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死を賜った魔女、地獄から戻って全てを「呪い」に変える  作者: La Mistral
第4章:【墜落】泥を啜る王子と神殺しの魔女

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第19話:【新世】魔女の帝国と永遠に続く断罪の日々

本日もご愛読ありがとうございます!

第4章もいよいよ最終盤。

王国を滅ぼし、女王となったリアナが築いた「新世界」の光景を描きます。

逃げ場のない永遠の地獄、かつての恋人たちが泥の中で争う姿……。

徹底的な「完勝」の後に続く、甘美な支配の時間をどうぞお楽しみください。

かつて「ネーデル王国」と呼ばれた地は、いまや地図からその名を消し、永遠の黄昏に包まれた『魔女の帝国』へと変貌を遂げていた。


 空には太陽の代わりに、リアナの魔力を源とする漆黒の月が浮かび、地上には枯れることのない毒の華が咲き乱れている。かつての民衆は、魔女への恐怖を刻印された家畜として、彼女の気まぐれに怯えながら生き永らえることを許されていた。


 その帝国の中心、漆黒の茨で編まれた『断罪の離宮』。


 そこでは、かつての栄華を極めた二人の男女が、今日もまた「終わらない地獄」を味わっていた。


「……はぁ、はぁ、……助けて……もう、指が……動かないの……」


 エルナは、泥にまみれた指先で、棘だらけの魔界草を摘み取っていた。彼女の美しかった顔は、リアナに奪われた若さと魔力の代償として、見る影もなく枯れ果てている。摘み取るたびに棘が肉を裂き、そこから溢れるのは赤い血ではなく、どす黒い「絶望」の雫だった。


「……黙って働け、この役立たずが! お前がぐずぐずしているから、私の背中の紋章が疼くんだ!」


 隣で同じように泥を這っているエドワードが、苛立ちを隠さずエルナを蹴り飛ばした。かつての「溺愛」など、もはや微塵も残っていない。二人の間にあるのは、相手を貶めることで少しでも自分の痛みを和らげようとする、醜い生存本能だけだった。


「あら、相変わらず仲が良くて安心したわ」


 頭上から、氷の刃のような冷たさと、蜜のような甘さを孕んだ声が降りてくる。


 見上げれば、バルコニーの特等席で、リアナがアスタロトの膝に身を預けながら、楽しげに二人を見下ろしていた。彼女の肌は月の光を受けて真珠のように輝き、その瞳には深淵の悦楽が宿っている。


「り、リアナ様! お願いです、今日はもう……食事を、せめて一欠片のパンを……!」


 エドワードが鎖をジャラジャラと鳴らし、犬のように地面に這いつくばって乞うた。


 リアナは、手元の皿に載った極上の果実を一口噛み砕くと、残りの半分を無造作に、二人が耕す泥の中へと放り捨てた。


「……拾いなさい。それが、今日あなたたちが得られる唯一の『慈悲』よ」


 その瞬間、エドワードとエルナは、一秒前までの憎み合いも忘れ、泥の中に落ちた果実を求めて獣のように取っ組み合いを始めた。泥を顔中に塗りたくり、互いの髪を引きちぎり、汚れた果実を奪い合うかつての王子と王女。


 そのあまりに無様な姿を、アスタロトは低い声で笑いながら眺める。


「……実にいい。これこそが、偽りの愛で結ばれた者たちの真の姿だ。リアナ、こいつらを殺さずに生かし続けて正解だったな。これほどまでに旨い絶望を、私は他に知らない」


「ええ、アスタロト。彼らには死ぬことさえ贅沢だわ。……エドワード、エルナ。安心して。あなたたちの体には、どれほど壊れても夜の間に再生する呪いをかけてあるの。明日も、明後日も、百年後も。……あなたたちはこの泥の中で、互いを呪い、愛を憎み、私の帝国を飾る『生きた標本』として、永遠を過ごすのよ」


 リアナが指先で円を描くと、二人の首輪が激しく発光し、さらなる苦痛を肉体に刻み込んだ。

 

 帝国の外では、王国の滅亡を知った隣国の王たちが、戦々恐々としながら『魔女の女王』への貢ぎ物を準備している。だが、リアナが望むものは金銀財宝ではない。

 

 自分を裏切った世界が、どれほど惨めに許しを乞い、どれほど深く闇に堕ちていくのか。


 その過程を、最愛の魔王と共に眺めることだけが、彼女に残された唯一の娯楽。


「さあ、夜はまだ始まったばかり。……次の娯楽は、何にしましょうか、アスタロト?」


「お前の望むままに。……この世界の全てを、お前の溜め息一つで染め上げてやろう」


 復讐は終わった。


 けれど、魔女の支配する『断罪の日常』は、まだ産声を上げたばかりなのだ。

最後までお読みいただき、本当にありがとうございます!

エドワードとエルナ、かつての主役級の二人が、泥の中で一欠片の果実を奪い合う……。かつての「溺愛」が、空腹と恐怖という本能の前でこれほどまでに無様に崩壊する様は、リアナにとって何よりの癒やしとなったようです。

ですが、読者の皆様……お気づきでしょうか。

当初はこの辺りで「完結」という言葉も過ぎりました。しかし、リアナの怒り、そして皆様の熱狂は、そんな程度では収まりませんでした。

この物語に、終わりはありません。

リアナがこの二人を、そしてこの世界を蹂躙し続ける限り、この「断罪の日々」は永遠(∞)に続きます。死ぬことさえ許されない二人の絶叫は、これからも物語の BGM として響き続けることでしょう。

次回、第20話:【神殺】天界への宣戦布告。

復讐の矛先は、ついに人間界を超え、彼女を見捨てた「天」へと向けられます。

無限に膨れ上がるリアナの復讐劇、これからもノンストップで更新していきます!

「もっと追い詰めろ!」「徹底的にやってしまえ!」と思った方は、ぜひブックマークや評価、いいねでリアナの帝国に魂を捧げてください!

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