すところです」
少しだけ自嘲して答えると、青年はわずかに頷いた。
「なら、都合がいい」
「都合がいい?」
彼は手袋を外し、素手を差し出した。雨の冷たさを気にする様子もない。
「我が国へ来ないか」
エレナは、その手と青年の顔を交互に見た。
あまりに話が大きすぎる。
「……失礼ですが、あなたはいったい」
青年は一瞬だけ黙ったあと、淡々と名乗った。
「クロムウェル・アルヴァレス」
その名前を知らない者は、この大陸にはほとんどいない。
アルヴァレス帝国皇帝。
二十七歳にして内乱を終結させ、腐敗貴族を容赦なく粛清したことから、冷徹皇帝と呼ばれる男。
エレナは工具箱を落としかけた。
「皇帝陛下……?」
「そう呼ばれる立場ではある」
「なぜ皇帝陛下が、雨の中で私を待っていらっしゃるんですか」
驚きすぎて、敬語として正しいのかどうかも分からなくなってきた。
「待つ価値があるからだ」
即答だった。
エレナはまた黙った。
今日はずっと、自分には価値がないと言われ続けたようなものだった。地味で、愛想がなく、役に立たず、簡単な仕事をしているだけ。
それなのに今、目の前の男は正反対のことを言っている。
「設備も用意する。材料も研究費も、必要なだけ申請すればいい。君が望むなら、専用の工房も持たせる」
「ずいぶん簡単におっしゃいますね」
警戒するべきなのに、声が少し揺れた。
「簡単ではない。だからこそ、君に言っている」
「でも……私は」
そこで言葉が止まった。
私は、何だというのだろう。
無名だ。爵位も失った。ガイウスの工房では、表に名前すら出ていなかった。
自分の作ったものを、自分の作品だと胸を張ったことさえほとんどない。そのくせ心のどこかでは、自分にはもっとできるのではないかと考えていた。
そんな自分が、少し恥ずかしかった。
「私には、それほどの価値があるのでしょうか」
気づけば、口にしていた。
聞いたあとで後悔した。あまりにも情けない問いだった。
けれどクロムウェルは笑わなかった。
「ある。少なくとも私は、そう判断している」
短い答えだった。
迷いもなかった。
胸の奥で、何かがほどけた。
危うく涙が落ちそうになり、エレナは慌てて雨空を見上げた。これなら泣いても、雨だと言い張れる。
そんなくだらないことを考えた自分が少し可笑しくて、口元が緩んだ。
クロムウェルは何も言わず、ただ待っていた。急かさず、慰めもせず、それでも差し出した手は引っ込めなかった。
「探していた、エレナ。君の技術を正当に評価できる場所へ来てほしい」
その声が、先ほどより少しだけ柔らかくなる。
正当に評価する。
その言葉は、今日受けたどの侮辱よりも深く胸に届いた。
悔しかった。嬉しかった。怖かった。期待して、また同じように捨てられたらどうしようとも思った。
それでも、何も持たずに雨の中へ放り出された今だからこそ、差し出された手の意味が痛いほど分かった。
エレナは工具箱を抱え直し、まだ少し震える自分の手を、クロムウェルの手へ伸ばした。
「……条件を、詳しく聞かせていただけますか」
それが今の彼女にできる、精一杯の一歩だった。
冷たい雨の中、つい先ほどまで「役に立たない」と言われていた自分に、隣国の皇帝が手を差し伸べている。
工房を追い出されたこの夜が、人生で最悪の日になるのか。それとも、すべてが変わる最初の日になるのか。
エレナにはまだ分からなかった。
ただ、さっきまでより少しだけ、この先を見てみたいと思っていた。




