AAF★★お遊戯会に御招待。
――KATIKATIKATI――
「朝から随分だな! 興奮して寝れなかったか?」
船の外部を整備するUサクに、PAソナの手下が出航手続きを済ませて認証コードと一緒に持って来た。
「ヴェスPA星最後の朝にこの星一番のモーニングを食わせてくれよ!」
「ふん、情けの旅費だとよ!」
手下が放るUC・Cカードを受け取りUサクが尋ねる。
「なあ、現在のナンバーワンは誰なんだ?」
「落ちぶれが気になるのか? 確かO鴨トとか云うタヌウキ星人のサイコ野郎だって噂だ。あんたも俺等を裏切ったら後ろからズドーンだぜ」
「後ろから、怖いねぇ!」
「気を付けるこったぜ!」
「じゃあ、昨日の女も?」
「は? 女?」
「いや、夢に見てたんだけどな」
「女まで世話しろってか? バカ言ってるとタヌウキ女にジャポメカ星みたいな規制されちまうぜ!」
「おお怖い」
用を済ませて消える手下が見えなくなると、Uサクが外装に隠した武器の可動部分を確認する。
操舵室に戻りポケットから取り出したPAソナのデスクから持ち出した何かのメモリディスクを見つめハッチを閉めて起動したBレイニーを出航に 宇宙港へと向かう。
――BURABURABURABURA――
船外モニターに映る大手を振るゴツい男の姿にボリュームをあげると聞こえてきた声にため息一つ。
「兄貴ぃいいい! 行ってらっしゃぁあい! 俺ぇ留守番しとくからぁあああ!」
「バカだね本当に……」
――PIIIWOO――
汽笛代わりに警告音を鳴らすUサクに嬉しそうに笑うブンタが大手を振って送り出していた。
拳銃の隠し場所を知っているのはUサクとブンタの二人だけ。
何を持って裏切ったのかと思案するも、あの馬鹿みたいな笑顔に凡その見当は付いていた。
――BURABURABURABURA――
宇宙港を出航してから暫くして手付金のUC・Cの中身を確認するUサク。
【七百万NO】
「おいおいおいおい、随分とピンハネしやがったなPAソナのクソ野郎が!」
と、操舵室のモニターに目を向け確認する。
「信頼関係が壊れたからあんたとは口も聞きたくないのよっと!」
突然船の電源を落とすと無重力の中、船内のアチコチに仕掛けられた盗撮監視カメラを取り外していくUサク。
本来なら鳴る筈の警告音も鳴らず緊急灯も消えている。
システムの設定から何から夜の内に弄り変更し整備に取り外す為の準備を施していた。
再起動と同時にスイッチ一つで船外活動には至らず外部に取り付けられていた監視カメラや追跡装置が外れて風船に囲われる。
途端にかかる光振動波通信を受け、手を振り応えるUサクが3Dモニターに映るPAソナの鼻に指を入れる素振りで話を聞く。
「早速か……」
「貴様、どういうつもりだ!」
「男に見られるのが好きじゃないもんでね!」
「まあいい、裏切ったらお前の相棒がどうなるか考えるんだな」
「お前こそピンハネしといて良くも言える!」
「ふん!」
通信が切れる。
と、急ぎ高速航行に切り替え発信させた。
恐らくは追跡装置を外される事は予想済み。ならば近くに追跡させる船を待機させている筈。
振り切る必要は無い、向こうが尻尾を出すように誘導するだけだ。
――KATUNNKAHHKANN――
見付けるまでは手配書の人物の捜索活動だ。
良く知る顔を撃つ為に……
例のメモリディスクをセットし中身を確認する。
と、PAソナのピンハネ記録が並ぶ。
スグに外して見つめるメモリディスクの隠し場所を探すUサク。
その時だった。
「はあい、どうもお!」
振り向くと昨日の女が船室に居た。
Uサクに手を振る女。
「お前、何で、ん、何処に隠れてた?」
「シャワールームだけど……」
ハッとしてシャワールームに向かうUサク。
調べると吸水機脇に配線されたデータ通信装置が可動している。
急ぎ外したUサクが頭を悩ます。
「何なのソレ?」
「あんたこそ何なんだ?」
危機と見て取れる状況に浸け込むように、女が思わせぶりな態度で図々しく提案する。
「あなたスペースポリシーと揉めてるんでしょう? 私をトジミン星に連れて行ってくれれば助けてあげられるんだけど、どう?」
「あゝそう、ちょっと黙っててくれ」
常識知らずのふざけた女に構っていられないと今の状況に思考を巡らすが、外した通信装置のタイプからヴェスPA星までは届かない。
そもそもコレは地上用で宇宙放射線対策処理された宇宙船に使うような素人まがいの間違えを、スペースポリシーがするとは思えない。
これはPAソナの仕業では無い。と、考えた方が良さそうに思えるが、この女が中継すれば何処にでも……
PAソナ達以外にも近距離で待機していれば受信出来る。スペースポリシーに敵意を持つ者達は多い。
先ずは女の身体検査が必要だ。
「あんた……」
「私リリィ、PAソナのバーで踊り子してたの、聞いたこと無い?」
まだ何も聞いていない内に自ら応え、Uサクの考えを先読みしたのか色気に服を脱いで行く。
誘うリリィのストリップショーに、見つめるUサクの視線が雄の目に変わっていく。
ムッチリとした胸が顕になると、誘惑に負ける処か襲うようにUサクが背後から胸を鷲掴みに耳元で低く押し殺した声を向ける。
「抱かれに来たのは何が目的だ? ん?」
リリィの怒りか剥れか反抗に、左手で首を押さえつけるとそのまま顎を掴み顔を自分に向けさせる。
「身体の中に仕組んでるかもしれないねえ、ほら、こことか、こんな所も……」
完全にただのエロ親父と化したUサクが暴走する中、何処かでデータの受信を知らせるライトが点滅していた。
――GIKOGIKOGIKOGIKO――
イヤイヤしながらも受け入れるリリィと生殖本能のままに雄の性を剥き出しに示したUサク。
二人は一本のジェルドレンを飲み交わしてソファに横たわり、女が口を開き出す。
「ねえ、トジミン星までイイでしょ」
「タクシーじゃないんだよ!」
「イイじゃない、ブラッシュRなら三SLEEP(時間の単位(凡そ百五十時間超。略称はSLE)で着くんだから」
Uサクの中でリリィに対する疑惑の答えを見つけたように思えた。
「あんた、この船の名前を何処で?」
「何処だってイイじゃない」
答える気は無いと知りリリィを背に眉を寄せ考えるが、誤魔化しの下手な者同士の詮索をやめるかの如くに、後ろから抱きついて来たリリィの顔に向くと、もう一回と夜を楽しみ出していた。
――GIKOGIKOGIKOGIKO――
まだ恒星の光に照らされ漆黒の闇は遠く、リリィの云うトンキン星団の前に寄るべき星がある。
いや、元々は行く予定には有ったが、手配書のターゲットが何処へ向かったかも解っていない中で先ずはスペースポリシーが何処まで追えていたのかを知る必要がある。
Uサクは馴染みがアジトにしているアンコ星へと向かっていたが危険を連れてく事に、リリィには物資調達と称して向かう事に考えを纏め、今や頭をエロに切り替え獣の雄になっている。
「お、イイねえ、正に雌豹のような身体じゃないのええ!」
「何ソレ、もう!」
「ごめんごめんごめん! それじゃ獣らしく後ろから失礼させて頂きます」
「まだするの?」
「いいじゃないの、まだ三SLEもあるんだから」
「……そっか、じゃオッケー!」
――GIKOGIKOGIKOGIKO――




