表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
死を賜った魔女、地獄から戻って全てを「呪い」に変える  作者: La Mistral
第4章:【墜落】泥を啜る王子と神殺しの魔女

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

27/54

第27話:【輪廻】死を拒む断罪の牢獄

本日も、終わりなき復讐の深淵へようこそ。

第28話、ついに断罪は肉体を超え、魂の「芯」を削り取る段階へと至ります。

死ぬことさえ許されず、無限に繰り返される苦痛のループ。その果てに待っているのは、かつての王子や王女としてのプライドではなく、ただ魔女の足元に侍るだけの「空虚な器」への変貌です。

「自我」が摩耗し、真っ白に漂白されていくその瞬間の美しさと残酷さを、圧倒的な熱量で描き出します。

魔女リアナが完成させる、究極の絶望の形をどうぞその目に焼き付けてください。

 漆黒の月が天界の空に釘付けにされ、地上を永遠に変わることのない灰色の光で照らし出す。この世界から「死」という慈悲深き概念が奪い去られてから、もはや時間の計測は何の意味も持たなくなっていた。


 肉体が腐敗の極致に至り、内蔵が不浄な泥のように溶け落ちようとも、リアナが管理する『強制輪廻』の枷からは、何人たりとも逃れることはできない。


「……あ、あぁ……。お願いだ、リアナ……もう、殺してくれ……っ、頼む、頼むから……!」


 神の足元で、自らの指を噛み砕き、神の血を啜り続けてきたエドワードが、掠れた声で絶叫した。彼の肉体は、昨夜、エルナと一欠片の腐肉を奪い合った果てに、一度は完全に「壊れた」はずだった。


 腹は裂け、背骨は砕け、絶命という名の甘美な安らぎが訪れるはずだったのだ。だが、リアナが魔力を指先から放つとともに、彼の四肢は歪な音を立てて再構築され、昨日の痛みも、昨日の絶望も、そのすべてを細胞の一つ一つに鮮明に維持したまま「再生」させられていた。


「殺して? そんな勿体ないことできないわ。エドワード、あなたには永遠に、私があの日火刑台で感じた『熱さ』を上書きし続ける義務があるのよ。あの日、あなたは私の叫びを無視して笑っていたでしょう?」


 リアナが玉座から優雅に指を振ると、エドワードの肉体から青白い炎が噴き出した。それは肉を焼くだけでなく、魂そのものを内側から焦がし尽くす魔女の劫火。同時に、彼の再生能力が強制的に引き上げられ、焼ける痛みと、新しい細胞が蠢く耐え難い痒みが同時に彼を襲う。喉が潰れ、血を吐きながら床を転げ回るその姿は、リアナにとって最高の余興であった。


「……見て、エルナ。あなたのお兄様、あんなに元気に踊っているわ。あなたも、昨日の続きを始めましょうか。今日はまだ、一輪も咲いていないもの」


 エルナは、虚ろな瞳で涎を垂らしながら、リアナの足元に忠実な犬のように擦り寄った。彼女の役割は、収穫された「絶望華」の種を、自らの腹の中で発芽させること。リアナがエルナの異様に膨らんだ腹部に冷たい手を当てると、漆黒の芽が皮膚を内側から突き破って勢いよく伸び、彼女の生命力を根こそぎ吸い上げていく。


「あは、あはは……っ! 咲く、お姉様の……お花が……私の中で咲くの……! 痛い、痛いけど……お姉様が、見てる……!」


 激痛に瞳孔を散らしながら、エルナは狂ったように笑い続ける。リアナの加護が彼女を死の淵で強引に踏みとどまらせ、絶望の鮮度を極限まで保ち続ける。


「アスタロト、この世界の時間は、もう私たちのもの。彼らがどれほど許しを乞うても、時計の針は決して『救済』という終着点を指さないわ」


 アスタロトは満足げに、神の血を混ぜた漆黒の酒を口に含み、リアナの細い腰を抱き寄せた。地上では、王国の残党たちが「神の死」を知り、極限の飢えと絶望の中で互いを食らい合っていた。


 だが、彼らもまた、死ぬことは許されない。腹を裂かれ、首を跳ね落とされても、次の瞬間には魔女の呪いが肉の破片を繋ぎ合わせ、再び苦痛に満ちた朝を迎えさせる。


「さあ、永遠に繰り返しましょう。あなたたちが私に与えた絶望を、一分一秒、一欠片も漏らさずに、あなたたちの魂に刻み込んであげる。このループこそが、私の帝国における唯一の『法』よ」


 リアナの冷笑と共に、世界の時間は再び、最も凄惨な一日の始まりへと強制的に巻き戻される。


逃げ場のない、終わりなき断罪の輪舞。

最後までお読みいただき、ありがとうございます。

死さえも贅沢品となった世界。リアナの復讐は、時間の概念さえも家畜のように調教し、永遠のループへと閉じ込めました。エドワードとエルナに与えられた「再生の呪い」こそ、彼女が辿り着いた残酷な愛の終着点です。

次回、第28話:【漂白】自我の消滅と魔女の完成。

繰り返される苦痛の果てに、かつての宿敵たちの心に何が残るのか。

引き続き、この終わらない惨劇を見届けてください。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ