第20話:【神殺】天界への宣戦布告
本日もご愛読ありがとうございます!
第4章を経て、物語はついに「人対人」の枠を飛び越えました。
復讐を成し遂げたリアナが次に見据えたのは、自分を見捨てた「神」への宣戦布告。
天界との全面戦争の幕開けをお楽しみください!
ネーデル王国の王都が灰に還り、その中心に漆黒の水晶宮がそびえ立ったのは、もはや必然であった。
玉座に深く腰を下ろしたリアナの足元では、かつての王子エドワードと義妹エルナが、泥にまみれた鎖を引きずりながら、今日も意味をなさない謝罪の言葉を零している。
「……あ、あぁ……リアナ、様……どうか、今日こそは……死を……」
エドワードの枯れ果てた懇願。だが、リアナは彼に視線すら向けない。彼女が手にしているのは、王宮の最深部で見つけた「神託の杯」だった。
「ねえ、アスタロト。人間たちは、私が火刑台で焼かれている間、ずっとこの『神』とやらに祈っていたそうよ。けれど、神は一度として私の前に現れなかった。……それどころか、この国が少女たちを贄にするシステムを、黙認し続けてきた」
リアナが杯を軽く振ると、中から黄金の聖水が溢れ出す。だが、彼女の指が触れた瞬間、その聖水は見る影もなく黒く濁り、腐敗した。
「天に座す者たちは、人間が絶望し、祈ることで生じる『光の魔力』を糧にしている。……つまり、私たちがここでこの二人を弄んでいる姿も、彼らにとってはただの贅沢な食事でしかないのよ」
アスタロトがリアナの背後に立ち、その細い肩を力強く抱き寄せた。彼の瞳に宿るのは、これまで以上の凶暴な愉悦だ。
「……気づいたか、リアナ。この世界の理が、どれほど悪趣味な構造であるかに」
「ええ。だから決めたわ。……まずはこの空を、引き裂いてしまいましょう」
リアナが立ち上がり、天に向かって手をかざす。
すると、水晶宮の頂上から、これまで集めてきた「王国の怨念」と「魔王の力」が混じり合った巨大な漆黒の閃光が放たれた。
轟音。
それは物理的な音ではなく、世界の概念が崩れる軋みだった。
厚い雲に覆われていた空が、まるで薄い紙が焼けるように破れ、その裂け目から、眩いばかりの、けれど冷徹な「天界の光」が漏れ出した。
『……愚かなる魔女よ。人の分を超え、天の法を汚すか』
天の裂け目から、幾千もの翼を持つ「執行官(天使)」たちが、光の剣を携えて降りてくる。かつての聖女であれば、その神々しさに膝をついたことだろう。だが、今のリアナは、その光景を見て心底可笑しそうに笑った。
「あら、ようやく姿を現したわね、偽善者たち。……遅すぎるわよ。私が助けを求めていた十年の間、あなたたちは一度もその翼を広げなかったくせに」
リアナの影が爆発的に広がり、降り注ぐ光を次々と飲み込んでいく。
アスタロトもまた、その真の姿――天を覆い尽くすほどの巨大な翼を広げ、魔剣を抜いた。
「アスタロト。彼らの翼を全て毟り取って、私の庭の新しい肥料にしてあげて。……神様たちが、自分の信徒と同じように泥を啜って絶叫する姿を、この目で見たいの」
「望みのままに。……さあ、天界の連中よ。魔女の逆鱗に触れた代償を、その永遠の命をもって支払え」
地上での復讐は、あくまで前奏曲に過ぎなかった。
エドワードやエルナの絶望すら、これからの「神殺し」の序章を彩るための、小さな灯火でしかない。
リアナは、怯えて蹲るエドワードの顔を泥靴で踏みつけ、天から降り注ぐ光の嵐を見据えた。
「……楽しみね。神が絶望したとき、この世界はどんな美しい色に染まるのかしら」
復讐は終わらない。
魔女の怒りは、ついに天の理さえも蹂躙し始めた。
最後までお読みいただきありがとうございます!
完結かと思いきや……リアナの怒りはそんなものでは収まりませんでした。
王国を滅ぼしたのは、あくまでもウォーミングアップ。
次回、第21話:【神罰】翼を毟られた天使の悲鳴。
天から降り立った天使たちが、リアナとアスタロトの前に無残に散っていく様を描きます。
この物語に「終わり」はありません。リアナが望む限り、復讐は無限(∞)に続きます。
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