第17話:【真実】隠蔽された予言と呪われた血脈
本日もご愛読ありがとうございます!
第4章の核心。なぜリアナは実の親に裏切られたのか?
その陰惨な理由が、王宮の地下でついに明かされます。
聖女の輝きの裏に隠された「血の呪い」と「生贄の歴史」。
物語の深みとリアナの怒りが一気に増幅する、濃厚な真実をお楽しみください。
轟音と共に崩落していく王宮の瓦礫を背に、私とアスタロトは、地図にさえ載っていない最深部の隠し地下室へと降り立った。
そこは、王族の血を引く者しか立ち入りを許されないはずの聖域。かつての私なら、その重圧に足を竦ませていたかもしれない。だが、今の私を拒める結界など、この世に一つも存在しなかった。私の歩みに合わせて、聖なるはずの防護魔法がガラス細工のように脆く砕け散っていく。
「……ここが、ネーデル王家が代々ひた隠しにしてきた『真実の部屋』か。神聖を謳う割には、随分と死臭が鼻に付くな」
アスタロトが鼻で笑い、壁に掲げられた古ぼけた石版を指先でなぞる。彼の爪が触れた箇所から、石版がどす黒く変色していった。そこには、初代国王が残したとされる、あまりに身勝手で呪わしい「真の予言」が刻まれていた。
『聖なる血、魔を宿す器として生まれん。その娘を贄とし捧げるとき、王国の栄華は永遠となる。絶望の深さこそが、浄化の炎を熾す薪なり』
私は、石版に刻まれたその冷酷な一文を読み上げ、凍りついたような笑みを浮かべた。
「……そうだったのね。私が『聖女』として選ばれたのは、私が類稀なる資質を持っていたからじゃない。最初から、この国を繁栄させるための『使い捨ての魔力供給源(電池)』として、血筋の中に仕組まれていたんだわ」
私は、父であった国王が、実の娘である私をあの日、何の躊躇もなく火刑台へ送った理由をようやく理解した。
彼らにとって、私は愛すべき家族ですらなかった。王家という呪われた血脈を維持し、国民に偽りの平和を与えるために、定期的に間引かれ、その「死」の間際の絶望をエネルギーに変えて国を浄化するための『供物』。それが歴代の「聖女」の正体だったのだ。
「おかしな話だと思わない、アスタロト? 私を魔女だと呼び、忌み嫌って処刑した彼ら自身が、実は一番、誰よりも『魔』の力に頼り、その恩恵を貪っていたなんて」
「ククク……滑稽の極みだな。神聖と慈愛を謳う王国の土台が、実は実の娘の呪詛と悲鳴で固められていたとは。リアナ、お前をここまで強くしたのは、王家が数百年かけて積み上げてきた『生贄たちの怨念』そのものだ。お前は、彼女たちの無念が受肉した姿と言ってもいい」
アスタロトが私の肩を抱き、耳元で愛おしそうに囁く。
石版の奥、秘密の祭壇には、歴代の「聖女」として犠牲になった十代の少女たちの遺骨が、無残にも箱に詰められ、まるでゴミのように封印されていた。その中には、私にそっくりな顔をした少女の肖像画も混じっている。彼女もまた、十年前、二十年前……同じように民の喝采の中で焼かれたのだろう。
「……ああ、聞こえるわ。彼女たちの叫びが。壁の中から、床の下から……『悲しい』『苦しい』『許さない』……『全部壊して』」
私の中に流れる血が、かつてないほどに熱く、激しく波打つ。
復讐は、もはや私一人の私怨を超えた。これは、この呪われた血筋そのものを、そしてこの歪んだシステムの恩恵を受けてきた王国を、根絶やしにするための「解放」なのだ。
「国王陛下。あなたは言ったわね、私に謝罪すると。……いいえ、謝罪などいらない。ただ、あなたが神と信じて捧げてきたこの『器』が、今度はあなたたちを飲み込み、引き裂く様を、その特等席で見せてあげるわ」
私は右手に、地下に渦巻く歴代の少女たちの怨念を凝縮し、漆黒の魔力の球を作った。それを、王家の存立基盤であった予言の石版へと叩きつける。
パリン、という、何かが終わる音がした。
石版が粉々に粉砕された瞬間、地上で命乞いを続けていた国王の体から、黄金の「王気」が霧散し、彼が急激に老いさらばえていく。数百年の「ツケ」が、今、彼一人に降りかかろうとしていた。
真実を知った魔女に、もはや迷いはない。
この国の根幹が、今、内側から黒く腐り落ちた。
最後までお読みいただきありがとうございます。
自分が最初から「使い捨ての生贄」として管理されていたことを知ったリアナ。
彼女の復讐は、一人の少女の怒りから、歴史の犠牲者たちを背負った「断罪」へと昇華しました。
石版を砕いた今、王国の本当の崩壊が始まります。
次回、第18話:【終焉】国王の最期と新たな世界の玉座。
真実を知ったリアナが、老いさらばえた実の父に、引導を渡します。
物語はついに真のクライマックスへ! 引き続きブックマークや評価、いいねでリアナの決着を応援してください!




