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第三十一話 冒険者ランクA『昇格』

「冒険者シンよ、よくぞ来てくれた。感謝する」


 ここは王都の大きなお城、つまりここ王都の王様が住んでいるお城である。シンは膝をつき頭を下げていたのであった。


「この度は王都の城に呼んでいただき光栄です」

「ははは、そう硬くならんくていい。ほれ、楽にしなさい」


 ぎこちない言葉遣いのシンに王様は気遣いなのか楽な姿勢になるよう言った。


「では、お言葉に甘えて」


 そういいシンはその場で立ち上がった。シンの行動に周囲はざわつき始める。王の前であるのに対しなんて無礼な態度だと。だが、王はそれを知っているかのように話を進めた。


「お主を呼んだ理由は先日開催された大会『Aランク昇格トーナメント』での優勝者であるお主の昇格章を授与するためじゃ」


 王様は隣にいた燕尾服を着た男からギルドプレートを受け取り王様はシンの前へと立ったのだ。


「これでお主はAランク冒険者じゃ、おめでとう」

「どうも」


 ギルドプレートを手渡しの際に周囲はぎこちない拍手を送るがシンがそのような感謝を述べたせいで静まり返ってしまったのだ。


「……ふふふ、ははは!」


 周囲は王様の突然の笑いに驚いた。


「すまぬすまぬ、はぁ。娘から話は聞いていたが、ははは!」

「……娘」


 王様はシンの肩を叩きながら笑いはじめシンは娘と聞いて誰なのかすぐにわかったのだ。それは、


「かな――シン様!」


 扉が大きく開きそこから聞き覚えのある声と共に少女がシンの方へと駆け寄ってきたのだ。それはルナ・ルクスだったのだ。


「お久しぶりです、かな――シン様!」

「……ちょくちょく名前間違えるのなんで? しかも前より一文字増えてるし」


 ルナとは実に数か月ぶりであるのだ。大会でも観客として観ていたがシンとは会っていないためそうゆうことである。


 この光景に閲覧していた貴族たちは冷や汗でざわついていたのだ。なんといったってお姫様に対しての言葉使いが終わっているのである。


「娘がこんなにも楽しく話すのは実に久しくてな、それもかねてカナ・シンよ。お主は何を望むか?」

「別にランクが上がればそれで充分ですし、あと俺の名前はシンだけです」


 ルナがそんな名前の間違いをするせいで王様に名前を間違えられているのだ。お城への招待があった時もカナ・シンと言われ訂正したのだがそれでもなぜか改善されることなくカナ・シンと名で広まっているのだ。ちなみにギルドプレートにはシンだけが記されているので多分王様たちの一つの遊びだと思ってあまり気にしないようにしているのだ。


「シンよ、お主はこれからは何をしようと思っているのだ? すまないが、Sランク冒険者の依頼はまだ先になってしまうのだが」

「問題ない、依頼の連絡が来るまで少し行きたいところがある」


 冒険者ランクS、それは王様直々の依頼である。そのためランク上げは王様からの指名依頼をこなす必要があるため、それまで言ってしまえば暇なのである。だが、シンは王都を一時離れ、どこかへ行こうとしているのだ。


「ほお、それはどこだ? 何をしにいくのだ?」

「場所はここから北にある帝国『インペリウム』に行って奴隷を買ってくるつもりだ」


 王様は真剣な顔でシンに問いをした。先ほどまでの空気はピリつき始めた。


「……なぜ奴隷を買う必要があるのだ?」

「俺はソロ冒険者で、実は前から仲間が欲しいと思っていた。その時に信頼できる仲間が欲しいと。そしたら奴隷が頭に出た。ただの一人が寂しいとわかっちゃったんだ。それに奴隷なら信頼できる」


 シンは王様の質問に答え自身の仮面を外した。それは嘘のない本当のことだとわかってもらうためだ。王様はシンの顔を眺め、一息つき頷いた。


「すまない、少し試させてもらった。別に奴隷を買うことには反対はしない。しかし、それがどの理由なのかは見定めなければならなかった、すまない」


 王様はシンに向かって謝罪をした。その光景に貴族たちはオドオドし始めてしまった。


「いや、王様が謝ることじゃないです。でも、ありがとうございます」


 シンは王様に感謝をし握手を交わした。そして無事、シンの冒険者授与式は終わったのであった。


 それからルナに連れていかれスイテムの王女様のところへ連れていかれてしまったのだ。ルナがシンのことを紹介すると女王様は泣きながらシンの手を握った。理由は娘と息子の命を救ってくれた命の恩人だと。そこに小さな男の子が駆け寄ってきたのだ。そう、イオだったのだ。シンを見つけ勢いよく抱き着いてきたのだった。


 ちなみに、お面を外し顔だけを晒したがケモミミとかは出していないため自身が獣人だというのを知っているのはルナとイオだけだ。


 そんなこんなで王都ではある冒険者の素顔はめちゃくちゃ美女顔だったのだと広まった。

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