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AAK★★★★線上にかける端


「俺が反逆者?」



 ヤEがアーヤとポリンに確認した話から、ニコル村は権利書関係をヤEに渡しバギーに乗るのを躊躇い考え込み出していた。



「父さん何してるの!」


「いや、何考えてるのか知らないけど早く乗って! もう行かないとスペースポリシー来ちゃうから!」



――PARIPI――

【アワGSAの監視カメラにスペースポリシー船団を確認。PAソナの従事者専用バギーの車列が農園から北西約二十TEA程の辺りのカメラを通過】



 ヤEとアーヤが急かし、BIKKEが危険を通知する。




「二十TEA程の辺りって事は、あと二十TEAでここに来るって事?」



 ポリンは絶賛、BIKKEの指示通信的な馴染みのない端的メッセージの意味を解読中……




「先に行ってくれ」


「何格好つけてんのよ。いいから乗って!」


「大丈夫だ。俺は元長官だ何とかする! 悪いな、お嬢さん達。そういう事だ」




 ニコル村はバギーを離れ家の鍵を掛けてしまった。

 困惑する二人に対し、ヤEが諦め顔で何かを吹っ切る様にため息を吐くと、行こう! と笑顔を向けて来た。

 当然二人は理解出来ずに食い下がるが、本来留める筈の娘が行けと言っていて立場が曖昧なままに、留ませる理由も薄っぺらい血縁関係の話しか無いのに、それを血縁者に諭す事など出来る筈も無い。


 それはヤEの方がより理解しているだけに二人を納得させる事の方が難しいのだが、見て判る通りに口にした。



「あれ、頑固だから一度言い出したら聞かないから行って! 本人も言ってるけど元長官なのは本当だから、多分大丈夫!」



 決断力が問われる場面にアーヤが悩む中、ポリンが冷淡にバングルをタップしてBIKKEに確認した。



「ニコル村は捕まったらどうなるの?」


――PARIPI――

【PAソナの代替本部に連行】


「何て?」



 ヤEが確認に聞くとアーヤが応え教えた。

 するとヤEは少し考えると、なら大丈夫。と、安易にも思える答えを出しニコル村に向かって声を上げた。




「父さん! 代替本部に連行だって! 上手く行けばサイトが居るあの森の確認出来るかも! 私、二人を女神像に案内したらシアに連絡するからそれまで何とかして!」




 窓から顔を出したニコル村が了解の合図か握り拳を高々と挙げてヤEを見送りか、顎で行け! と、指図していた。

 アーヤは親子の覚悟に押されて決断するも、ポリンは話の流れに違和感を覚えていた。



「女神像……?」


「うん、アワG観光案内するって言ったじゃない、折角だから解体される前に観といてよ!」


「ヤE、スペースポリシーはアワGから来るから」

「大丈夫、任せて!」



 ポリンの疑問の序でにアーヤの不安も背負い、ヤEがアーヤから運転席を奪い取る。



「じゃ、行ってくるぅう!」



 ニコル村が挙げた拳を広げ、手を振っている。

 完全に見送りだ。


――SHUFOOOOOHH――



「んにゃっ!」

「ちょっとお、イキナリ飛ばないでよ!」


「ごめん、逃亡劇に興奮しちゃった! でも近道するから掴まってて!」


「近みぃぃ……」

――SHUFOOOOOHH――



 浮遊状態で走り出したバギーは道なき未知なる丘の草木の茂る方へと向かって突っ込んで行く。


 二人は嫌な予感にスキンケアを発動させていた。









 それから程なくしてスペースポリシーがニコル村の元に到着する。


 とぼけた顔で何事かと出迎えるニコル村は抵抗する事も無く素直に従い、スペースポリシーが乗って来たPAソナ従事者専用のバギーに乗り込んだ。



「何だコレ? 何々……働かざる者食うべからず座して死ぬなら保険金を賭けなさい。ん?」



 バギーと言っても屋根もある地球で言う所のマイクロバスの様な車内には、至る所にPAソナの顔と共に御経の様な訓示が書かれている。



「貴方の富はPAソナに、貴方はPAソナに生かせて貰っている事を常に心の中で唱えなさい。さすれば道は拓かれん……」



 明らかに洗脳強要する文言の数々にカルト宗教的な違和を感じるニコル村。


 同じPAソナ従事者専用バギーに乗ったスペースポリシーの連中にも、一部で苦虫を噛み潰したような顔を隠そうとニコル村から見えない様に逸らす者も居る。


 しかし、逸した処で何処を向いてもPAソナの顔と御経の様な訓示が書かれている為、逸したそばから顔を(しか)めて下を向き、その床を見て目を瞑る。


 手摺り一つにも文字を小さく書かれたそれ等こそが、この星に連れられて来た借金返済プログラムの移住者達を乗せ、この町で奴隷の如くに使い捨てる為の洗脳的な……



 いや、まさに洗脳プログラムなのだろう。



 異常なまでの精神状態に追い込み奴隷としての従属関係を脳裏に植え付け、PAソナ従事者という精神を壊される事で救いを求める従順なる信者を創り出している。


 そう気付いたニコル村は気丈に振る舞い立ち向かう事を決意し遠くに見えて来たPAソナの代替本部をバギーの窓から睨み見据える。


 が、その窓にもPAソナの顔がプリントされているせいか、睨んでいるのがPAソナなのか代替本部の建物なのか微妙な事に、ニコル村も目元を引き攣らせていた。








――BABABABABABA――


 アーヤとポリンのげんなりした顔が近道の躍動感を伝える中、ヤEは【(ベイ)コック・レストラン】と書かれた看板の駐車場にバギーを駐めるとガイドのノリで二人に振り返る。



「皆さんお疲れ様です。こちらがアワGの女神像……って、何これ?」


「気持ち悪……」

「私、初めて陸酔いしたかも……」



 ヤEが飛び出して行ったが、二人はヤEの乱暴な運転に酔っていて立ち上がる事さえままならない状態。


 ポリンはバギー酔いを陸酔いだと思っているが、陸酔いは宇宙船から降りた時に来る物でポリンもアーヤも全く無かった。


 それもその筈、それこそが惑星間チューブSAの巧妙なのだから。

 宇宙空間にある惑星間チューブSAで降り、そのままバギーで惑星内まで侵入出来る為、その移動中に三半規管が慣れてしまうという訳だ。


 しかも、二人はヤEの裏技でバギーの浮遊機能をフルにして来た為に三半規管の陸なれもないままに農園までは馴れないアーヤが運転していたが、熟れているというヤEの運転で酔った事実に運転の上手さは馴れでも熟れでも無いと知った二人。



「次は私が運転する……」

「ポリン、任せた」



 飛び出して行ったヤEの声に誰かが出て来たのが判りアーヤがそちらを見ると、レストランの扉から姿を現した女の顔に……



「あああっ!! CMの!」



 CMの! という意味の分からないアーヤの叫びにポリンもそちらを見れば、PAソナのCMをやって落ち目になり業界から消えたと噂のシアが居た。



「うそ、落ち目モデルの呪い……」


「誰が落ち目だって!?」



 ポリンの言葉に反応するシアZがバギーの二人に目をやると見覚えのある顔に、ヤバっ! といった一瞬の焦りを見せた。


 そんなシアZの気持ちを察する事無く、その後ろからシアZのマネージャー戦伝(センデン)も顔を出して声を上げる。



「おぉい! シアZ何やって……ヤEか?」



 敏腕マネージャーとして知られ戦伝という豪気な名前から強面のおっさんを想起するが、実際はイケメン優男の甘いマスクに女性のプロヂューサーや編集者が堕ちたに過ぎず、その弱々しい体格から男からは(したた)かに枕営業をやるヤリチ○野郎の異名さえ……


 そういう意味でも有名だっただけに、マネージャーだった戦伝の顔を知るアーヤもポリンも、やっぱり! と、納得顔でシアZを見返すと、苦悩の表情を浮かべ手を充て下を向くシアZ。


 そんなシアZの仕草に戦伝は、状況を確認しようと周囲を見渡せば、レンタルバギーに残る二人の姿に気付き目を細める。


 何処かで見た記憶も何も明らかにモデラー星体型の二人の顔は、マネージャーなら知らない筈のない人気モデルの二人の顔に、シアZの仕草も頷けたと同時に自分のしでかしたミスを知る戦伝がハッとする。



「何でアーヤとポリンがここに居る!」



 シアZと戦伝が自分達に見付かって焦る理由も分からない、アーヤとポリンにとってはそんな疑問よりも視線に入る二人の服装に対する疑問の方が上回り、ポリンが口走る。



「ねえヤE、この星ってタイプ316(ツナギ型宇宙服)が流行りなの?」


「え? 別に流行ってなんか……」



 ヤEには訳が分からず、周りを見れば皆がタイプ316を着ている事に戸惑い出す中、アーヤは無意味な推理を始めポリンも話に乗り出す……



「ヤEは鬼ON星の地元民だから宇宙服を着る必要が無いから……ここに来る観光客の流行り? だとするとタイプ316を着てると何か特典があるとかじゃ?」


「ひょっとして、ビワ葉矢秀を食べ放題で三十個以上食べたら貰えるとか……」



「いや、それむしろ私達にとっては恥ずかしい感じじゃない?」


「そう? アーヤもシアZも好きそうじゃない」



 聴いてたシアZもアーヤと共に一瞬脳裏に浮かぶ〈?〉直後に二人が怒り露わにポリンに向けた。



「どういう意味よっ!?」



 舌を出し(おど)けるポリン。


 そんなやりとりにヤEが気付き、あれ? ひょっとして、と浮かんだ答えを口にする。



「え、ひょっとして皆知り合い? あ! シアZが一時期やってたモデルの……」



「一時期って……そう、この二人は人気モデルのアーヤとポリンで……って、ヤE知らなかったの?」



 そう言うとヤEの反応から、シアZはニタっと笑ってアーヤとポリンを見やり手を口で塞ぎ、すまし顔に戻して続ける。



「アーヤもポリンもヤEは知らないって! 人気モデルも業界での話ってやっぱり当てにならないのね!」


「ふにゅっ!」

「くぬっ……」



 言葉にならないムカツキに陸酔いも醒めたか、二人はバギーを降りて三人の元へと向かい歩き出す……

 

 が、ヤEの運転は如何程な物だったのか、モデル歩きも遠い記憶に酔いどれの千鳥足にふらつく二人。



「え? まさか、ヤEの運転で?」


「そうだけど?」



 戦伝は二人の様子から原因に気付き、ヤEの返事を聞き慌てて二人の保護にと走り、倒れる前にと両腕でアーヤとポリンを抱き上げた。



「ぅわ、ヤリチ○に胸触られた……」

「ヤバ、犯される……」


「しないからっ!」



 ポリンとアーヤ二人の持つ戦伝のイメージを知っても本人に驚きは無い。

 何故なら、戦伝自身も散々言われた陰口に業界の人気モデル二人が晒されない筈がないと知るからこそ。


 そのまま二人を担ぎレストランの中へと向かい、シアZに酔い醒ましの鬼ON星特製の鬼ONスープを用意する様に指示して行った。



「ヤE、あんたが原因なんだから手伝いなさいよね!」


「え? 何で私が原因なの?」



 未だ自覚の無いヤE。

 運転の荒い者程その自覚が無い事に、性質(タチ)が悪いのは何処の世界でも……

 

 

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