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AAK★★★★★★線上にかける端


 ヤEが語り出す。

 アーヤもポリンも目を合わせて何かを言わんとしていた。



「昔これ……女神像を建てたのは、鬼ON星がようやく宇宙船技術が舟で言う所の漁船レベルにまで到達した頃の話で……」



 当然の様に、目の前に見える惑星への渡航を目標に設定する。

 成功すれば手土産に惑星の何かを持ち帰る。


 それがタコ型ハチク星人だった……


 体の彼方此方を切り裂かれ、その生体を研究され尽くした終には、口から吐かれる墨の構造体をと……


 息絶えた。



 にも関わらずその亡骸を埋めるでも無く研究者達は成分分析をした挙げ句、星を上げてのプロジェクトだったが予算の見切りに自分達の研究成果を問われた折、食料としての価値を掲げた事でタコ型ハチク星人の捕獲作戦が起ち上がる。


 捕獲作戦の為にタコ型ハチク星人の性質を逆手に取った壺型の爆弾を開発。


 鬼ON星人はその釣果にも貴重だからと八本ある足を少しずつ刻み衣と煮込んで食していたが……



 ある時、捕えたタコ型ハチク星人が鬼ON星人の言葉を喋った事に端を発して捕獲作戦は影を潜めた。


 そのタコ型ハチク星人の名を銀という。


――PARIPI――



「そうしてハチク星人への哀悼の意を表して建てられたのが、この女神像……」



――PARIPI――



――PARIPI――



 ヤEも話しながら何となくは気付いていたのか、二人は話もそぞろに……




――PARIPI――

【この星の何処かにMウル星人が居るとの報告有り】


「マジ?」

「実は既にアーヤに取り憑いてるとか?」


――PARIPI――




 何処から聞いていなかったのかも判らぬ程に、バングルの通信で盛り上がる二人の姿。


 ヤEの心に隙間風が吹き荒ぶ。


 いや、隙間風ではなくこの高さ故の強風に、思いを馳せて語る声がまともに二人へ届く筈もなかった事を今気付く。


 少し恥ずかしい思いに、二人も飽きているのは目に見える事からも、ヤEは恥じらう顔を取り繕って二人に笑顔を向け声をかけた。



「さて、戻ろっか!」



 振り返る二人の顔が待ってましたと言わんばかりだった事に、気がモヤるヤE。






――SHUFOOOOOOOOOO――



 シューターに乗ってもモヤる気持ちの整理に、一先ず途中階に在るミュージアムで降ろすヤE。



「ここが昔ミュージアムだった所」



 へええ、とアーヤが何かに引かれるように中を見始めると、ポリンも何かを見付けて歩みだす。

 ヤEにとっても意外な事に、二人は何に興味を引かれたのかと追いかけた。


 今は何もないショーウィンドウが並ぶだけのフロアに、何が置かれていたのか一部残る何かの資料集や割れた何かの残骸ばかり。


 アーヤは残骸の中に鎧の様な物を見付けて、ランウェイGOのレトロクラシックな船内の装飾品にと考えていた。


 そんな中、ポリンが資料集の中から何かを見付けた。




「これ、女神像の設計図じゃない?」


「え?」



 そんな筈は無い。と、思うもヤEは駆け寄り覗くと確かに女神像建造に書かれた設計図だった。

 アーヤが鎧の兜の様な物を持って戻り覗き込む。



「あ、ここ地下も在るじゃん! てか、相当深いよこれ」


「そんな、私も知らないんだけど……」



 ヤEの驚く顔に、ポリンが別の資料から更に驚愕の事実を突き付ける。



「それ、地下じゃなく地中杭になってるっぽい……」


「は?」

「地中杭?」



 ポリンが見付けた資料には図解で示されたこの星の地殻に関する文献が記されていた。


 ポリンも図解は理解出来たが、流石に現地の古い文字までは解らない。



 ヤEが文献の資料を手に取り真剣に読み出したものの、科学的知見は無く何が何やら解らず単語に意味を求めるのみ。



「森・核・(つぶ)れる・線上・エサキ・マジの断層……」


「それ、あの伝記じゃないのか?」



 突如として戦伝(センデン)が現れ口にした。

 皆が振り返るとスッカリ仲直りした……とは思えない程のビンタ痕を頬に付け、後ろには飼い慣らした飼い主の様に立つシア()


 まさか、ネチネチの飛び火に現れたのか? と、警戒する二人にシアZは意外にも敬意を表する。



「さすがはトップモデルね。どんだけ引きが強いのよ! でも感謝するわ。それ、私達がいくら探しても見付からなかった鬼ON星の秘匿資料なの」


「探しても無い筈だよ。ここに残ってたとはね。実は……」



 シアZと戦伝は解体工事前に運び出した資料の山にコレを探していたが見付からず、ここの解体作業員に紛れて解体を阻止しようと機会を窺っていたらしい。


 またも長い話になるかと身構えたアーヤとポリンだが、案外話が簡素化されていた事に安堵の表情を浮かべるが、逆に気になる点が出た事に……


 気にはなるけど聞きたい程でもない。けれど聞いとかなければ後々気になりそうで、嫌々ながらも問いかけるポリン。



「これが秘匿資料で、解体を阻止しようとしていたシアZ達が探してた。て事はさぁ、コレに女神像を解体してはならない何かが書かれてる。て事でしょ?」



 ポリンの推測にアーヤがヤEの読み上げた単語を組み立て直す。



「女神像の地中杭は、何かの核に、何とか断層、つぶれる森? エサキと線上が解らないなぁ……」



 悟られてはならない何かを悟られた様な諦めの様な顔を浮かべてため息を漏らしてシアZが資料に手を伸ばす。


 特に拒む理由もなく素直に手渡すポリンが推測を口にする。



「多分、この女神像は地震か何かを抑える為の重石の様な役割を担ってる。て処でしょ?」


「……さすが、でも抑えているのは地震じゃないみたい。これ、エサキもマジのも昔の大地震の断層を示してるけど、森と線上それにこの(つぶ)れるは目を瞑る方の瞑れる。で、この資料の最後に書かれている【視線が減る】って部分が何を意味するのかが……」



 シアZの見解が何を指すのかアーヤとヤEが目を上に向ける中、ポリンは思い当たる何かに目は下へと向き出た答えは。



「逃げた方が良い感じ?」



 凄く曖昧に……

 でも、答えとしては当っている様でシアZに資料を見せられた戦伝が、ヤEに告げる。



「ヤE、瞑れる森は断層の上の事だ。PAソナの占領開発してる辺り、農園もヤバいんじゃ……」


「そっかぁ……まぁウチの農園も、近くにPAソナが祭壇への呼び込みに招き猫の施設を作ってからは売上落ちてるしそろそろ閉めるか、とかって……あ、父さん!」



 ヤEの父親ニコル(ソン)はスペースポリシーに連行され、その森の近くにある代替本部に居る事に気付き慌て出す。


 アーヤが落ち着かせようとヤEの肩を抱き焦る必要が無い事を説こうと解っていそうなポリンとシアZに問う。




「別に、その森って今スグ瞑れる訳じゃないんでしょ?」




 ポリンは問うアーヤを見て何かを考え、一呼吸に出した答えが正しいのかの判斷にシアZの顔を見る。


 そのシアZは下を向き、何か言い辛そうに目を泳がせていた。


 その何かを、戦伝もヤEも知っているのかシアZの動揺が伝心して行く。




 ……何かある。



 それだけは確信出来たアーヤが、その何かにも気付いていそうなポリンに再び目を向ける。


 と、ポリンも不安に感じる何かに対する動揺を払拭しようとしてか、ヤEの肩を抱き不安の目を自分に寄せるアーヤを見たからなのか、確信した推測を口にする覚悟を決めると自分の手首を握り締め息を吸い込み……




「ここの……女神像の解体、爆破する予定が近いって事でしょ? 多分、ハチク星人への弔いに、壺爆弾で……」




――PARIPI――

【爆破予定まで三十五EAT(イート)




「はあ?」



 BIKKEの通信にアーヤが素頓狂な声で怒りと驚きを混ぜ合わせてポリンを見返すが、ポリンの推測に対してシアZが口惜しそうに頷き、ヤEはここに着いて知ったのか戦伝も悔しそうに自分の太腿を叩き始める。


 悔しくもそれが現実なのだとばかりの反応に……


 そんな三人に対してポリンが想いを告げる。




「爆発まで三十五EAT……ヤE、アンタこんな所に……」



 辛辣な顔を浮かべるポリンが口惜しむ様に言葉に詰まるのを見て、アーヤがポリンの気持ちを汲んで口を挟む。



「ヤE、こんな所で悔しがってる場合じゃないでしょ。早くニコル村を助けに行こう!」


「はあ?」



 ポリンが上げた怒りと驚きを混ぜ合わせた予想外の声にアーヤは、え? と、ポリンを見返すと、何言ってんのアンタ? とばかりの勝手な事しないでよオーラ満開でアーヤを睨んでいた。




「何私達も行く前提で話してんのよ。こんな爆破寸前の爆弾だらけの建物の中に観光客を案内するとか頭おかしい訳?」



 悔しさも引く程の正論と言って良いのかも微妙なポリンの言い分に、納得も出来るが今それを言うのかに疑問を感じるアーヤの胸の内は……



 戸惑っていた。

 けれど、誰も言い返せない雰囲気に言えるのは自分しか居ないと判るからこそ……



「あの、壺爆弾って……」



 何から切り出すかに悩むも焦り言葉の選択を間違えたアーヤ。



「そっか……それよ! 壷爆弾」


「……何が?」



 一人でドンドン突き進むポリンの思考にアーヤも含め、ついて行ける者は既に居なかった。



「ほら早く! みんな行くよ。ニコル村助けるんでしょ?」



 何故かニコル村救出作戦とばかりに指揮を執り出したポリン。



「え、ポリンも行くの?」


「……嫌だけど。でも、行かないとイメージ悪いでしょ?」



 性格。

 いや、ある意味モデルとしての意識の高さに敬服する皆の思いは一つに、戦伝もシアZにモデルとしてアレを見習え……とまでは言えない気まずさを残してアーヤを見る。


 当たり前に顔を背けるアーヤはポリンに確認しようとするが、ヤEが割って入る。


 ポリンの思い付いた策に気が付いた様で……




「ポリン、壺爆弾は戦伝とシアZに任せて一緒に森まで来てくれる?」


「森に何かあるの?」


「多分、父さんは森の祭壇建設工事に潜入する筈なの!」



 置いてけぼりのアーヤは固まる笑顔で進む話を見守っていた。





「へえええぇぇぇ……」


 

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