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第六十一話 偶然の再開

 入国してから数日は滞在して、そこからティアの王”ドノヴァン・エスルマ”に面会して、そっから継承式へ移るという。それまで時間があるため、ティアを観光することになった。あまり乗り気でないのだが、ミアとニアが行きたいというので引っ張られる感じで連れ回されている。


 ティアを観光と言ったが、王都が都会であれば獣人の国は田舎というか森の建物というか自然の中にいるということ、また右左と獣人だらけということだ。むしろ、人間がたまに見かける程度の人口の差である。


 ミアとニアにとって、同じ獣人族を見かけないため珍しい目で辺りを見回している。獣人族はティアを基本拠点として活動しているため、国を出てはない。


 そうして歩いていると自然に獣人の国のギルドへとたどり着いた。


「ご主人様、少し覗いてみる?」

「あるじ、気になる」


 たしかに王都で活動している自分たちからすれば気になるのは当然だ。まあ、帝国のギルドには行ったことはあるけどあれから行っていない。確かに他のギルドの雰囲気に気になる。なので中へ入ることにした。



 どのギルドでも賑わいがあるのは変わらなかった。ただ、やっぱり獣人族しか見当たらない。その中で、聞いたことある声がシンを呼んだ。


「あれ、シン? こんなところで会うなんて珍しいな」


 振り向くと、レイド戦で一緒に戦った仲間のレナードだった。珍しいっと言われてもと思ったが、それはそうとお前がなんでおるんだ? ってなっている。ちなみに、久しぶりではない。宴の日も彼ら『デリカウス』も参加していた。


「そうゆうお前は?」

「俺は依頼でな。ほら、前に王都でちょっと喧嘩したレイのこと覚えているか?」


 レイ、彼はカナリアの実の弟だ。ここティアで冒険者として活動している。今言われて思い出したが、レナードはレイから人探しの協力をしているのだ。それはレイの姉、そうカナリア、自分だ。


 少し考えていると久しぶりの声が聞こえた。


「やあレナード、わざわざすまない……って、見覚えがいると思ったらシンでしたか」

「ああ、久しぶりだな」


 会話は続かない。あまり続けたくない。そんなこんなで解散をしようとすると、レイから話しかけられた。


「シン、あなたも今度行われる継承式に出るんですね」

「ああ、けどそんな情報外部には出回らないって聞いたけど……」

「俺も護衛としてついていくことになっているんだ。こう見えて、俺はこの国でトップクラスの冒険者なんだ」


 つまり、当日の継承式は一緒に護衛として動くということ。


「……そう、まあ、そうか」


 シンの違和感のある言葉にレイは疑問を抱く。


「何か問題でも?」

「いや、気を悪くしたのならすまない。ただ――」


 シンが言葉をつづけようとした瞬間、レイはシンの肩に手を乗せて言葉を止めた。


「わかっている、ただし今は彼女の話を出さないでください」


 レイの目配りにシンは察した。レイは真実までにはたどり着いてはいないものの、それに近づくヒントは得たのだろう。そして、この国は金で闇を買う場所だ。そこらに話を密告する奴がいるかもしれない。だからシンはレイの手を下した。


「……わかった。まあ、あと数日あるが俺はこいつらとこの国を適当にぶらついている。もし何かあったら見つけてくれ」


 なんの話か全部は理解していないが、大事な話ということはわかっているミアとニアを連れてギルドを出た。それと、レイがシンの肩に手を置いた時に受け取った紙を見て計画が完成した。継承式で確実にすべてを話せるタイミングが生まれたからだ。そんなこんなで、当日までおとなしく待っていることにした。


 しかし、継承式前日にレイからの提案に気が引いた。今、会いたくない相手の面会と。

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