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第三十九話 Sランク冒険者の昇格依頼

「はぁ、こんなことさっさと終わらせて帰りましょ」

「迷宮、不愉快」

「これが終わったらお前たちの欲しい物でも買ってあげるよ」


 二人の猫族の少女ミアとニアはめんどくさそうに迷宮内を歩いておりそんな二人をなだめるようにシンは自身の冒険者ランク昇格依頼に付き合わせているので彼女たちの欲しい物で機嫌を取ろうとしていた。


 ここは巨大迷宮と言ってダンジョンのようなものだ。


 シンたちがここにくるのは王様からの冒険者ランク昇格依頼で呼び出されたところから始まるのだ。

「ふむ、無事奴隷は買えたようだな。それで急な招集、先に謝罪する、すまない。だが、これは一刻を争う事態なのだ」


 ここは王都の王室でありシンは王様からの招集で訪れたのだ。その場の空気は緊張で(ざわ)めきそれだけ重大なことが起きていると察した。


「それで俺は何をしたらいい?」

「それは、迷宮攻略だ」


 迷宮、それは遥か昔に魔族が地上に生成した人工的ダンジョン。魔族の魔力は魔物を活発させる効果があるため迷宮を生成した際に魔族の魔力が充満しておりその魔力を作り出せる石があちこち埋め込まれ常に魔力が排出されるため魔力が切れることはない。そのため魔物が魔族の魔力に釣られその中に巣を作り、住み着き下へ進めば進むほど強力な魔物が生息している。そして魔物たちは一定の年月が経過すると魔族の魔力で自我を失い地上に出て暴れ出すのだ。過去に迷宮に閉じ込めていれば問題ないと当時思っていた人たちはその魔物たちによって全滅したと。なので定期的に迷宮に入り魔物を狩っていかなければならないと、自然ダンジョンとは違いダンジョンコアが存在しないためこれしか対処方がないのだ。


「つまり迷宮内の魔物がそろそろ出てきそうだから討伐をお願いと、いうことですね」

「そうだ、そしてこれは冒険者ランク昇格依頼でもある」


 いよいよSランクになれるチャンスにシンはもう決まっている。


「もちろん断る理由はない、ぜひやらせてもらう。それはそうと彼女たちも同行させてもいいですか?」

「もちろんだとも。それに、彼女たちも冒険者でありお主の奴隷なら今回の報酬でAランクにも昇格できるぞ」


 迷宮攻略はどんなランクでも入ることができるが今回は危険な状態の迷宮であるため当然の報酬だという。依頼の受注も完了したことだし早速迷宮へ向かおうとすると王様から呼び止められた。


「またれよ、実は今回の迷宮攻略はもう一組と共同で行ってもらうため明日の早朝に城の前へ来てもらえると助かる」

「了解した。ほら、二人ともそんな嫌な顔しないで行くぞ」


 ミアとニアは人にまだ慣れていないせいで王室に入っては周りの人たちに威嚇するように顔を向けながらシンの後ろに隠れていたがまさかの三人での迷宮に入るのではないと知った途端もう顔を見ただけでわかるぐらいに出していた。そんな二人の手を引っ張って王室を出ていった。


「あ、かなり――シン様!」


 王室を出て長い廊下を歩いていると遠くから一人の少女の声が聞こえた。もうわかりきっている人物がこちらに向かって走ってきた。そう、ルナだ。


「もうさ、それ……いやなんでもない。久しぶり、ルナ」

「はい、お久しぶりですかなり――シン様。」


 もうどんどん本名まで近づき今度会った時にはカナリアと呼ばれてしまうのかと思いながらルナと今回の依頼について話しミアとニアも紹介した。意外にも女の子同士ってものあるのかすぐに仲良くなっていた。なんでだろうね。


「そうだかなり――シン様、これを渡すよう頼まれていました。これは一人の時に読んでください」

「……わかった」


 ルナからこっそりと一枚の手紙と二つの宝石をもらった。それは他の人には知られては困ることだとわかり静かに受け取った。


「それではかなり――シン様、ミア様、ニア様。豪運を」


 話は終わりルナは城の門まで見送ってくれた。


「ルナって面白い子で気に入った」

「また会って、お話ししたい」


 二人はルナのことが気に入ったのか帰りの道中そんなことを口にしていた。


「今回の依頼が終われたばまた城にくる、そん時にまた話せばいいさ」


 そんな言葉をかけると二人は足をとめシンの方へ視線を向けた。シンは何かまずいことをいったと思ったが違った。


「あなたって家名持ちなんだ」

「カナリ・シン、不思議な名前」


 シンはここにも勘違いされてしまっている。そんな誤解を解きながら夕陽に照らされながら宿へ戻っていったのだった。

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