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第7話:夏美軍団出動

中村家は普段、土曜日は遅くまで寝ていた。聡は布団の下で大いびきをかいている。夏美は一週間の必死の買い物から回復中だ。しかし、その朝日は前代未聞の異変をもたらした。


小さな丸い影が、むっくりと即座に起き上がった。六歳の健太が、いたずらっぽい大きな目を開けた。今日は目覚まし時計など必要なかった。特別な週末の朝のアニメ放送がもうすぐ始まるのだ。


健太はいつになく素早く毛布を蹴り飛ばした。静かな寝室からえっちらおっちらと行進していく。太くて表情豊かな眉毛が、純粋な興奮でぴくぴくと動いた。彼はまっすぐ薄暗い居間へと向かった。


ふわふわの黒い足が行く手に伸びた。ふさふさの黒猫クロが、大きなあくびをした。ペットは主人の早起きに困惑しているようだった。健太はクロの丸い頭を手早くポンポンと撫でた。


「おはよう、クロ」健太はとても大きな声でささやいた。「スーパー仮面が僕を待ってるんだ」


彼は障子をカチリと音を立てて開けた。テレビの画面が薄暗い部屋を照らし出した。アニメのレーザー光線が健太の目にまばゆく反射した。彼はヒーローの真似をしてドラマチックなポーズを決めた。


「アワワワ!正義はいつだって早起きなのだ!」


寝室から、重たい枕が飛んできた。それは健太の後頭部に完璧に命中した。


「静かにしなさい、健太!」眠りの中から夏美の金切り声が響いた。


聡は大声でうめき、毛布を耳まで引き上げた。健太は頭をさすりながら、憎らしげにクスクス笑った。中村家のカオスな週末が幕を開けたのだ。


---


健太は枕が当たった頭をさすった。彼の腹が、雷のように轟く要求の唸りをあげた。


「真のヒーローには伝説の朝食が必要だ」健太は宣言した。


彼は絶対の自信をもって台所へ行進した。冷蔵庫の扉は重かったが、力いっぱい引っ張った。中には新品の高級牛乳のパックがあった。夏美は、誰も早く開けてはいけないと固く禁じていた。健太は小憎たらしい笑みを浮かべ、とにかくそれを引きずり出した。


彼はガタガタの木製の台所用踏み台によじ登った。お気に入りのカラフルなプラスチックのボウルを取ろうと、高く手を伸ばした。中にチョコスターシリアルを一箱丸ごとぶちまけた。甘いピースはあふれ出し、カウンターの上にこぼれ落ちた。次はいよいよ最大の挑戦、牛乳を注ぐことだった。


重たいパックが、彼のベトベトの小さな手から滑り落ちた。巨大な白い津波がテーブルの上に押し寄せた。牛乳は戸棚をつたい、床にまで滴り落ちた。黒猫のクロが、目をまんまるにしてトコトコと入ってきた。彼はすぐさま水たまりを嬉しそうに舐め始めた。


「グッジョブ、クロ」健太はささやき、証拠を消し去った。「君は救助部隊の重要な一員だよ」


散らかったのを片付けようと、健太は夏美のお気に入りのタオルを掴んだ。彼は牛乳とチョコレートをベトベトのペーストになるまで塗り広げた。突然、重く怒った足音が廊下に響き渡った。


夏美が入り口に立ち、顔を完全に暗くしていた。「健太! なにやったの?!」彼女は叫んだ。


健太はくるりと向き直り、太い眉毛を無垢そうにピクピク動かした。「ママに朝ごはんを作ってあげてただけだよ」と彼は声を張り上げた。


---


夏美の髪は鬼のように逆立っていた。怒りに燃える額には、血管がありありと脈打っていた。健太は安全のため、素早く台所のカウンターの後ろに滑り込んだ。彼には陽動作戦が必要だった。今すぐに。


タイミングよく、引き戸がギーッと音を立てて開いた。聡が欠伸をし、背中をかきながら台所によろよろと入ってきた。彼は皺くちゃの緑のパジャマに、左右違う靴下を履いていた。


「朝っぱらから何をそんなに騒いで——」


聡は最後まで言い終えることができなかった。彼の裸足が、ベトベトの牛乳の水たまりにまともに踏み込んだ。彼は完全にバランスを失い、両腕を空中で振り回した。大きな衝突音とともに、彼は床板にすっ転んだ。その顔は、まだ牛乳を舐め続けているクロからほんの数センチのところに着地した。


「あなた! 自分の息子がやったことを見て!」夏美が金切り声をあげた。


聡は床に倒れたまま、痣になった腰をさすりながらうめいた。「なんで僕が怒鳴られるんだ?」と彼は文句を言った。


健太は責任を転嫁する絶好のチャンスを見逃さなかった。彼は、寝ぼけている父親に向かって、芝居がかった指を突きつけた。「父さん、寝ぼけて歩いて、クロの牛乳を飲んじゃダメだよ!」


「飲んでない!」聡は顔を真っ赤にして怒鳴った。


夏美は腕を組み、二人を見下ろして睨みつけた。台所は台無し、週末はまだ始まったばかりだった。「二人とも」夏美は、背筋が凍るようなささやき声で言った。「今すぐこれを片付けなさい。さもないと一週間テレビはなしだからね」


健太と聡は、純粋な相互パニックの表情を交わした。テレビは彼らの神聖な週末の儀式だった。父と息子のチームは即座に雑巾とバケツを掴んだ。


---


聡はベトベトの床板をこするのに忙しかった。彼の背中は向けられ、ため息が部屋に満ちていた。夏美はもっと石けんを取るために風呂場へと大股で向かっていた。健太は完璧なチャンスの窓を認識した。


彼は濡れた雑巾を聡の足の上に落とした。「幸運を、兵士よ」健太は敬礼しながらささやいた。


彼は腹ばいになって這い始めた。彼はステルス工作員のように畳の上を移動した。クロはソファから、黒い尻尾をピクピクさせながら見守っていた。健太は廊下の壁に背中を押し当て、息を潜めた。音も立てずに廊下の物入れを通り過ぎた。中村家の玄関がついに見えてきた。


彼の小さな手がサムターンに手を伸ばした。彼はじれったいほどゆっくりとカチリとロックを回した。明るい黄色の靴に足を滑り込ませた。やっとすり抜けられるくらいの幅に玄関のドアを開けた。


「健太! 一体どこに行くんだ?!」台所から聡が怒鳴った。


健太は振り返らなかった。彼は門を飛び出し、陽のあたる通りを全力疾走した。涼しい朝の空気が、絶対的な自由のように感じられた。彼は誇らしげで腰を振る行進へと減速した。彼は雑用のダンジョンからの脱出に成功したのだ。今や杉戸の近所は、彼の個人的な遊び場だった。


---


健太はトレードマークの小憎たらしい笑い声をあげながら通りを行進した。彼はベトベトの台所から自由になった。彼は恐ろしい掃除の雑巾から自由になったのだ。


突然、奇妙でリズミカルなどしどしという物音がアスファルトを振動させた。健太は誇らしげな腰振りをやめ、肩越しに振り返った。通りの端から土埃の雲が立ち上っていた。その土埃の中から、恐ろしいスピードで走る人影が現れた。


それは夏美で、その顔は純粋で混じりけのない怒りに歪んでいた。しかし彼女は一人ではなかった。すぐ隣を、まったく同じ身長の別の女性が走っていた。そしてもう一人。さらにもう一人。


まったく同じ背丈の女性たちの一個分隊が通りに雪崩れ込んだ。一人は鋭く尖ったブロンドのポニーテールをしていた。別の一人は厳格で容赦のないビジネスボブ。三番目は長く流れる紫色の巻き毛だったが、その目はまったく同じ怒りで燃えていた。


「健太! 戻ってきなさーい!」二十もの異なる声が完璧なユニゾンで轟いた。


恐ろしい合唱が近所中に響き渡った。彼女たちはシンクロした陸上チームのように動き、リズムに合わせて足を踏み鳴らした。どの顔も、それぞれ異なっていながらも、怒れる母の究極の怒りを湛えていた。


健太の大きな目は、ディナープレートほどの大きさに見開かれた。彼の太い眉は一直線に生え際まで吊り上がった。


「夏美軍団が出動した!」彼はパニックで叫んだ。


彼は黄色い靴のままくるりと向きを変え、命からがら走り出した。背後では、そっくりさんたちの雷のような大群が急速に追い上げてくる。彼の平和な朝の散歩は、一触即発のサバイバル映画へと変わっていた。

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