AAH★★オレハマッテイタ
肉付きの良いエロイドばかり見ているUGロウに何となく嫉妬のような感覚が湧いているのか、面白く無さそうに説明を続けるAインコウ……
この最後のエロイド達がここに隠れ置かれている理由。
賭場衛星の主催者権限を暗殺でトジミン星人から奪い取った東タヌウキ星人の改壊が、トンキン星団を取り仕切り出すのに暗部の噂を消し、勢いを点けようと
トジミン星人との違いを見せ付けようと考え、顔として娘の娘ユリコ刑を前面に推し出した結果。
タヌウキ星人の特徴である長生きに、知性を持てる筈だが言い訳と虚構に時間を割き文明も無く嘘に嘘を塗り重ねるだけで、化粧代わりに粘土を塗り重ね老いを隠す事から粘土ロイドと称されていた。
そのイメージを消そうと女を強調する為、性犯罪や性差別を偽造し始める。
賭場衛星において発生したとする性犯罪の映像と共に囚えられる性犯罪者達。
また、新たな性差別として掲げる数多の物事。
最初は共感し易い痴漢の撲滅を唱って取り締まり強化にと、防犯カメラや警備や自警団の増強に税を吸い上げた。
それは、トンキン星団の独裁化に都合の悪い話が出る度に、囚えられる犯罪者や性差別事物として列挙される事物が増えては大々的に取り締まる。
しかし、取り締まるのはアルカボンで利益共有する大手商社の対抗商社や、インジン星やハム星や横タヌウキ星やの共犯星に対する敵対勢力ばかりな事に一部の民衆が気付き始めていた。
その頃、暗殺で突如消息を絶っていたトジミン星のトップだったタキガニやカメE等が、横タヌウキ星人によって何処かに幽閉されている。
そんな目から鱗の噂が出る。
噂が出れば火消しに段々とエスカレートした性差別事物は、服や会話にまで至る。
気付けば民衆の生活の中にまでスペースポリシーの取り締まりが迫っていた。
遂には他者に関わらない個人の独り性行為にまでケチを付け、ジャポメカ星のエロイドが取り締まり対象に入っていった。
慌てるアッキー場。
いつ何が対象にされるかも判らない中で、サブカルチャーで盛り上がる人々は戦々恐々に離れるだろうと思われていた。
が、マニア愛は星への忠誠よりも根強く、サブカルチャーらしく地下での集まりに交流を深め反対勢力は増大していく。
そこでジャポメカ星人のトーヨスというエロイド開発者が立ち上がる。
と、スグにエロイドを取り締まり対象に揚げた娘ユリコ刑の右腕だった音デッケーが横タヌウキ星人だと知れる。
娘ユリコ刑も知らなかったのか、娘ユリコ刑の横領の一部を更に横領していた右腕の裏切りが判明し、横領全ての責任を擦り付け処分を検討し始めていたその折。
敢えて性差別の対象とされ販売禁止にされたジャポメカ星内限定品だった無πA―YS11を改造し、粘土を纏わせAインコウと名付けて賭場衛星のトップ改壊の元に送り込むトーヨス。
粘土を纏ってはいるが顔を変えられる程の技術をエロイドに習得させる必要は無く……そもそも娘ユリコ刑のように素の顔が老いてはいないのだから粘土を纏う必要も無かったが、若さが嫌味にならぬよう多少の粘土を纏わせた。
賭場衛星に潜り込ませたのはトーヨスの師匠だったルナGが、油脂を分解する洗剤代わりのバクテリア【ヨージャ】の売り込みに連れて行った。
販促に敢えてルナGが乱暴に扱き使うと、直向きにテキパキと働くその姿に改壊は卑猥な目で舐め回すように見ていた。
ひっそりとAインコウに声をかけていた改壊が、【ヨージャ】の販売契約を取り交わし商談を終えようかとする折ルナGに話を持ちかける。
「その娘……それも私が買ってやろうじゃないか! どうだ?」
モゴモゴとした喋り方をする老人の戯言のようにも思える提案に、静かな笑みを浮かべるルナG。
予定通り罠にかけたものの老婆心に一瞬Aインコウを見るが、卑猥な顔を隠す改壊の支配者ならではの強かさを知る事になる。
「どうした? 失いを惜しむか? それじゃあ大成せんよ」
「いえ、これが失礼を働かないかと……」
「どうだ、君の大成をここに確約しようじゃないか」
安易な駆け引きにも持ち込む隙を与えずに意図を含ませるような物言いに思考を奪われ、モゴモゴとした喋りに聴き取る必要にも追われ相手のペースで進む話に値段交渉を挟む余地も無い。
上から目線に権力の使い方をひけらかすような素振りに、知性が有るようには見えず馬鹿な話にしか聞こえないだけに尚更の腹立たしさが苛つきを顔に出してしまいそうになるのを必死に抑えるルナG。
それこそが権力闘争にのし上がった者の戦い方だと考える事で、苛つく対応を対策へと思考を試行錯誤の末に、改壊を褒め称えると拍手が返ってきた。
「その若さで珍しいな、大成の確約の意味を理解出来たか。面白い、君の言い値で買おうじゃないか、幾らだ?」
これも試していると理解してしまえば怖気付いたと思われ大成はしない。では大きく出る事が正解かと言えば生意気と捉えられ大成処か潰される対象になり兼ねない。
「では、コレが消えた後も私がよりスムーズに貴殿との仕事をこなせるだけの者を募集し雇い入れるだけの代金等を含めてこれ位は戴かないと……」
誠実を果たし忠誠に見せたが、提示された金額を見る事も無くルナGを見る改壊は嘲笑っていた。
「本当にそれで良いか?」
尚も試す改壊に笑顔を返すルナG。それが交渉成立の顔だと肩を叩かれ、屈辱感を覚え込ませて忠誠にしていると知る。
改壊がAインコウを連れ部屋を出ると、下を向き震えていたルナGも嘲笑っていた。
ルナGがジャポメカに戻ってから暫くの後だった。気付けば娘ユリコ刑の右腕として脇に立つAインコウがトンキン星団中に中継される。
当然ジャポメカ星人はAインコウの顔を見てスグに気付き驚愕する。
その日アッキー場の地下では、トーヨス達を称賛して皆が笑いジェルドレンを飲み交わし夜を明かした。
後日聞いた話では、地下の仲間と中継を見返していたトーヨスが、ジェルドレンのグラスを片手に鼻で笑い言ったという。
「あれが本当の粘土ロイドさ!」
その言の葉が強烈に響いたのか、誰から誰にかも判らないままにジャポメカ星の外部にまで漏れ伝えられて行く……
狙いとは裏腹に娘ユリコ刑の元にまで届いたその言の葉に当然の怒りをアッキー場に向けた。
それはある意味でAインコウへの信頼の証であり潜入の成功とも受け取れるが、娘ユリコ刑の指示するアッキー場への報復はそんな考えを一掃させた。
他星からのサブカルチャー人気に推され市場も盛り上がっていたアッキー場の製品に敢えて関税を拡大で、たちまちアッキー場の街に入り込む他星人の運営する外資の店の数々に更に外惑星からの団体客やツアー客。
その一方で、虚偽の風説や見えない暴力で地上げに追われていたジャポメカ星人。
入り込んだ他星人に更なる優遇制度を設けたトンキン星団の圧政により疲弊するジャポメカ星人。
スペースポリシーに押さえられたメディアに、アッキー場市場は盛り上がり儲かっているとばかり流れる情報操作に洗脳されトンキン星団を支持する若者が出始めると、娘ユリコ刑がジャポメカ星の統治に動く。
それまでアッキー場に寄り添っているかの如くに粘土に粘土を重ね面の顔を変え、人気サブカルチャーのキャラクターを模倣したりもするが、余りにも粘土が厚く話題にもならなかったがメディアで無理矢理に流した事もあった。
統治権譲渡の選択に、突如湧いて出てきた支持層は目先の利益に飛びつく者と洗脳された者に見えたが、それは関税と優遇制度で入り込んだハム星人達が殆どだった。
娘ユリコ刑の統治が始まるとスグに正体を表す。
その手始めに性差別の象徴としたアッキー場のサブカルチャーを利用し、何もかもをに紐付ける。
当然のように嫌気がさすが、嫌気は娘ユリコ刑では無くアッキー場に向けられる。
情報操作に長けたハム星人の暗躍にスペースポリシーの取り締まりがジャポメカ星人を追い込んで行く。
利益特需の共有を図り横タヌウキ星人とも融和を進め、ジャポメカ星に更なる道路舗装を拡幅しアッキー場の歩行者を追い払う為にハム星人は殺戮事件を請け負った。
危険を身近に受けアッキー場から人々が離れると更なる地上げ屋行為が横行する。アッキー場を踏み台にジャポメカ星の彼方此方で虚偽の風説や見えない暴力でハム星人達のコロニータウンを増やして行く。
気付けばジャポメカ星人の文化や行動の全てにケチを付け、生活にまで制限を設けて統治権の奪還を目指す事すらも許さず、その芽を根絶やしにする為、ハム星人の盗聴盗撮にジャポメカ星の富を流し贅の限りを許す。
ハム星人は近隣に入り込むと住民に虚偽の風説で近隣住民の中から犯罪者を創り出し、ジャポメカ星人自身に自警を促し地上げに加担させる。
隣組みシステムでジャポメカ星人がジャポメカ星人を監視し合い出すと、ハム星人は暇を取りジャポメカ星人から吸い上げた税を使い、富と贅沢に優雅な生活とジャポメカ星人をカモにハンティングを愉しんでいる。
それを許しているのはジャポメカ星人の弱さだった。卑怯を叩く者を馬鹿にする卑屈な自身への保身だと気付くのを恐れる弱さから溢れる愚痴の数々に、情報操作を織り込むハム星人達……
「娘ユリコ刑の右腕を本当の粘土ロイド等と馬鹿にしたアッキー場に集まる奴等のせいでジャポメカ星が……」
「Aインコウさんをモデルにエロイドを作ってたんだって……」
「エロイドなんてあんな星の恥を作ったトーヨスを突き出せば……」
自分達の推した責任を転嫁し始めたジャポメカ星人を嘲笑うハム星人や横タヌウキ星人への報酬にジャポメカ星の富を流す娘ユリコ刑の報復は、東タヌウキ星人ならではの改壊譲りのやり口だった……
粗方の実権を握り、ジャポメカ星人を追い出したアッキー場にそれなりの満足を示した娘ユリコ刑だが、統治下の星が廃れて行けば当然のように他の友好関係を結ぶ星からも反発を招く。
かといってアッキー場に自由を戻せばジャポメカ星人の反乱の火種になるかもしれない……
そんな芽摘みを考えた娘ユリコ刑は、統治の下にスペースポリシー最高司令官の息子である非具恥を置いた。
これによりアッキー場はスペースポリシーの監視下にある認識を植え付ける。
そして最初に手を付けたのが、取り締まりと称した一掃作戦だ。
まるで民の為とばかりに呼び込みや違法営業の店を一斉検挙にスペースポリシーの力をこれでもかと言う迄に見せ付けた。
しかし、検挙されたのはジャポメカ星人でもタヌウキ星人でも、勿論ハム星人でも無い優遇制度に入って来た外星人達だった。
そして非具恥は言った。
「この取り締まりで健全なまちになったアッキー場にまた賑わいが戻る事を期待しています」
と……
それは、新たにスペースポリシーにとって都合のいい防犯という名の下にジャポメカ星人から税を吸い上げる為の……
そして、スペースポリシーと娘ユリコ刑を絆ぐ関係をアピールする為の宣伝に非具恥の存在を誇示させるものだった。
それ故か、アッキー場にジャポメカ星人は戻らず、他星人の荒れた盛り場と化して行く。
……そして、現在に至る。
ここアッキー場の地下に集まる者達は娘ユリコ刑の悪鬼を最初から見ていただけに、洗脳されず真実に怯えて地下に潜っている。
いつかの反攻を待ち……




