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AAG★売る虎の巻



 Mウル賭場。ここはプロ市民が主権を勝ち取った星。


 元は闘獣を主に行う賭場だった。


 元々この星の少し変わった人型に近い風貌のMウル星人だが、何を食すでもなく生存期間が永く、外傷が無ければ所謂不死の種族だ。


 宇宙空間でも生きていられるように、目も口も耳も外皮に塞がれ当然排泄気管も持たないが故なのだろう。


 伝達はテレパシーかと思える単純な音程での感情伝達だ。


 しかし、永く生きているだけに知識も多い。

 大気のある星に降りると外皮を変形させ目鼻口等を開口させてその星の言語を瞬時に理解し操る事が出来る。


 ただ一つ、怪獣の言語だけは理解しようとはしない、頑なに。


 何故なら彼等の星の文化には闘獣の習わしがある。


 闘獣を育てるのには主従関係をハッキリさせる必要がある。


 まして言葉を使えばペットのように余計な感情移入をし兼ねない。


 気を抜けばヤラれる可能性だってある危険な関係に、緊張感を持って育てていたが故に。


 あくまでも一怪獣として育てていたからこそだ。






 それでもある時、怪獣に感情移入した者がいた。


 当然、知識に怪獣の言語が入ってしまった彼は、怪獣の不遇な立場に改善を求めた。


 何かと質問状を叩きつけて来る彼に周囲の皆は嫌気が差す。


 そこで一時的に怪獣と共に彼を、他の星に飛ばし、そこで彼の正気が戻るのを期待し待つ事にした。




 ソレをMウルQ時代と云う。




 慣れない星の生活に適応しようと金物を食べたりする怪獣も現れた。

 が、Mウル星人の彼は仲間を見つけ現地星の言語を操り助けようと試みるが、怪獣の全てが救われる訳ではない。


 そうこうするウチに、我慢の限界を迎えた怪獣達が暴れ出した。


 その状況に仕方なく、闘獣討伐にMウル星人を派遣する事になった。


 あの彼はもうスッカリ現地星人の思考に変わっていた。


 代わりに討伐へ向かったMウル星人を派遣法に基づき送り出す。






 Mウル星人派遣法−六ヶ条



壱 現地星人との接触は出来得る限り最小限にする為、通時は現地星人に似せ変形した姿でいる事。


弐 怪獣討伐は速やかに行ない現地星人に迷惑をかけぬよう現地星単位の三分程で済ませる事。


参 有事の際には腕の筋肉組織から放出される放射線の使用を許可する。


四 現地星人に似せ変形するのが苦手な者は現地星人に、一定期間取り憑く事を許可する。


五 怪獣とは口を聞かない。解放しない。しかし、現地星人に迷惑をかける事が無い旨を確認すればこれを許可する。


六 身バレしたら即刻帰星。





 この派遣法により数十年間も特定の田舎宇宙のとある星に怪獣とMウル星人を送り続けていたMウル星では……


 いつの間にか闘獣よりも


 Mウル星人 VS 怪獣


 これをテレパシーで映し出すモニターを開発していたMウル星人は、文明の発展に伴い遠隔惑星にもMウル賭場星として有名になっていた。





 そお、Mウル星ではMウルQ時代以降どちらが正しいかを争う事態となり

 彼の帰星後は怪獣を闘獣に育てるよりも、あの星に送った方が怪獣にとっても幸せなのだと育てる危険を避ける為に、勝手な論説を繰り返し……


 気付けばそんなプロ市民によってMウル星では闘獣禁止となり文化は途絶えていた。



 が、彼等プロ市民は既にMウル星人VS怪獣の賭場の主催者権限を有していた。






 最初からコレを狙っていたのだった。





 その後、盛り上がりに欠ける展開には派遣法をも覆し男女二人制にしたり兄弟を派遣したり


 時には家族連れでの大量派遣も一時的に許可して危険な怪獣を大量に送り込んだりもした。


 その結果、Mウル賭場は子供にも人気となり活気に溢れ、儲けに多様な施設も設けた。


 しかし、賭場には当然縄張り争いが絡んで来る。


 遠いビッグバン地点の向こう側の田舎宇宙の星の事だが、因縁のつけようは幾らでも……


 まさかの暴力団の出現に不死の星人が困惑する。


 暴力団が暴力では無く、契約の暴利に訴えて来たからだ。


 腕の放射線を使えば倒せるが、暴力に訴えては周辺惑星のお客さんが近寄らなくなる。


 仕方なく共同営業とするが、暴利に派遣されるMウル星人は八百長試合を持ちかけられる事もあり覇気は下がる一方に。




 そうして廃れていったMウル賭場。






 気付けば怪獣を置き去りに廃業を迎えていた。




 その生き残りが現地星で暴れているが、今更討伐に向かう若者は居ない。


 永く生きていられるMウル星人も知らんぷり。


 たまに正義感に討伐へ向かう者も現れるが、過去に派遣された者達の現地星人との仲間意識からの依頼が殆どだ。






 現地星では今尚も、その怪獣が出す放射線に街や家屋を破壊されてる事がある。


 時に、怪獣にくっ付いていた巨大昆虫の卵が孵化したりもするが、それは現地星人にとっては同じ怪獣として認知されている。


 神聖化されていたり子供の味方だったりと……





 一人のMウル星人の優しさによる感情移入と、暴利に目が眩みプロ市民と化したMウル星人の恰も論によって引き起こされた悲劇の歴史……



 古の賭場ミュージアムに今も尚飾られている。


 Mウル星人の言語と共に……



    【じゅわっ!】



 

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