第十一話 森を出た、しかし問題発生
「ありがとうございました! このご恩、いつか必ずお返しします!」
今のこの状況をどう説明しようか。そんなことしなくてもいいと困惑しているカナリアの目の前にドレスを着た少女が感謝を伝えながら頭を下げている。
この光景になるまで少し時間を遡るのである。
自分をここまで強くしてくれた師匠であるシルビアにもらった黒い衣装を装い森を出て広い草原を出たのであった。
「……これが外の世界」
長い間、森の中で生きていたカナリアは草原を見渡すなりして目的地である王都を目指して歩いていった。しかし緑が広がっている草原の一部が赤く染まっているところへと着てしまった。
「これって……血……それに、馬車が荒らされている……」
血の匂いがひどく漂っている馬車を発見したのだ。あちこちに刃物のようなもので切られている跡があり、中には鎧を着た人たちが横たわっており確認したところもう息はなく何かを引きずったような跡が森へと続いていた。
「う~ん……どうしたものか……」
カナリアはこの状況を見て悩んでいるのである。このことを無視し進んでもいいのだが目的地である王都の道がわからず、もし悪い奴でも脅迫でもなんでもして聞き出せることをできるのであれば後を追いかけるか、と迷っていたが「どうにでもなれ」と言い放ち森へとずかずかと入っていった。
◇
「ボス! 何かがすごい速さで迫ってく――」
森の中でげらげらと笑って酒を飲んでいる男たちを発見しいろいろと聞こうと近かづいたが縄で縛られている少女を見つけた瞬間、カナリアの中で何かがぷつりと切れて瞬く間にもかたっぱしに始末していったのであった。一部の人間たちは命乞いをしていたが不意に襲ってくる奴らもいたためまとめて首を切り飛ばした。
悪い奴らを片付け縄に縛られていた少女を開放してあげたが少女は返り血に真っ赤に染まり森の中は暗く焚火の明るさによって恐ろしさが倍増してしまっている人物が目も前におり恐怖で取り乱し暴れ出してしまったのである。
「おい――暴れるな! ――おい、落ち着け!」
少女を抑えて落ち着かせようと促しているが見た目がもう凶悪犯の見た目なため落ち着かせることが難しいと思った瞬間、ふとあの方法を思い出し自分がつけていた仮面を外し少女の顔を抑え自分の顔に近づかせ落ち着くよう目を合わせ言い聞かせた。しばらくして落ち着き少女は安心したのか眠ってしまった。カナリアが取った行動は過去に取り乱した自分をこのようにして落ち着かせたあの方法を。少女を横にし悪い奴らの死体の処理を済ませ、少女が目を覚ますのを待った。
◇
「……ここは、確か私は――っ!」
しばらくして少女は目が覚め起き上がったのであり自分に何があったのかを整理しようとしたが目の前に知らない女性が座っており驚いてしまったのである。
「お、起きたか。ほら、果物あるから一緒に食べないか?」
カナリアはおへそ全開でショートパンツの服装をしており少女が目が覚めるまで果物をむいて食べやすいようにして待っていたのであった。オドオドとする少女は「あなたは誰ですか?」と警戒しながら尋ねてきた。カナリアはすこし考え出てきたのが”シン”と偽名を名乗ったのだがその考える時間があったせいで嘘だとばれてしまい本当の名前を教えたのであった。
「カナリア様、助けていただきありがとうございます。わたくしの名前はルナ、ルナ・ルクスです」
丁寧にお辞儀をしながらカナリアに感謝と自身の名前を名乗った。ルナはカナリアの肩ぐらいの身長で、もきゅもきゅと果物をほおばっていた。
「それでルナはどうしてこの場所にいた――いや、言わなくていい。……災難だったな」
カナリアの質問にルナは果物を口から離し顔を下に向け落ち込んでしまいよくないことが起きてしまったのだと察し気まずくなってしまったが「いえ、謝らないでください。あなたはわたくしを救ってくださったお方です」と言ってくれたおかげで少しは空気がよくなったと感じた。
「ルナ、もしよければ一緒にいくか? 実は王都に用事があるんだけど道がわからなくて……」
カナリアはしょんぼりと下を向いてしまいケモ耳と尻尾がしゅんとするしてしまったがルナも王都に行くとのことなので彼女に道案内をしてもらう代わりにカナリアはルナの護衛をするということになった。
広い草原に出てきた二人はしばらく歩いていているとカナリアは少し立ち止まり何かを見つけたのか右手に雷の槍を作り出し勢いよく投げたがこの出来事は後日知ることになるのである。




