Mid night kitchen
day. Over night Mid night kitchen
––––深夜。雑用専門ギルド「猫の手」、厨房。
「さて、皆さんお休みになられたようですし、始めるとしますか」
淡い赤毛の束ね髪。気合十分受付嬢は、前掛け絞めての三角巾。調理台へと向き直る。
「まずは……」小麦粉、卵に鉱泉水。捏ねる手つきも慣れたもの。
「よっ、ほっ、てやぁ~!……と。うん、まずはこんなものでしょうか」
手早く捏ねた生地まとめ、絞った布巾に包んでは、一先ず脇にて休ませる。
「これでよし、と。次は……う~ん、鳥さんで、やってみますか」
寸胴取出し、鶏ガラ入れて、焜炉でクツクツ出汁をとる。
「では、沸かす間に、っと。……うん、良い加減ですね♪」
浸け置いた肉の様子見て、天火の中に並べ置く。
「~~~~~~♪」
髪房揺らし、鼻唄一つ。寸胴の上には蒸し籠置いて、巻き簾で包んだものを入れ。
葱に青菜に戻した干し野菜。煌めく包丁躍らせて、トントン、トトトン、リズムを刻む。
鍋釜、包丁、奏でては、今宵の厨房はコンサートホールのよう。
あなたに一つ 私に一つ
美味しい笑顔が 咲くように
お鍋に魔法を かけましょう
それは素敵な 秘密のスパイス
みんなのほっぺも とろけちゃう
愛情たっぷり 召し上がれ
「~~~♪、~~~♪」
調子が上がれば、心も踊る。踊りだしそうな勢いで歌いながら、受付嬢は、包丁を振るう。
「こっちは、こんなものですかね。後は、リッツォを準備して……」
くるくる、くるりと、舞台を跳ねて、幕間の主役は一人、夢想する。
「どこまで再現できるかは分かりませんけど、喜んでいただけると良いですね。ふふっ」
こうして、彼女の夜は更けていった。




