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死を賜った魔女、地獄から戻って全てを「呪い」に変える  作者: La Mistral
第5章:【永劫なる魔女の帝国】

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第33話:【汚染】聖なる魂の変質と魔女の愉悦

本日も、絶望の深淵へようこそ。

第33話では、異界から訪れた「正義」の成れの果てを描きます。リアナにとって、高潔な魂ほど汚しがいのあるキャンバスはありません。

彼らが信じていた神聖な力が、魔女の指先一つで如何に醜悪な「自己愛」や「生存本能」へと変質させられていくのか。ただ肉体を壊すだけではない、魂の核を腐らせ、自らの手で自らの聖性を引き裂かせる、魔女流の「おもてなし」を徹底的に肉付けします。

光が闇に屈するのではなく、光そのものが闇を求めて発狂する――その凄惨な変質の瞬間を、どうぞその目に焼き付けてください。

神殿の床に転がされた「裁定者」たちの黄金の鎧は、もはや内側から溢れ出す汚濁を隠しきれず、不気味に黒ずみ、ひび割れていた。


 リアナが指先から放った、目に見えぬほど細く鋭利な漆黒の魔糸は、彼らの毛穴の一つ一つ、爪の間の粘膜から容赦なく侵入し、その中枢神経系を魔女の意志へと直結させていく。


それは単純に肉体を損壊する痛みではない。


精神の「最も清らかな核」を、腐敗した汚泥と生理的な嫌悪感で無理やり上書きされる、魂の強姦とも呼ぶべき耐え難い屈辱だった。


「や、やめろ……! 私の魂に、触れるな……っ! 嗚呼、神よ……光よ、我を救い……ぎっ、あぁあああ!」


 リーダー格の男が、自身の内臓を吐き出すような勢いで血を撒き散らしながら叫ぶ。


だが、彼が敬虔に祈りを捧げ、聖なる力を呼び起こそうとすればするほど、その「光」はリアナの支配領域で冷たく歪曲し、彼自身の肉体を内側から微塵切りにする鋭利な光の刃へと変貌した。


己の信仰が己を切り刻む。これ以上の皮肉がこの世にあるだろうか。


 リアナは玉座からゆっくりと、獲物を吟味する蛇のような足取りで降りると、震える男の顎を、鋭く研ぎ澄まされた冷徹な爪で掬い上げた。


「そんなに神を呼びたいの? ならば、その神に『今の自分の無様な姿』を見せてあげなさい。……アスタロト、この方の『喉』を、もっとたくさんの絶叫が通れるように広げてあげて」


 アスタロトが愉悦に満ちた仕草で男の背中を、背骨が軋む音を立てて踏みつける。


男の喉は異様に膨張し、そこから黄金の液体――彼自身の魂の一部である「神聖な魔力」が、逆流するように溢れ出した。


しかし、それはもはや清廉な輝きを失っている。


リアナの呪いによって汚染され、ドロドロとした黒紫色の、内臓を煮詰めたような悪臭を放つ「毒液」へと変質していた。


「見て。あなたが命を賭して守ろうとした正義が、こんなに醜く、卑しく、私の毒を求めて喘いでいるわ。あなたの神が見れば、あまりの汚らしさに吐き気を催すでしょうね」


 リアナがその毒液を男の剥き出しの眼球に数滴垂らすと、彼は発狂したような絶叫を上げ、自らの指を鉤爪のようにして己の顔面を掻き毟り始めた。


抉り取られた傷口からは、血の代わりに漆黒の絶望華が次々と芽吹き、彼の脳漿を、高潔な記憶を、そして最後まで守ろうとしたプライドを根こそぎ食らい尽くしていく。


 広場では、エドワードとエルナの「肉塊」が、倒れた代行者たちの四肢を、まるで熟した果実の皮を剥ぐように生きたまま噛み砕き、弄んでいた。


「裁定者」であった男たちは、もはや助けを呼ぶことも許されず、ただ自らの肉が同胞の胃袋へと送り込まれる咀嚼音を、至近距離で聴かされ続ける。


「……あ、あは……っ。お姉様、この子たちの魂、とっても『綺麗』で『不味い』よぉ……! 混ぜると、喉が焼けるみたいに苦くて……でも、すっごく気持ちいいの……!」


 エルナが、代行者の指を一本ずつ逆方向に丁寧に折り曲げながら、その断面から漏れ出す「聖なる悲鳴」を、最高級の美酒を味わうかのように愛おしげに啜る。


 高潔だった魂は、一刻一刻と摩耗し、ただ「この耐え難い苦痛から一瞬でも逃れたい」という、卑屈な獣のそれへと成り下がっていく。


仲間を裏切り、自分だけを助けてくれと魔女に縋り付くための「裏切りの言葉」を、彼らの脳は必死に紡ぎ始めていた。


「さあ、誰が一番先に、私の泥にまみれた靴を舐めて『正義を捨てます』と誓うかしら? その瞬間に、最も美しく絶望の色に染まった魂を、私の新しい椅子のクッションにしてあげるわ」


リアナの冷たい嘲笑が、神殿の天井に吸い込まれていく。


 そこにはもう、いかなる救いも奇跡も存在しない。ただ、光輝いていた魂が腐り果て、魔女の帝国を彩るための「生きた汚物」へと成り下がっていく、終わりのない断罪の饗宴だけが続いていた。

最後までお読みいただき、ありがとうございます。

第33話、高潔な「裁定者」たちが、自らの聖性によって自らを焼き尽くし、内側から崩壊していく様を描きました。リアナが最も好むのは、こうした「信じるものが壊れる瞬間」の美しさです。エドワードたちの「食事」も、新たな絶望を取り込んでさらに肥大化しています。

次回、第34話:【飽和】重なり合う悲鳴と絶望の楽器。

汚染された魂たちは、次にどのような「機能」を世界に与えられるのか。

魔女の創作意欲は、さらに残酷な方向へと向かいます。

引き続き、評価やブックマークで、この地獄の続きを見届けてください。

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