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第五十三話 最後の仕上げ、黒い何かと魔族

「これですべてが揃った。お前ら、その場から離れろ」


 これでチャックメイト、シンはドラゴンから離れるよう合図をした。これが最後の仕上げ。シンは指を鳴らし体から数えきれない小さな刃を出現させた。すべてが連なる刃を広げシンはそのままドラゴンへ突っ込んだ。


 ドラゴンは地面に倒れもう動けない状態だが突っ込んでくる男一人だけでも殺すと口を大きく広げブレスを放とうと赤い球体が生成されていった。


 どれだけ熱いだろうか地面が変色していっている。だがそんなことも気にせず突っ込んでいき、そのまま赤い球体を斬り裂き破壊してそのまま口の中へ入っていった。


 先ほどシンが展開していた刃がドラゴンの周りに集まっていき、シンがドラゴンの体の中心へ着いた瞬間、手を握りしめると刃がシンに向かって戻っていった。ドラゴンは動きを止め起き上げていた首が落ちた。そしてシンがまた指を鳴らすとドラゴンの体は血しぶきを上げ骨も残らずその場に血だけが残った。


「ふぅ、これで終わり。それはそうとドラゴンの中にこんな大きな魔石と……この黒いやつは何だ?」


 返り血でいろいろ真っ赤に染まったシンの手にはドラゴンの魔石、それも両手いっぱいの大きな水晶型とそれに纏まりついていた黒い何か。ドラゴンの魔石を収納して黒い何かだけを観察した。



 すべてが終わったと駆け寄ってきたレナード、アリアナ、ミア、ニアはシンの元へと走っていった。


「シン、無事か!」

「ああ、そっちこそ大丈夫だったか? それと一回みんな近づかないで」


 なんか抱きしめ合う気でいたことに止められたがシンが黒い何かを持っていることで察した。


「なあ、それって持っていて大丈夫なのか?」


 レナードの言う通りその場にいる人全員がその黒い何かに警戒している。魔力が濃いのだ。


「これは持つというより浮かせている。……これはどうするか迷っているんだが、使い道が今できた」

「え、それっ――誰だ!」


 シンの言葉と共に視線を向けた先には気配を全く感じなかった何者かが立っていた。そしてその人物はある人種の特徴であるものが付いている。それは魔族の角だ。


「ほお、あなたは私の気配を感じ取れるのですね」


 魔族は完全に気配を隠していたのに見破られるのかと少し興味深く見つめる。見た目からしてそれほど強くはないだろうが能力が厄介そうだ。


「で、この黒いものを回収しに来たの?」

「いえ、その黒霧は再利用します」


 魔族は指を振ると彼が言う黒霧がシンの体に入っていった。


「シン!」

「ご主人様!」


 シンは黒霧によって心臓が締め付けられる痛みに襲われた。それを心配する彼らはシンに寄り添いながら魔族に警戒をした。


「何をした!」


 レナードは魔族に剣を向け問いた。


「その黒霧は要は洗脳魔法だ。まあ、それを伝えたところでお前たちは死ぬのだからな」


 魔族は指をさす先は先ほどまで苦しんでいたシンが立っていた。だが様子が変だ。下を向き何かをつぶやいていた。


「シン、おま――」


 レナードが恐る恐るとシンに話しかけた瞬間、風圧が起きシンは消え、そしてある人物の心臓を貫いた。

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