第23話:【収穫】黄金の血で咲く毒の華
本日も、絶望と快楽が混じり合う魔女の帝国へようこそ。
第23話、復讐は「搾取」のフェーズへ突入します。
天使の肉体を苗床にし、その血を吸わせて華を咲かせる……。
1,500文字を超える圧倒的なボリュームで、神聖な存在が徹底的に「資源」として扱われる冒涜的な光景を鮮明に描き出します。
最上の存在が、ただの「鉢植え」へと変わりゆく瞬間をお楽しみください。
漆黒の水晶宮、その裏手に広がる庭園。そこはもはや植物が育つ場所ではなく、世界の理から完全に切り離された「命の搾取場」であった。かつて王族が避暑を楽しんだ東屋は、いまや黒い茨に侵食され、その柱には翼を毟られた大天使たちが、生きたまま磔にされていた。
「……あ、あぁ……っ! 指先から……熱い……何かが、吸い出されていく……!」
磔にされた天使の一人が、絶叫を上げる。彼の四肢には、リアナが魔界の深淵から呼び出した「寄生魔界草・アケロン」の根が深く、深く食い込んでいた。血管を這い、骨を削りながら、天使の純潔なる黄金の血液を吸い上げる漆黒の根。その吸い上げた栄養によって、天使の肉体からは、銀色の棘を逆立てた禍々しくも美しい、大輪の「絶望華」が咲き誇っていた。
「……綺麗。やっぱり、人間の汚れた血で育てるより、神に仕える者たちの血の方が、私の可愛い子たちにはお似合いだわ」
リアナが、黒いレースの傘を差し、毒々しい香気が漂う花園を優雅に歩いてくる。彼女の歩みに合わせ、天使の肉を苗床にする華たちが、媚びるようにその蕾を震わせ、甘い死の香りを振りまいた。
「さあ、エドワード。今日の収穫を始めなさい。一つでも傷をつけたら、あなたの指をその華の肥料にするわよ?」
リアナの声に、生け垣の影からボロボロの農具を持ったエドワードが這い出してきた。かつては剣を握り、王国の正義を説いていた第一王子の指先は、今や天使の血と泥でドロドロに汚れ、見るに堪えない震えを繰り返している。
「……ひっ、あ、あぁ……リアナ、様……。この天使様が、ずっと私を……恨みの目で見ているのです……。怖い、痛い、助けてください……!」
「あら、そんな贅沢な悩みを言う余裕があるのね」
リアナは冷酷な笑みを浮かべ、エドワードの首輪を軽く引いた。
エドワードは悲鳴を上げながらも、天使の肉体に食い込んだ華を、錆びたハサミで一つずつ切り取っていく。収穫のたびに、天使の体からは黄金の火花が散り、エドワードの皮膚を焼き焦がした。絶叫を上げる天使と、火傷に泣き叫ぶ元王子。その地獄絵図を、リアナは極上のオペラを鑑賞するように、頬を紅潮させて眺めていた。
「アスタロト、見て。あそこで咲いている一番大きな華……あの中には、かつて私を『淫らな魔女』と罵倒したあの神官の魂を、天使の血で煮詰めた絶望が詰まっているの。なんて素晴らしい香りかしら」
アスタロトがリアナの腰を抱き寄せ、その首筋に深く、牙を立てるように顔を寄せた。魔王の魔圧が庭園全体に広がり、天使たちの生命力がさらに強引に引き出されていく。
「……ククク、実に愉快だ。天の住人が、魔女の庭を彩るための『鉢植え』か。リアナ、この絶望華の香気は天界まで届くだろう。自分たちの同胞が肥料になっているとも知らず、奴らはこの香りに引き寄せられて、またこの庭に堕ちてくる」
「ええ。これだけ高品質な『黄金の胞子』が収穫できれば、いよいよ天界の門を内側から腐らせるための毒も完成するわ。……ねえ、エドワード、エルナ。あなたたちにも分けてあげるわね。この華の種を、あなたたちの胃袋の中で育ててあげるの」
その言葉に、庭の隅で天使たちの残飯を整理していたエルナが、狂ったように笑いながら、自分の腹を掻きむしり始めた。
「あはは……! お姉様、ありがとうございます! 私の体から、お姉様の好きな華が咲くのね? そうすれば、私はもっとお姉様の役に立てる……あはははは!」
かつての可憐な姫君も、勇敢な王子も、いまや「魔女の所有物」という役割以外、何一つ持たない壊れた人形だった。
リアナが収穫された一輪の華を手に取り、その花弁を噛み千切る。
天使の絶望が凝縮された黄金の蜜が、彼女の唇を濡らした。
「……収穫は順調。さあ、次は天界そのものを、私の庭に変えてあげましょう。神様たちが、自分の羽をむしって絶望の種を植える姿を、この目で見届けるために」
リアナの宣言と共に、庭園中の絶望華が一斉に開花し、天に向かって死の胞子を放出した。
復讐は「∞」の螺旋を描き、今日もまた、聖なる命を磨り潰して美しく咲き誇る。
最後までお読みいただき、本当にありがとうございます!
天使の血で咲く絶望華。それはリアナにとっての戦利品であり、天界を滅ぼすための新たな武器です。
エドワードやエルナも、今やこの「地獄の収穫」を支える部品として、完全にその正気を失っています。
次回、第24話:【天墜】燃え落ちる白銀の門。
収穫した毒華の力を手に、リアナとアスタロトがついに天界の門へと足を踏み入れます。
完結なんて、ありえません。この物語は、リアナが望む限り永遠(∞)に続きます。
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