表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
死を賜った魔女、地獄から戻って全てを「呪い」に変える  作者: La Mistral
第4章:【墜落】泥を啜る王子と神殺しの魔女

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

24/54

第24話:【天墜】燃え落ちる白銀の門

本日も、驚異的なアクセス(昨日1,667 PV、本日も午前中で200 PV超え!)ありがとうございます!

第24話、ついに復讐の舞台は天界の中枢へ。

神聖な防御の象徴である「白銀の門」が、リアナが育てた絶望の華によって腐食し、崩落する様を徹底的に描き込みました。

1,500文字を超えるフルボリュームで贈る、聖域蹂躙のカタルシスをどうぞお楽しみください!

 天界と人間界を隔てる、不可視にして不可侵の境界。そこには数千年にわたり、いかなる邪悪も通さぬと謳われた「白銀の門」が、神々しき光を放ちながら鎮座していた。その神々しさは、見る者の罪を暴き、魂を跪かせるほどの威圧感に満ちている。


 だが今、その絶対的な聖域の前に立つのは、かつて泥にまみれ、神に祈りを捧げていたはずの少女――復讐の魔女リアナであった。


「……ねえ、アスタロト。あんなに眩しく輝いているのに、ちっとも温かくないのね。あの日、私を焼き尽くそうとした火刑台の炎の方が、まだ人間らしい熱を持っていたわ」


 リアナが蔑むように、光の門を見上げる。彼女の手には、先ほど収穫したばかりの「絶望華」から抽出された、黄金と漆黒が混じり合う禍々しい雫を湛えた小瓶が握られていた。その雫は、瓶の中で意思を持つかのようにドロドロと脈動している。


「案ずるな、リアナ。その冷徹な光も、間もなくお前の色に染まる。……さあ、始めよう。天の住人どもに、自分たちが守ってきた『聖域』が、どれほど脆い砂上の楼閣であったかを教えてやる時間だ」


 アスタロトが巨大な魔剣を抜き放ち、天界を覆う多層結界に深々と突き立てる。空間が悲鳴を上げ、ガラスが割れるような音と共に亀裂が走った。


 そこへ、リアナが絶望華の雫を解き放った。

 

 ポタリ、と。


 一滴の黒い雫が白銀の門に触れた瞬間、神聖なる光は断末魔のような音を立てて爆ぜ、そこから急速な腐敗が始まった。黄金の血管のような脈動が門全体を駆け巡り、清浄なる白銀を、天使の絶望と魔女の怨念が凝縮された醜悪な色へと塗り替えていく。かつて邪悪を退けた彫刻たちは苦悶に顔を歪め、門そのものが生き物のようにのた打ち回り始めた。


『……何者だ! 聖域を汚す不浄の徒め! その罪、万死に値する!』


 門の奥から、白銀の鎧に身を包み、背に四枚の翼を持つ「門番」の天使たちが、光の長槍を構えて現れる。だが、彼らが目にした光景は、すでに戦いと呼べるものではなかった。


「あら、新しい苗床が向こうから歩いてきてくれたわね。収穫したばかりの華の種、使い道に困っていたところよ」


 リアナが艶やかに微笑むと、門に蔓延っていた黒い茨が、生き物のように天使たちの脚に絡みついた。茨の棘は硬質な聖なる鎧を紙のように容易く貫き、天使たちの肉体から直接、その神聖なる生命力を吸い上げ始める。


「あ、あぁ……っ! 門が……我らが誇る白銀の門が溶けていく! 神よ、加護を……加護を与え給え!」


 天使たちの祈りは届かない。白銀の門は、天使たちの血と絶望を吸ってさらに激しく燃え上がり、ついには巨大な音を立てて崩落した。


 崩れた門の破片は、燃え盛る流星となって地上へと降り注ぐ。それは地上の人間たちにとっては、神の時代の終焉と、魔女による永劫の支配を告げる絶望の兆しに他ならなかった。


 リアナは、力なく地面に膝をつき、翼を折られた天使の頭を、泥にまみれた靴で無慈悲に踏み抜いた。


「聞きなさい。私はあなたたちの神に用があるの。……邪魔をするなら、天界全ての雲をあなたたちの血で染め上げ、その羽を一平米ごとに敷き詰めて、私のための新しい絨毯にしてあげるわ」


 門を突き破った先には、見たこともないような黄金の都が広がっていた。だが、リアナの瞳に映るのは、美しさではなく「壊し甲斐のある贅沢な玩具」の山だった。


 一方で、門の残骸が積み上がる影では、重い鎖に繋がれたエドワードとエルナが、その光景を虚ろな瞳で見つめていた。自分たちが唯一の救い、最後の希望だと信じていた「天界」が、こうも容易く、こうも無残にリアナの足元で崩れ去る。その事実は、二人の残ったわずかな正気を、粉々に粉砕してしまった。


「……あはは……。神様も……お姉様の……おもちゃなのね……。もう、どこにも……逃げ場所なんて……ないんだわ……」


 エルナの狂った笑い声が、燃え盛る白銀の門の残響と重なり、天界の静寂を汚していく。エドワードにいたっては、あまりの衝撃に言葉を失い、ただ壊れた人形のように首を振り続けることしかできなかった。


「……さあ、アスタロト。次は、あの高い場所で震えている『神』の心臓を、直接収穫しに行きましょうか。どんな音がするのか、今から楽しみだわ」


 リアナとアスタロト。二人の影が、黄金の都を飲み込むようにして長く、どこまでも深く伸びていく。


 天界が完全に墜ち、魔女の庭へと変わる日は、もう目前に迫っていた。

最後までお読みいただき、本当にありがとうございます!

白銀の門の崩壊は、世界の理が魔女の手によって塗り替えられた証です。

エドワードたちの精神も、この絶対的な絶望を前にして完全に「 ∞(無限)」の闇へと堕ちていきました。

次回、第25話:【神座】震える神と魔女の接吻。

ついにリアナが、天界の最奥で震える存在の元へと辿り着きます。

この勢いのまま、さらに過激に、さらに残酷に物語は加速します。

引き続きブックマークや評価、いいねでの応援をよろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ