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第三十六話 奴隷商人の依頼

「あなたが奴隷を買うとおっしゃっていた冒険者様ですね。初めまして、私の名前はオスボーンと言います」


 シンは奴隷店からの依頼を受けるため奴隷店へ訪れ客室で机を挟み対面している。


「俺の名はシンだ、冒険者だ、奴隷を買いたい、依頼をくれ」


 オスボーンと名乗った男はシンの言葉に笑ってしまった。


「ははは、そう急がなくても奴隷は逃げませんよ。では、早速ですが依頼の内容をご説明しましょう」


 オスボーンはいくつかの依頼書をシンの前に置いた。それは難易度が高い依頼だった。


「どうですか? これを見ても受けますか?」


 内容は全部で三つ。一つは発掘。一つは討伐。一つは捕獲。シンは依頼書に目を通し悩むような声を漏らしオスボーンはそれでも受けるか確認をした。オスボーンは相手は根を上げて帰っていくだろうと思っているのだが、シンは真逆の言葉を放つ。


「どれにしよっかな」


 予想外の言葉に目を丸くしてしまった。いくらAランク冒険者だろうとソロでやるものではないのに受ける依頼に悩んでいるということにオスボーンはくすりと笑う。


「この討伐でいいか? えっと、ドラゴン討伐だけどなりべく鱗の損傷を避けることってどうゆうことだ?」

「ええ、ドラゴンの素材は高く売れますがこの依頼はすべて我々奴隷店が活用するためのものなのです」


 これが奴隷商人が依頼を出す理由であった。


「この依頼に書かれている森ってどこだ?」

「受けるんですね、この森は東の門から出てそのまま進むと大きな森があります。そこにドラゴンが住んでいるのです」


 オスボーンは机に地図を広げ場所を指さした。それは地図でもわかる大きな森。その森にドラゴンが住んでいるのも納得だ。


「分かった……今日中、いや明日までには戻る」

「そうですか、では期待して……ってどこから行こうとしているのですか!?」


 シンは早速ドラゴン退治へと向かうため奴隷店の二階の窓から飛び降り森の方角へ走っていったのだった。



「ここがドラゴンがいる森、広い森だが関係ない。それじゃあ、どこにいるかな」


 シンは森へ侵入し探知(サーチ)と気配察知を使って森全体を観察した。その中に一つだけ強そうな魔物の魔力を感知した。


「いや、あれはドラゴンじゃないな。あ、いたいた」


 だがその魔力はドラゴンの魔力ではなかったのでもう少し範囲を広くしたところドラゴンが巣から出てきたのを見つけた。


「それじゃあ……、――ささっと終わらせますか」


 シンはドラゴンの位置から少し上に空間魔法の一つ『空間移動』を使いドラゴンの真上に一瞬で移動したのだ。


「!?」


 ドラゴンはシンの影に気づき見上げた時にはもう目の前におりシンは口を開けたドラゴンにめがけ右手を突き出し紫の霧をドラゴンに掛けたのだ。


「グルルルル!!!」


 霧をかけられ挑発されていると思ったドラゴンはシンを威嚇するように唸り声をあげノシノシとシンの周りを回りはじめたのだった。シンは攻撃はせずただドラゴンを眺めている。


「――ッ!! ガ、ガガアァ……」


 ドラゴンが飛び掛かろうとした瞬間、苦しはじめ、倒れこむ振動が周囲の木を揺らした。


「よし、これを運べは……っとその前に完全に死んでることを確認して。うん、なら解毒して収納っと」


 シンがドラゴンに放ったのは毒の霧でありめちゃくちゃ強いものでありドラゴンはシンの周りを回ったことによって毒が体に早く回り死んでしまったのだった。これで鱗に損傷なく依頼は達成すると思いシンはドラゴンから排出している毒を解毒しこれで害のないドラゴンの死体になったのだ。


「よし、約束通り今日中には渡せ……ってなんだこれ? 骨……」


 帝国へ戻ろうとしたら巣から一つの人骨が見つかった。そして巣の奥を見ると山のように積み重なれている骨が見えた。


「俺はこれだけしかできませんが許してください」


 シンはドラゴンに食べられてしまったのだと察しに外に並べ出し土へ還してあげ、その場に背を向け帝国へと走っていったのだった。

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