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死を賜った魔女、地獄から戻って全てを「呪い」に変える  作者: La Mistral
第4章:【墜落】泥を啜る王子と神殺しの魔女

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28/54

第28話:【漂白】自我の消滅と魔女の完成

本日も、終わりなき復讐の深淵へようこそ。

第28話、ついに断罪は肉体を超え、魂の「芯」を削り取る段階へと至ります。

死ぬことさえ許されず、無限に繰り返される苦痛のループ。その果てに待っているのは、かつての王子や王女としてのプライドではなく、ただ魔女の足元に侍るだけの「空虚な器」への変貌です。

「自我」が摩耗し、真っ白に漂白されていくその瞬間の美しさと残酷さを、圧倒的な熱量で描き出します。

魔女リアナが完成させる、究極の絶望の形をどうぞその目に焼き付けてください。

神殿の回廊には、もはや意味を成す「言葉」は響かない。


聞こえてくるのは、濡れた肉が床を這い回る微かな音と、壊れた蓄音機のように繰り返される、感情の抜け落ちた無機質な呼吸音だけだ。


玉座の前に横たわるエドワードの瞳からは、かつて宿っていた傲慢も、激しい怒りも、そして必死に命を乞う執着さえも消え失せていた。


何万回、何億回と繰り返された「焼却と再生」の螺旋は、彼の脳から人間としての記憶を紙鑢で削るように剥ぎ取り、ただ「痛みを与えられる刺激」に反応するためだけの肉塊へと作り替えてしまったのだ。


「……あ、あ……」


エドワードが口を半開きにし、焦点の合わない瞳で天井を見上げる。


リアナがその頬を泥靴の先で軽く撫で、強く踏みつけても、彼はもはや怯えることさえない。


ただ、痛みという刺激にのみ生存を確認する家畜のように、無意識に彼女の靴を舐めようと顔を寄せる。


その仕草には忠誠心すらなく、ただ染み付いた習性だけが彼を動かしていた。


「見て、アスタロト。あんなに私を蔑み、火刑台へ送ったあの瞳が、今は何も映していない。真っ白に塗り潰されて、私の色に染まるのを待っているわ」


リアナは冷酷な充足感を覚えながら、その横に転がるエルナへと視線を移した。


エルナもまた、同様だった。


何度も腹の中で毒華を咲かせ、内側から肉体を食い破られ、その度に魔力で修復され続けた結果、彼女の精神は修復不可能なほどに「漂白」されていた。


彼女は今、自分の欠損した指を宝物のように抱きしめ、よだれを垂らしながら幸せそうに笑っている。


自分を蹂躙し続けているのが誰なのか、自分がなぜここにいるのかさえ、もう彼女の意識には存在しない。


「復讐の完成とは、単に相手を殺すことではないわ。相手が『自分』であることを忘れ、私という存在無しでは呼吸の仕方も思い出せなくなること……。ねえ、そうでしょう? 私の、可愛い、可愛いおもちゃたち」 


リアナが低く囁き、二人の首輪に微かな魔力を通すと、二人は同時に、意味を持たない従順な呻き声を上げた。


かつて王国を揺るがした愛憎劇の主役たちは、今や魔女の庭を飾る、物言わぬ生きた彫像……否、ただの装飾品へと成り果てたのだ。


アスタロトがリアナの肩に手を置き、その耳元で深く、愉悦に満ちた声を出す。


「完成だな、リアナ。これで彼らは、永遠に変わることのない『絶望の標本』となった。お前が望むなら、この虚無の時間をさらに万年、億年と引き延ばしてやろう。神さえも肥やしとなったこの庭で、彼らは永遠に純白のまま苦しみ続ける」


「ええ。この白く染まった魂に、これから毎日、新しい地獄を一つずつ鮮やかに描き込んであげるわ。彼らが二度と、自分を人間だと思い出さないように。……さあ、次の『遊び』を考えましょうか」


リアナは神の玉座に深く背を預け、目の前の「無」となった二人を見下ろして、この上なく甘美な微笑を浮かべた。


復讐は終わらない。


自我を失い、空虚な器となった彼らには、これから永劫の時間をかけて、魔女の所有物としての新たな「存在理由」が刻み込まれていく。


天界を覆う漆黒の闇は、さらに深く、重く、沈んでいった。

最後までお読みいただき、ありがとうございます。

第28話、ついにエドワードとエルナの「自我」が完全に死を迎えました。

肉体が生き続けながらも、中身が真っ白に漂白されるという、死よりも残酷な結末。しかし、リアナにとってはこれこそが、彼女の帝国を完璧にするための最後のピースでした。

次回、第29話:【降臨】魔女の慈悲と新たなる生贄。

自我を失った「器」に、リアナが注ぎ込むのは新たな命か、それともさらなる禁忌か。

復讐の形を変えながら、物語はさらに深化していきます。

引き続き、評価やブックマークで、この終わらない惨劇を見届けてください。

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