第五十六話 次のステップのはずが...
シンが目覚めてから十日後、王都の城ではシンと仲間のミアとニア、レイド討伐に協力したパーティー『デリカウス』がそれぞれランクが一づつ上がり表彰された。
そしてシンはSSSランクに昇格したことによって六日後の満月に宴が行われるという。
だから今回の会場の雰囲気はいつもより多くの人が閲覧していた。
そしたらこれからは何もなく終わった。と、いうか後はもう適当に流していたためすぐ終わった。
◇
「かなりあ――シン様!」
うん、ルナだ。彼女はいつも通りの笑顔でシンによって来た。そしていつもの部屋で俺とルナ、ミアにニアと一緒にお茶会をした。俺は今すぐ帰りたい気持ちだったがこればかし付き合ってあげないとだなって思いおやつを食べている。
「改めて、シン様、ミアにニア。巨大ドラゴン討伐、お疲れさまでした」
ルナは俺たちにお辞儀をして感謝を示した。まあ、依頼とはいえ王都を救ったんだ。それにしても...
「そしてカナリア様、先日の腐食の件、感謝します」
「さあ、なんのことかな」
「謎の狐の少女であんなことができるのはあなただけですよ」
お見通しであると言わんばかりの顔で言われてはかなわない。そんな会話をしていると、ルナが真剣な顔になり、持っていたコップを置いてカナリアに向かって一つ、
「カナリア様。実は、お願いがあるんです」
◇
会話を終わらせ、ルナのお願いを保留といった形で帰ろうとしたところ廊下で一人の少女とすれ違った。
ルナと同じ貴族の女の子なのか綺麗な服装で物静かな雰囲気をまとっていた。
「あ、イム!」
ルナはイムという少女に近づき何かを話し彼女をこちらへ連れて戻ってきた。
「紹介します、彼女の名前はイム・ルーメン。私の従妹です」
「……はじめまして、イム・ルーメンです」
イムはシンたちに向かってお辞儀をした。黒髪で貴族でも柄もない黒のヘアゴムでポニーテールをしていた。そんな彼女を見ていると自分も自己紹介をしないとと思い口を開いた。
「こちらこそはじめまして、SSS冒険者のシンです。そして、この二人は俺の仲間のミアとニアです」
「……え、あ、はい」
イムはシンたちの自己紹介を聞くとなぜか戸惑って返事が遅れていた。彼女は意外と人見知りのようだが、シンの名前をぼそっと呟いた。そんなに珍しい名前なのかと思ったが長居する気もなかったのでささっと帰ろうとした。
「それじゃあ俺たちは――」
「ま、待ってください!」
彼女はおどおどしながら口に開いた言葉は、
「私と、婚約してください!」
その場の空気が止まった。シンもミアもニア、そしてルナまでもが目を丸くした。初対面の男性に婚約を迫っているのだ。当然である。
「ちょ、イム!? ダメです!!」
ルナは当然止める。だが、それは初対面の男性の婚約を注意ではなく、
「シン様と婚約するのは私です!!」
先ほどのルナのお願い、それはイムと同じく婚約だったのだ。
「いや、ルナ。お前のそれは保留って言ったじゃないか」
「いいえ、イムがシン様に婚約するのであれば今決めてください!!」
止めたもののルナとイムはいがみあいが始めた。
「ご主人様、モテるね」
「あるじ、罪な男」
「……はぁ」
当然ため息がつく。そして、ずっと黙っていた二人を見ると、
「何も問題ないよ、だってもう私たちはご主人様のものだから」
「はじめて、責任は取ってもらう」
確かに彼女たちは俺の大切な家族であるが””もの””として見ていないのに、彼女はシンの奴隷として、そして仲間という認識になっているためもうあとは彼女たちの好きにしている。それはそうとニア、お前のはじめてとはなんだ?
そんなこんなで今度の宴はシンの初のSSSランク冒険者の祝いと、ルナとイムの婚約発表になってしまったが、それはまた別のお話。
目標であったSSSランク冒険者になったシン。宿命を終わらせるため、故郷『ティア』へと向かう。だが、訪問の形が直接会いに行くのではなく『ティア』で、今度開催される次期王の継承式が森の奥で行われる。
シンはSSSランク冒険者として継承式のための護衛を任された。そうして仲間であるミアとニアを連れて故郷へ。そして現地で『デリカウス』のメンバーとカナリアの弟『レイ』と再会。
シンとしての最後の戦い。今、始まる。
第五章 完




