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死を賜った魔女、地獄から戻って全てを「呪い」に変える  作者: La Mistral
第5章:【永劫なる魔女の帝国】

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第32話:【侵食】異界からの火種と魔女の饗宴

本日も、終わりなき復讐の深淵へようこそ。

第32話、完成された静寂の中に、招かれざる「異物」が混入します。

リアナが作り上げた完璧な地獄――そこは、外の世界から見れば、宇宙に穿たれた巨大な漆黒の穴。その異様を「浄化」しようと、別次元のことわりを持つ者たちが、愚かにも魔女の庭へと足を踏み入れます。

かつての宿敵を家畜に変えて持て余していたリアナにとって、それは侵略ではなく、退屈を埋めるための「新鮮な供物」に過ぎません。魔女の力が次元の壁さえも歪め、未知なる生贄をどのように「料理」していくのか。

その圧倒的な蹂躙と、新たな絶望の幕開けを、骨の髄まで響く密度で描き出します。魔女の饗宴が、いま再び始まります。

リアナが統治する漆黒の天界は、いまや宇宙のあらゆる理から隔絶され、因果の糸さえも絡め取られた「絶対的な特異点」と化していた。


外なる次元から観測すれば、それは煌めく星々の海に穿たれた、光さえも二度と戻ってこない底なしの虚無。


だが、その底知れぬ深淵を「宇宙の病」と見なし、独善的な正義感に駆られて踏み込んでくる愚か者は、どの並行次元にも絶えることがない。


「……アスタロト、聞こえる? 私の静かな庭を、土足で踏み荒らす下品な鉄の音が。調律の狂った楽器のように、耳障りな振動だわ」


リアナが細く白い指先を虚空に向かって滑らせると、そこへ「異界の門」を無理やり抉り開けようとする黄金の亀裂が走った。


空間がガラスのように砕け散り、吹き込んできたのは、魔女の庭の死臭をかき消そうとする、眩いばかりの聖なる突風。


現れたのは、重厚な黄金の鎧に身を包み、背に巨大な光輪を背負った、別の宇宙の『秩序の代行者』たちだ。


彼らはこの世界に満ちる、熟成された果実のような芳醇な絶望の香りに顔を歪め、手に持った聖剣を一斉に、玉座に鎮座する魔女へと突きつけた。


「邪悪なる魔女よ! 貴様が歪めたこの世界の理を、我ら至高の裁定者がいま一度『浄化』し、光の元へ戻してくれよう! この穢れた闇は、我らの一撃によって塵に帰るのだ!」


その勇ましい、しかしあまりに無知な叫びを聞いた瞬間、リアナの唇は、今日一番の愉悦に満ちた形に吊り上がった。


彼女にとって、それは領土の侵犯でも、王権への挑戦でもない。


ただの、待ち望んでいた「新鮮な刺激」――枯れかけた日常に彩りを与えるための、活きの良い生贄に過ぎなかった。


「『浄化』……? 面白いことを言うのね。あなたたちのその透き通った魂が、私の庭の底に溜まった汚泥に染まって、どんな汚らわしい色に変色し、どんな無様な悲鳴を奏でるのか……想像するだけで、溜まっていた退屈が綺麗に吹き飛びそうだわ」


リアナが玉座を立つ必要さえなかった。


彼女が指をパチンと一弾きすると、広場で惰眠を貪っていた「エドワードとエルナの成れの果て」が、主の意志を察して不気味に反応した。


その異形の肉体を泥のように波打たせ、無数の顔から粘着質な音を立てて、代行者たちへと這いずり襲いかかった。


かつての王子と王女、そして数千の狂える魂が継ぎ接ぎされた肉の塊。


それは聖剣の輝きに焼かれ、千切られ、聖なる炎に炙られながらも、魔女の絶対的な加護によって瞬時に再生を繰り返す。


それどころか、斬られれば斬られるほど、その断面から新たな絶望の触手を伸ばし、代行者たちの黄金の足元を執拗に絡め取っていく。


「……あ、あは! 光だ……新しい、お友達だぁ……っ! お姉様、この子たちも、私たちの仲間に……。この中、狭いから……みんなで混ざれば、もっと楽しいよね……!」


エルナの狂乱した笑い声が、神殿の壁に反響し、幾重にも重なって代行者たちの鼓膜を突き刺す。


彼らが掲げた「正義」という名の盾は、リアナの魔力が大気そのものを支配するこの閉鎖空間では、ただの脆弱な紙切れに等しい。


彼らが振るう光の刃は、絶望を吸ってさらに毒々しく大きく膨れ上がる魔女の華を、一輪さえも枯らすことはできなかった。


「さあ、始めましょう。遠い異次元からわざわざ来てくれたお客様をもてなす、特別な饗宴を。……アスタロト、彼らの一番美しい場所から壊してあげて」


リアナの手の平から、漆黒の魔力が極細の糸のように伸び、代行者たちの黄金の鎧を内側から食い破っていく。


冷たい闇が肌を這い、血管を通り、心臓へと至る。


正義を叫んでいた男たちの瞳から光が急速に失われ、代わりに魔女の隷属を誓う紫色の刻印が瞳孔に浮かび上がる。


彼らの誇り高き魂は、いまこの瞬間から、リアナの庭を飾る「新しい家畜」としての永遠の苦悶を約束されたのだ。


「ふふ、今夜は賑やかになりそうね。……この子たちの魂は、どの器に詰め込んであげようかしら? それとも、新しい『肥料』として、根の下に埋めてしまいましょうか」


魔女の愉悦に満ちた声が、天界の隅々にまで冷たく、そしてどこまでも残酷に響き渡り、新たな断罪の幕が鮮やかに上がった。

最後までお読みいただき、ありがとうございます!

第32話、ついに別の宇宙からの「正義の味方」が登場しましたが、リアナにとってはただの「新メニュー」でしかありませんでした。黄金の鎧が内側から黒く染まっていく描写は、彼女の力がもはや一世界の範疇に収まっていないことを示しています。

次回、第33話:【汚染】聖なる魂の変質と魔女の愉悦。

連れてこられた代行者たちが、いかにして「魔女の所有物」としての自覚を刻み込まれるのか。

さらに密度を増した絶望の描写にご期待ください。

この終わらない物語、引き続きブックマークや評価、いいねでリアナの帝国を支えてください。

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