第14話:【逃亡】王子の裏切りとゴミ捨て場の再会
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第4章【墜落】編、ついに本格始動。
溺愛の末路は、泥靴での蹴り飛ばし。王子の醜悪さと、エルナの絶望をより深く描き込みました。
どん底に落ちた二人に、リアナが与える「慈悲なき刑罰」の行方は……。
「……はぁ、はぁ、……私を誰だと思っている……。私は、この国の、唯一の王位継承者なのだぞ……っ!」
エドワード王子は、王宮の地下から続く湿った隠し通路を這い進んでいた。かつての白銀の甲冑は傷だらけで、マントの裾は鼠の尿と泥を吸って重く垂れ下がっている。
彼が今握りしめているのは、民を導く剣ではなく、王族にだけ許された隠し倉庫から掠め取った宝石の袋だけだった。
「……あんな女、最初から聖女でも何でもなかったんだ。私は騙されていた被害者だ。そうだ、リアナも分かってくれるはずだ……全てはあのエルナが、私をそそのかしたからだと」
額に刻まれた「絶望の紋章」が脈打つたび、針で脳を突き刺されるような激痛が走る。
エドワードは自身の震える足で、王都の最北端、貧民層が捨てたゴミが山を成し、死臭と腐敗臭が立ち込める廃墟地区へと辿り着いた。
「ひっ……!」
ゴミの山の影で、何かが動いた。
ボロ布のようなものを纏い、腐った残飯の中に指を突っ込んで何かを漁っている「影」がある。
「……お、お腹が……空いたわ……。誰か、誰か助けて……」
その声を聞いた瞬間、エドワードの背中に冷たい汗が流れた。
泥を啜り、老婆のように萎びた皮膚を晒しながら、必死に残飯を口に運んでいるその「化け物」は、数日前まで彼が「私の愛しい薔薇」と呼び、溺愛していたエルナだった。
「エ、エルナ……? お前、そんな姿に……」
「……エドワード様? ああ、エドワード様なのね!」
エルナは、魔力を奪われ光を失った濁った瞳を大きく見開き、汚物にまみれた手でエドワードの泥靴に縋り付いた。
「助けて! どこでもいい、私をここから連れ出して! 私は王女なのよ! こんな、こんな惨めな場所で死にたくない……っ!」
彼女の指が、エドワードの清潔な(と彼が信じている)ズボンの裾を汚す。
その瞬間、エドワードの顔に浮かんだのは慈しみなどではなく、反吐が出るような「嫌悪」だった。
「……離せ! 触るな、この醜い牝狐が!」
エドワードは、かつてその唇を重ね愛を誓ったはずの義妹の顔面を、迷うことなく泥靴で蹴り飛ばした。
「お前のせいで、私は全てを失ったんだ! 聖女でもないただの泥棒の分際で、私を騙し、リアナを怒らせやがって! 私の人生を返せ! 死ね! どこかで見苦しくのたれ死ねばいいんだ!」
蹴られた拍子に、エルナの痩せ細った体から、リアナから奪っていたはずの最後の装飾品――欠けたペンダントが転がり落ちた。
エドワードはそれを拾い上げることもなく、ただ保身のために罵詈雑言を浴びせ続ける。
「……ふふ、あはははは……っ! 本当に、見事なまでの『愛』の終わりね」
その時、二人の背後から、凍てつくような美声を伴った笑い声が響いた。
振り返った先に、漆黒の魔力を翼のように広げ、宙に浮くリアナの姿があった。その隣には、彼らの醜態を極上の喜劇として鑑賞している魔王アスタロトが、愉悦に瞳を細めて立っている。
「り、リアナ……! 違うんだ、私はこいつに騙されていただけなんだ! お前を一番愛しているのは私だ、そうだ、結婚しよう! お前が王妃になれば、この国はまたやり直せる!」
エドワードはゴミの山の上で膝をつき、必死に手を差し出す。そのあまりの厚顔無恥さに、リアナの瞳からは光が消え、底なしの「虚無」だけが満ちていった。
「……いいえ、エドワード。あなたたちに用意したのは、死よりもずっと長く、苦しい『役目』よ」
リアナが指先を鳴らす。
ゴミ捨て場の腐敗臭が、一瞬にして逃げ場のない黒い霧へと変貌し、絶叫する二人を包み込んだ。
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王子のあまりの身勝手さに、リアナももはや怒りを通り越して笑うしかありません。
踏みつけられたエルナと、這いつくばって求婚する王子。これこそが、彼女が望んだ「関係性の崩壊」です。
次回、第15話:【家畜】魔女の庭を耕す奴隷たち。
死ぬことさえ許されない、永遠の重労働が二人を待っています。
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