第二十五話 決勝戦
あれから何試合か行ったがシンは傷一つなしでどんどんと決勝へ近づき、いつの間にか決勝に上っていたのだった。ちなみにレナードたちは決勝まではいかなかったが何試合か勝ち上がっていたと聞いた。あとはシンと対戦した者がいたのだがシンの圧勝であった。誰だろうね?
「さあ! リーグ1での決勝戦はBランクの中で強者として恐れられてきたこの男、ランドル!」
歓声は今までよりも勢いを増し待ってましたと言わんばかりの熱がこもった。
「そして今回初出場にも関わらず傷一つなしでここまで勝ち上がって男、シン!」
これもある意味の盛り上がりらしく歓声が鳴りやまずそのまま舞台へと立った。
「戦いを見ていたが、実際、目の前に立ってみるとあまりにも弱すぎる見た目だな。それにその恰好、ふざけているのか?」
「そうですかすいませんね。ちなみにこれは俺がチョイスしたものではない」
そんな試合前の選手同士の会話を交わしたところで戦闘態勢へと入った。
「それでは、試合……開始です!!」
鐘と共に開始の合図が響き歓声もそれに合わせ盛り上がりを見せた。
◇
先に攻撃を仕掛けてしたのはランドルからだ。彼は身体がでかいのにも関わらずとんでもないスピードで大きな斧を振りかざした。その攻撃は地面もが切れるほどの力であり避けなければ体は真っ二つである。
「ほお、これを避けるとはお前、見た目以上に強いな」
ランドルは避けられたことに驚きつつシンの強さを見直した。
「ま、人は見かけによらないって言うし……ね!」
次はシンが攻撃を仕掛けた。シンも彼のスピードに負けない速さで蹴りを食らわせた。それは斧により防がれてしまったが威力のある蹴りを食らい風圧と横に押し出されたのだ。
「なんて威力、だがまだまだこれからだろ!」
ランドルはその場で踏ん張りはじめランドルの体からだんだんと魔力が斧に集まってきたのだ。斧はみるみるうちに先端が赤く輝き始めたのだった。
「この攻撃、見抜けることができるか――な!!」
今度も同じ斧を振りかざす攻撃だが先ほどよりも速度が速く気づけば背後を取られていた。
「もらった!」
ランドルは勝利を確信し会心の一撃を食らわせた。ものすごい怪力により地面は揺れ砂埃が立ちステージが隠れてしまったのだ。
「なんと! ランドル選手の攻撃によって砂埃が立ってしまい状況が確認できません! これはどうなったか!?」
観客はその結果を静かに見守る。
たちまち砂埃が散っていきその中から一人の人物が立っていた。それは、
「な、なんと! あの攻撃でもこの男には届かなかったのか!! 勝者、シン選手!!」
まさかの勝敗に観客席からは熱狂の嵐、今大会最後に熱い戦いが展開したことに誰もが興奮を隠すことはできない。
「まさか、あれを避けるなんて。お前、反射速度スゴイ奴だろ? 振りかざす一瞬のところで懐に入り、俺の鎧を拳で――いたたた」
「すまん、だがこれくらいの威力ならすぐに動けるだろ?」
そう、ランドルが斧を振りかざす一緒の中で懐に入り普通は鎧を拳で殴ったところでへこんだりはしないのだ。それが今、見事に拳のへこんだあとが残っているのだ。
会場がまだまだ歓声が鳴りやまい中、いつのまにか空が怪しくなってきたのだ。
「急に雲が。ん? あそこに誰かいるのか?」
青に染まっていた空は黒い雲によって遮られ空中には一人の男が立っていたのだ。




