第15話:【家畜】魔女の庭を耕す奴隷たち
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第4章【墜落】編、二人の「家畜」としての生活をより濃厚に肉付けしました。
死ぬことさえ許されず、泥を啜りながら魔女の庭を耕す日々。
王族としてのプライドが、物理的にも精神的にも粉砕されるカタルシスをどうぞ。
重く湿った土の匂いと、鼻を突く腐敗臭。
エドワード王子が意識を取り戻したとき、最初に感じたのは、首を絞めつけるような鉄の冷たさと、絶え間ない激痛だった。
「……あ、が……っ!?」
声を上げようとして、喉が焼けるような熱さに襲われる。首には、どす黒い魔力を放つ鉄の首輪が嵌められ、そこから伸びる漆黒の鎖が、地面に深く突き刺さった杭に繋がれていた。隣を見れば、かつて「王国の薔薇」と謳われたエルナが、泥の中に突っ伏して、獣のような荒い息を吐いている。
「おはよう、エドワード、エルナ。……あらいけない。今は『1号』と『2号』だったかしら?」
頭上から降り注ぐ、鈴を転がすような、けれど慈悲の欠片もない声。
見上げれば、魔王アスタロトの城のバルコニーで、リアナが優雅にティーカップを傾けていた。
彼女の肌は透き通るように白く、纏うドレスは夜の闇を織り込んだように美しい。その隣には、彼らの醜態を極上の余興として眺めるアスタロトが、退屈そうに漆黒の魔犬の喉元を撫でている。
「り、リアナ……離せ……! 私は王子だ、こんな……泥を弄るような真似、許されるはずが……っ!」
エドワードが立ち上がろうとした瞬間、首輪から強烈な電流のような魔力が走り、彼の巨体を泥の中に叩き伏せた。
「あ、ああああああああああっ!」
「王子? ふふ、まだそんな寝言を。今のあなたは、私の庭を豊かにするための、ただの『肥料』よ。……そこにある錆びた鍬を取りなさい」
リアナが指し示した先には、人骨のように白く乾いた柄の鍬が転がっていた。
「今日からあなたたちの仕事は、この広大な庭の毒草を育て、魔界の重い土を耕すこと。……いい? 決して手を休めてはだめよ。その土には、あなたたちが裏切り、殺した人々の怨念が詰まっている。動きを止めれば、足元から影が伸びて、あなたたちの生きた肉を喰らおうとするわ」
エルナは、ひび割れ、泥が爪の間に食い込んだ手で、必死に鍬を掴んだ。魔力も美貌も奪われた彼女にとって、もはや「拒否」という選択肢は存在しない。
「お姉様……お願い、死なせて……もう、嫌、こんなの……っ」
「死なせる? そんな勿体ないこと、するはずないじゃない。アスタロトが、あなたたちの魂が壊れないように『加護』をかけてくれたの。どれほど衰弱しても、どれほど心が擦り切れても、あなたたちは無理やり生かされ続ける。私が飽きるまで、永遠にね」
アスタロトが低い、地響きのような声で笑う。
「そうだ。絶望という名のスパイスは、じっくり時間をかけて煮込むほどに美味くなる。リアナ、こいつらが互いを罵り合いながら、最後の一片のパンを奪い合って泥を啜る姿は、最高の酒の肴だな」
リアナは冷たい瞳で、かつての婚約者と妹が、鎖をジャラジャラと鳴らしながら、生きるために必死に泥を掘り返す姿を見つめた。
「さあ、励みなさい。あなたたちの流す無様な涙と、後悔の叫びだけが、今の私を愉しませる唯一の価値なのだから」
かつての栄華は、一掻きの泥の下へ。
魔女の庭に、今日も二人分の絶望に満ちた悲鳴が、快く響き渡る。
最後までお読みいただきありがとうございます!
逃げ出した先で待っていたのは、永遠に終わらない強制労働。
「生かさず殺さず」という魔女の慈悲(?)が、二人をどこまでも追い詰めます。
次回、第16話:【崩壊】王宮の落日と魔王の進軍。
二人を捕らえたリアナの復讐は、いよいよ王国そのものの消滅――「最終段階」へと向かいます。
本日、このままの勢いで更新を続けます!
1作目の記録を超え、さらなる高みへ。ブックマークや評価、いいねでリアナを後押ししてください!




