若い死
時は今朝。
「姉さ〜ん」
ラインハルトはいつものようにエルサを起こしに来た。エルサは勇者であり、氷魔法の使い手だ。もっとも、とある蟷螂に良いようにやられ、今は(自主規制)勇者になっているが。
「姉さん?」
応答が無い。悪ふざけだろうか、狸寝入りでもしているのだろう。何ならくすぐる。姉さんはくすぐりには弱い。なのでくすぐる。
尚も反応が無い。
まさかと思い手首に触れる。脈を測る為だ。
「脈が…無い」
念の為呼吸してるか確認し、心音も聞く。
「嘘…だろ」
認めたく無いが為に自身の頭に浮かんだ単語を否定する。
「嘘だ…」
こんな時に賢者さえいれば。ダメ元で念じる。目の前に姉さんの情報が出てくる。頭痛がするが今は眼の前の情報を読み取るのに必死だ。
現実はすぐそこにあった。だが尚も否定する。賢者は間違えないと理解しながら否定する。
「嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ…」
息が続く限り否定した。
エルサの死は大々的に発表された。
同時刻。マリアの死も発表された。
そしてラインハルト、ジャベリンはそれぞれ勇者、聖女の称号を引き継いだ。5歳という年で。
ラインハルトは動揺し、しばらく引き篭もっていた。
ラインハルトはふて寝しようにも出来ないので、スキルの内容を見ていた。
勇者というスキルは、率直にいえば複合スキルの複合スキルだ。複合とは文字通り複合のスキルをまとめたスキルだ。そして勇者という複合スキルは、歴代の勇者が取得したスキルが内包されている。その中に姉さんの名前もあった。
勇者というスキルは代を重ねるごとにどんどん強くなっていく。そして、記憶も内包される為、自分を失う危険もある。まぁ、記憶を遡らなければいい話だが。だがそこまでラインハルトは知らない。
ラインハルトはまだ引き篭もっている。そして勇者というスキルでエルサを感じていた。1つ補足すると、ラインハルトはある意味重度のシスコンだ。




