第三十五話 帝国『インペリウム』
「これはこれは、珍しい獣人を保護したしたね」
「まあな、ただドラゴンに襲われたらしく怪我がひどいんだ、すぐに治療をしないと暴れだすぞ」
顔や腕にひっかき傷を受けていた獣人の少女が運ばれてきた。
「お客さん、もうそろそろ帝国につきますぜ」
馬車に揺られている中、一人の男が起こされる。
「ここまでありがとうございます」
「これが俺の仕事だぁ、お前さんも乗ってくれてありがとよ」
そんな会話をしながらシンは王都を出て数日、帝国の前へと来ていたのだ。目的は今後の仲間としての奴隷を買うことだ。
帝国、それは王都とはまた違った考えを持つ国。王都は主に平和を象徴とする国であるため奴隷商売は禁止されている。反対に帝国は戦争を象徴する国であるため奴隷商売は禁止されていない。なのでシンは奴隷を買うには王都から距離が近いと言えば近い帝国へと向かったのだ。
大きな壁が国を囲っており入口は東西南北と四つ設置されている。そして必ず門番が馬車を止め入国理由を聞きに来た。だがそんなに時間はかからずシンは冒険者のギルドプレートを提示するとすぐに入れてもらえたのだ。
「ではお客さん、長旅ご苦労様でした。またいつかお会いできるときがあればぜひ」
「こちらこそ本当にありがとうございました」
帝国へ入国し入口には大きな馬車を停める駐車場のような場所で降りた。その時、馬車を御者してくれたおじさんにお礼をし別れたのだ。
「あ、奴隷が買える場所聞くの忘れてた。えっと……あ、あれって」
少し歩いていると大きな広場へと出てきたのだ。帝国に初めて来るのに奴隷店がどこにあるかわからないため迷子である。そんな時に一つの看板を見つけた。
「この看板、確か帝国の冒険者ギルド。えっと、名前は『イメロオ』って言うのか」
それは王都のギルド長の部屋で見た様々な国の冒険者ギルドの紋章。それがここ帝国の冒険者ギルド『イメロオ』だ。
早速中へ入るとギルド内では多くの冒険者たちが依頼を受けに来ていたりギルドが経営している飲食店などで賑わっていた。どこに行ってもギルドは同じ空間なんだ思いながら受付口へやって来た。
「こんばんわ、私はマベリと言います。今日はどのようなご用件で?」
「どうも、王都から来た冒険者だ。実は奴隷店がどこにあるかわからなくて、ここに来れば教えてくれると思ってきた」
「わぁ、王都から来たのですか! ここまで長い道のりだったでしょう、お疲れ様です!」
マベルという女の子がシンの接客をしてくれたのだ。シンは挨拶をし奴隷店の場所を聞こうとしたらマベルは興味深々に話かかけてきたのだ。
「えっと、どうも。それで奴隷店がどこにあるかわかる?」
「あ、すいません。少し興奮しすぎました。では冒険者さんは帝国に初めて来たのですね?」
シンは彼女が体を乗り出して王都について話を聞こうとしてきたのでシンは彼女に一応感謝を伝え本題に戻るよう話をつづけた。マベリは少し恥ずかしそうに椅子に座りなおした。
「そうだけど」
「でしたら奴隷店に紹介してもいいですか? そうすれば奴隷商人に信頼度が上がって後が楽になりますよ!」
そこで奴隷の買い方の説明を簡単に教えてもらった。まず、奴隷は簡単にはお金を払って買うことはできないということ。理由は様々な人種を売るため簡単に買われてはいけないと。そして奴隷を買うには奴隷店からの依頼を受ける必要があるという。それは依頼を受け達成することで奴隷商人の信頼を得て初めて奴隷を買う権利を得ることができる。
シンはその奴隷店の依頼が来るまで帝国へ滞在せざるを得なくなった。そのためシンは彼女に近くに宿がないかを聞きそこを拠点として帝国へ滞在することにした。
「はぁ、すぐに帰れると思ったのにな」
ため息をしながら帝国の夜空を眺めながらぼそりとつぶやいた。




