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第三十七話 念願の奴隷

「本当に傷なしでドラゴンの鱗を持ってくるとは。しかも、外に目立つような傷すりゃもなく、一体どんな手を使って……」

「簡単な話だ、ドラゴンを毒殺した」


 シンは奴隷店に戻って早速、ドラゴンの死体をオスボーンの元へ届けたのだ。依頼書ではドラゴンの鱗はなりべく損傷を避けると記載されているのに嘘みたいな立派な鱗に目が大きくなってしまっている。


「……なるほど。では、シン様、依頼達成おめでとうございます。では奴隷を保護している施設へご案内いたしますので翌日、ギルドでお待ちになっていてください。私が迎えに参ります」

「ここじゃないの?」


 奴隷が居るのならここの地下室とかで収容されているのかと思っていたが別のところにあるらしい。一応、奴隷店には国から認められて経営している公認と非公認で分かれていると。これは国際問題になってしまうからという理由でありそのため奴隷店をかまえるにはいくつかの条件が必要なのだと。一つは国からの許可。一つはその奴隷は孤児もしくは帰る家がない種族。一つは奴隷を養う責任がある者を見極める観察力。一つはその奴隷には最大限の食事や寝床、快適な居場所を用意すること。商売することが一番の問題になると思っているがお金をかけることで引き取る人物と買ってもえる獣人とは互いに損のない取引といった形になるのでそうなっているらしい。


 これを聞いたシンは奴隷店ってこんなにもいいところなんだと思った。だがきちんと認められた奴隷店でなければ死刑だと教えてもらいあの時ギルドに訪れて正解だったと思い返したのだった。



「――なので、奴隷店はあくまで保護施設なのです」


 翌日、オスボーンがギルドに来るまでの間、帝国のギルドの受付嬢であるマベリに奴隷店について詳しく聞くことにした。


 本来の獣人たちには故郷があるはずなのだがその故郷から追い出されたりして帰る家がない子供を保護、そしてその子供たちを責任もって世話をしお金に困らない人たちを奴隷商人が見極め売る、と言うと怪しい商売になってしまうがこれが奴隷店というイメージを維持するための取り組みらしい。奴隷にも大きく二つに区別される。奴隷を買うのが冒険者であれば力の強い獣人、一般人であれば家事などができる獣人だと。ちなみに、シンはギルドからの紹介で奴隷店へ行ったが、普通に奴隷店に訪れれば依頼を受け取ることができるらしい。ただ、ギルドからの紹介だけでも訪問よりは信頼度は増すらしい。


「なるほどね……いろいろ教えてくれてありがとう、それじゃあまた」

「はい! お役に立ててなりよりです!」


 奴隷店についてまとまったところでギルドの外からオスボーンの気配を察知し迎えが来たとわかりマベリに別れを言って出入口へと向かった。


「お待たせいたしました、シン様。では、お乗りください」


 ちょうど馬車が目の前に止まっておりそこからオスボーンが降りてきたのだ。シンはその馬車に乗り奴隷店が管理している保護施設へと向かったのだ。


「一つ聞き忘れていたのですが、シン様はなぜ奴隷を買おうと思ったのですか?」

「言ってなかったっけ? 俺は仲間が欲しいと思ったんだ。他のパーティーを見ていると寂しいなって最近感じてさ」


 ならギルドで募集しているパーティーに入ればと言われたがシンは秘密事がありあまり話すとなるとパーティーメンバーに迷惑をかける。ならば奴隷なら問題ないんだと思い今に至ったのである。つまり、自分が作ったパーティーなら迷惑をかけることはないということだ。


 そんなこんなで連れてこられたのはレンガで作られた建物で名前は『セーヴォス』。


「ここは冒険者がお求めする戦闘力の高い奴隷が集まっている施設です。では、中をご案内いたします」


 シンはオスボーンの案内で施設の中へと入っていった。


 外からは大きな建物に見えるが中は一列に牢屋が並んでいた。その中には獣人族が多くいたのだ。中は奴隷を収容しているイメージ通りだと思っていたがよくよく見ているとみんなきちんと服装は統一されてはいるもののきれいなものでみんな健康的な体をしていた。


「確かに、保護しているのならこの牢屋とかって必要か?」

「はい、一応我々は奴隷商人をしているので」


 そういいながら一つ一つ牢屋を見て回った。ここはではスケジュールが組まれており朝食や運動、勉強などをして健康的な生活を送っているのだと。


「……なあ、この猫耳の子たちは?」

「おぉ、シン様はお目が高いですね。これは獣人族の中でも珍しい種族である猫族であり、双子なのです。ですがこの子たちはおすすめできません。理由は、――っとこれです」


 シンはある一つの牢屋に目が入った。それは猫耳の女の子二人の牢屋であった。


 猫族は素早さに特化している種族であるが警戒心が強いのだ。そのためオスボーンが近づくと猫族の双子は勢いよく飛びついてきたのだった。


「なるほどね、じゃあこの子たちにする」

「……はい? えっと、この猫族を?」


 シンは頷いた。


 先ほどの彼女たちの行動を見ていなかったの驚いた顔になっていたがこれは単純に猫族が気に入っただけであると説明するとオスボーンは笑いながら買取の手続きをしたのだった。



「奴隷の印をつけることであなたには危害を加えることはできません。そしてチョーカーは危害を加えようとすると首が締まる仕組みです。これは最低限の安全を配慮したアーティファクトです。では、またのご来店をお待ちしております」


 シンはそんなことをしなくてもいいのにと言ったのだがこればかりは仕方がないと言われた。理由は彼女たちの主がシンのだというのを証明するものでもあるためだそうだ。


 しばらく歩いているが猫族の双子はただシンを睨むだけで話とかはないため道中に見かけた洋服店と防具屋が一緒になっているお店へと来たのだ。


「それじゃあ、最初にお前たちの服と防具を買うか。それじゃあ嫌だろうし一応、お前たちも俺と一緒に冒険者になってもらうからな」

「うるさい人間、私たちに指図するな」

「私たちは人間を信じない、それが主であるお前だろうと」 


 最初の会話は辛辣は言葉が飛んできた。どうしてそこまでして人間を嫌うのかわからず彼女たちから殺気がちらほらと飛んできた。それでも、彼女たちは服や防具を真剣に選らんでいた。


 洋服と防具を買い終えたら次は昼食にして好きなものを頼むように言ったがそれでも先ほど同様の言葉が飛んできたがおいしそうに頬張って食べていたのがすごくかわいかった。


 それから何事もなく宿へと戻ってきたのだ。


「こんばんはタリンさん、実は二人部屋を一部屋借りたいんだけど可能ですか?」

「ええ、ちょうど空いているわ」


 タリンはシンが宿泊している宿のオーナーである。


 シンはタリンから二人部屋のカギを受け取って猫族の二人に渡した。だが彼女たちは驚いた顔でカギを受け取った。


「な、え、なぜ私たちに部屋を用意する?」

「何か企んでいるな、人間め」

「別に何もないよ、それじゃあ明日の朝に冒険者ギルドに行くからちゃんと下にこいよ」


 シンは警戒する二人に何もないと伝えささっと部屋へと入っていった。


 双子はそれでも警戒して部屋の中へと入っていったのであった。

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