表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Hunter and Smith Online  作者: 栗木下
第8章:黒狼騎士と樹巨人

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

199/249

199:遺跡-8

『第8章:黒狼騎士と樹巨人』開始となります。

「到着っと。」

 遺跡のインスタントポータルに着いた俺は前回は余裕が無くて見れなかったセーフティポイントを見渡す。


「ふむ。」

 すると独特のタッチで天井には太陽を模したと思しき絵が描かれており、壁面には黒い髑髏や竜、鳥それ以外にも様々なモンスターと思しきもの達と色鮮やかな人型の何かや、球体、動植物達とが戦っている絵が描かれている。

 何て言うかHASOの諸々の設定に関わっていそうな絵だけどその辺を理解するためのスキルを一切持っていない俺には何が何やらである。


「うーん。それでもとりあえず上がプレイヤーサイドで下が敵サイドっぽいのは分かるな。」

 ただそれでも床面に天井の太陽と対を成すように黒い炎が描かれているので、何となくだがそれぐらいは理解できる。

 と言うか下が敵サイドとするなら黒い竜とか鳥とかは今後出現する敵にそう言うのが居るのかもな。黒い髑髏は前に見た事あるし。


「とりあえず先に進むか。」

 まあわからない事を考察してもしょうがないので、俺は部屋に唯一ある扉から外に出る。



--------------



「ああなるほど……ここは設定置場みたいなところなのね。」

 扉の外はまだセーフティポイント内で、道幅の狭い石造りの緩やかスロープが続いていた。

 そして壁には先ほどの広間の絵と同じようなタッチで様々な絵が描かれており、それらの絵は一定時間ごとに別の絵へと切り替わっていく。

 と言うかもしかしなくてもこの壁は石に偽装した液晶パネル系統の何かっぽいな。触った感じが石っぽくないし。


「それにしてもこの絵は何なんだ?」

 俺は刻一刻と変化していく絵を見ながら思わずそう呟く。


「これは巨大な竜に立ち向かう群衆……こっちは炎を放って敵を焼き払う狐耳の女性。」

 ここに描かれている絵は実に多種多様だった。

 一先ず目についた物を挙げていくだけでも先ほど言った二つに加えて『角を持った巨大なモンスターに後ろから切りかかる騎士』『人型の何かを召喚して戦う青年』『三日月を背に空を舞う女性』『長い槍で竜を突き刺す騎士』『三色の矢を一本にして撃つ姉妹』『目にも留まらぬスピードで拳打を繰り出す男』『自らの身長に匹敵する盾を持って敵の攻撃を防ぐ女性』『美しい刀を持って敵と切り結ぶ青年』『敵の不意を突いて現れる男』『両肩から何かを生やした人間を切り捨てる青年』『手からキューブの様な物を生み出す少女』『あらゆる物を飲み込む子供』『敵の連撃を次々に避ける青年』『ビームの様な砲撃を放つ少年』『大量の兵士に指揮する軍服姿の人間』……etc.

 と言った感じで本当に大量の絵が有る。


「うーん。」

 ただ。この通路に存在している絵は先程の広間の絵と違って何て言えばいいのだろうか……そう。統一感が無い感じなのだ。

 まるで世界中の英雄譚を集めてタッチを変えて描き、張り付けている感じだ。


「ふむふむ。」

 ただ、いくつか気に入った絵と言うか気になる絵があった。

 その内の一枚は黒い剣を持った少年が大量のモンスターを切り捨てる絵でこの絵だけ他の絵よりも色が濃い気がした。

 他に気になる絵としては全身に漆黒の衣服を纏った青年と蘇芳色の衣を纏った子供の戦いだろうか。こちらの絵は逆に他の絵よりも色が薄い。


「ん?」

 そして最も分からない絵がこれだな。


「んー。」

 その絵は先ほどの絵に出て来たのと同じ人物と思しき蘇芳色の衣の少女と、水色の髪の青年がテーブルを挟んでチェスの様な何かをしているような絵だ。

 確かにチェスを始めとしたボードゲームも戦いと言えば戦いなのだろうが、他の絵が直接的な戦闘を描いているのに対してこの絵だけは明らかに異質である。


「ただまあ、結局のところ考えても分からないんだよな。」

 俺はそう結論付けるとスロープを登りきる。

 実際の所、何かしらの裏設定やアイテム作成のヒント、攻略に関する情報などが隠れているのかもしれないが、それらの情報を引き出すためには≪解析≫を始めとする解読系のスキルがどうしても必要であり、俺にはその手のスキルを取る気が無いためどうやっても分からないだろう。

 まあ、機会が有れば他の誰かが解読したのを見せてもらえばいいだけの話でもあるしな。


「と、ここからはセーフティポイント外か。」

 俺は『光り輝く槍と盾を持って敵と戦う騎士』と『呪いや災いと思しき物を光で退ける少女』の絵に挟まれて設置されている石造りの扉を前に隙間から漂ってくる外の匂いを嗅いでそう言う。


「最初はゆっくりと。」

 俺はスキル構成を探索向けの構成に変化させてからゆっくりと少しだけ扉を開けて外を見てみる。

 すると扉の外には遺跡特有の4種類の地形がモザイク状に入り混じった通路と相変わらず凶悪としか言いようの無い数の赤い円で表される通常トラップ、それにスキル無しでもわかるが当たると痛すぎる棘付き鉄球が上下動する姿が見えている。

 うん。安心と信頼のエロイ(えげつない、ろくでもない、いやらしい)遺跡だ。


「さて、それじゃあまずはどっちに向かいますかね。」

 俺は扉の外に出ると≪方向感覚≫で方角を確かめ、どちらの方角に向かうかを考える。

 まず北。こちらは俺が殺人機械2号を倒して入ってきたエリアなので後回しでいいだろう。

 次に東。ここはある意味現在地点がそうなので気にしないでいい。

 で、南。何となくだけどこちらは現在攻略組が攻略しているエリアに繋がっている気がするので俺が調べなくてもいい気がする。


「となれば西か。」

 と言うわけで俺は消去法で残った西へと向かう事にした。

この物語の根幹に関わりがある場所の一つです

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ