第六十四話 真相へ
時はレイがシンと出会い、その後『獣人の国』へ帰還した際である。
レイはギルドへ戻り依頼の達成報告と両親にカナリアのことを話した。その時期に、国では次期王の継承式の準備へと取り掛かっていた。
その頃、ギルドから一枚の手紙が届いた。
『王から依頼指定が入っています。この手紙を受け取ってから三日以内にギルドへお越しください』
時間もあるので、その手紙を受け取ってからすぐギルドへ向かった。
◇
「お待ちしておりました、レイ様」
ギルドへ着き、受付に手紙を見せたら待機していたスタッフに応接室へ案内された。
ここから王様へ面会するまでポンポンと行く。応接室でギルドマスターから手紙の内容の詳細を聞いた。この国で進められている次期王継承式の準備が関係していた。
軽く話をまとめてしまえば、獣人の国『ティア』の次期王継承式を行うための会場への護衛として、冒険ランクが高い冒険者、それでレイが選ばれたのである。
これはチャンスだと直感した。レイは冒険者という役職を理由に獣人の国の信頼を得て、姉のカナリアのあの日起きた出来事を明らかにすること。そして、今回は護衛任務という形で仕事をするため後日、王と対面する際に城の中へ入ることになる。その際に城で手がかりを探すことだってできる。それらを視野に入れて今回の依頼を受けることにした。
「わかりました、ではギルドからドノヴァン・エスルマ様へそう連絡をします。お手数をおかけしますが、後日またそちらにお城へと招待状が届くと思われますので、その際はその記載されている通りに行ってください」
説明を受けてからレイは一度家へ帰って、城からの招待状を待ったがそんなに時間はかからなかった。ギルドの仕事が早いのか翌日には招待状が家のポストへ入っていた。
「……明日、城へ行けばいい、と」
詳しくは書かれていないが、ある程度の正装で向かうことにした。
◇
「よく来たな、冒険者レイ。護衛依頼を受けてくれたこと、感謝するぞ」
日が変わり、城へ訪れたレイはそのまま王室へ案内され、ここティアの王であるドノヴァン・エスルマの前にいるのだ。
「早速だが、護衛依頼の内容を説明しよう」
ドノヴァンは指を鳴らすと隣にいた執事らしき人が出てきて、巻物の紐をほどき今回の護衛依頼の内容を話し始めた。
「この国『ティア』の次期王を決める日、冒険者レイは王都の冒険者と共にこの先奥になる森を抜けるための護衛を務めてもらう。報酬は名誉ある称号を授けると」
別に報酬とかはどうでもいい、そう思っていると依頼内容に疑問を抱くことがあったことに気づいた。
「ドノヴァン様、発言をしてもよろしいですか?」
「……なんだ?」
「王都の冒険者と共に、とおっしゃっていましたが、それはなぜですか?」
「王都には冒険者になって一年足らずで最高ランクSSSへ上った者がいる。そんなものがいる国と国際問題を起こしてみろ、この国が滅んでもおかしくはない」
「つまり、王都の方々をお招きし、協力関係にと」
ドノヴァンは頷く。確かに、SSSランク冒険者は今までなった事例はない。Sランクはともかく、その上のSS、SSSは冒険者の人数を沸き上がらせる餌のようなもの。そんなものになった人物がいるとなると、王よりも権限が高い、下手に王都と関係を悪化させるとどうなるか分かったものじゃない。
「まあ、王都の王とその護衛に数人来るよう言ってある。つまり、冒険者レイはこちらの冒険者数名と共に我らの護衛をしてもらう」
「……わかりました」
こうして、レイは王との面会を終了し、別室で当日の詳細が記された紙に目を通していた。
王都の冒険者三人とこちらの冒険者三人の計六人で護衛を務める。護衛対象はドノヴァンとその息子ヴァファー、ドノヴァンの弟エファラ、王都の王カリストだ。三つの馬車が用意される中でそれぞれ二人ずつ護衛に着く。
継承式は、森の奥で行われ次期王を決める。その中で現在王として君臨しているドノヴァンの息子ヴァファーと、ドノヴァンの弟エファラの二人のどちらかが選ばれる。
まだ王として存在するドノヴァンがいるのに対し次期王を決める儀式を行るのか分からなかった。そう思っていると、レイがいる部屋の扉がノックされた。
「ここに今回の護衛依頼を受けたという冒険者レイがいると聞いたのだが?」
「はい、わたくしがレイです。どうぞ、入ってきてくださ……あなたは」
レイの部屋に入ってきた男は、ドノヴァンの弟エファラ・エスルマだった。
「エファラ様でしたか、先ほどの発言をお許しください」
「いやいいんだ、王家の人間だがあまりそういったのはこだわらないから気楽にしてくれ」
「そう……言われましても」
あははと苦笑するエファラがレイの目の前の椅子に座った。
「それでね、冒険者レイ……いや、レイ君と呼んでもいいかい?」
「えっと、はい」
「ありがとう、それじゃあ今回の依頼は次期王継承式でティアの次期王を決める儀式で君はわたしか、兄の息子ヴァファー、どちらが選ばれると思うかい?」
「……この質問に意味は?」
下手に答えるとレイの首が飛ぶと考え、質問の意図を探ることにした。当然怪しまれると想定していたのかエファラは慌てたように弁明をし始めた。
「えっと、意味としては君に真実を伝えられるかどうかの試験みたいなものかな」
「試験?」
「そう、君は兄の悪行を知っているかい?」
この人は何を話そうとしているのか、それを言うということは下手すれば自身が危険にさらすということ。
「ちょ、ちょっと待ってください! 何を言い始めるんですか!?」
「大丈夫だよ、この部屋にはあらかじめ魔法で外には会話の内容は聞かれないように対策はしているよ」
「そうゆう問題じゃありません! 自分が漏らすと言った危機感はないんですか!」
「ないよ」
すがすがしいように話すエファラに、どこにそんな自信があるのかわからないレイにとって不思議でたまらない。エファラは、王家としては優秀な方ではあるが王の座にドノヴァンが座ったことによって彼の活躍は止まってしまったのだ。だからこそ、彼が考えていることは悪としてとらえることもできる。
「それじゃあ、なぜこんなことを話そうとするんですか?」
その質問に彼から信じられない答えが返ってきた。
「君が、あの日行方不明になってしまったカナリアという少女の弟だからだよ」




