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AAD★★★八本足の星のツボ。


「ピートが?」

「何よ、あんまり驚かないじゃない?」



 ハム星人を問い詰めピートの元に向かうハナの話にワナカが納得の表情を浮かべていた事に疑念を持つハナ。



「いや、ここに入る直前MJからもしもの可能性に聞かされてた通りだったもんだからついな……」

「さすがMJね、けど見付けたらどうするって?」



 後ろでヤシを見て話すか伺うワナカに、ハナが気取りハッとする。それを見てワナカが嫌な質問を当てる。



「ハナ、出来るか?」


「……裏切った報いは受けさせないと、ヤラせて!」



 二人のやり取りを後ろから見ていたヤシがヤジめいた軽口を挟む。



「別に俺がスライスにしてもいいんだぞ?」



「私の体を傷物にした罰を……!」

「分かった、それは任せる!」









――PIBO!――


 ノウミの森の司令塔になっている昔の研究棟に通信が入る。



「コチラ、ストカー隊追跡班、ワタリが暴レテ、シンセ界隈に向ケテ逃亡中!」



 追跡班の通信にキレるストカー。



「早ク殺セヨ! 使エネエなア!」



 監視カメラに映るワナカ達とMJの姿をハム星人のストカーと共に見ているピートがため息を漏らすと、ストカーが鼻で嘲笑い話しかける。



「ドウシタ? 気心知レた仲間の姿にオセンチにナッタかな? ピートちゃん?」



 煙たそうにストカーを横目にカメラに映るMJの場所を確認するピート。位置からサンタワー方向と判り考える。



「ストカー、ここにあんたの部隊はどれ位残ってる?」



「俺様が居レばアンなクズ十分ダロ!?」

「そうか、なら俺は此処で見とくよ」


「ふん、手下もろとも皆殺しにしちまえば良いものを!」



 武器を取り部屋を後にするストカー。

 そのドアが閉まるとピートが嘲笑っていた。


 立ち上がるピート。



「さてと、此処も潮時か……」



「ア、何を……ウワッ」

――PASHU!――


「オイ、テメー」

――PASHU!――

「グハッ」

――PASHU!――

――PASHU!――

――PASHU!――

――PASHU!――

――PASHU!――








 サンタワーまで来てMJが配線を弄ろうと天井にハナサキを引っ張り上げる。

 必要な配線を探してMJがコードを引っ張り出しては確認してハナサキに切らせるコードを渡したその時だった。


――BAHYUUUUNN――

――BONBONBONBONN――


 全電源が落ち、サンタワーが非常電源に切り替わる。



「MJあんた何やってんの?」

「俺じゃねえ!」




――JAJAJAAAHH――

「MJ、お前か?」



 ワナカからの通信に思考を巡らすMJが、この作戦のチームに危機が迫っている事に気付き焦り通信を返す。



「逃げろ! タラバは白だ、ストカーが来るぞ!」


「え、何言ってんだよ……なら、誰が? ああ、もういいや、こっちは研究員と一緒に逃げるからな!」

――JAJAAAHH――


「お前もだ、ハナサキ! 行ってワタリに伝えろ!」


「え、でもサンタワーは?」

「何とかする、合図を頼む!」

「解った」


――KASAKASAKASA――



「さてと、ストカーが来る迄こっちなら五TEAって処か? ピート、見てんだろ?」



 カメラに向かい話しかけるMJ。サンタワーの上に向かうとジェスチャーすると足を挙げカメラに背を向け走り出した。


――KASAKASAKASA――






 ワナカ達はヤシのハサミを使い研究者を解放して行く。

 カメラに墨を吐き、ハム星人や横タヌウキ星人を墨を目眩ましに攻撃を駆使する。

 その内の横タヌウキ星人を問い質すワナカ。



「おい、PAソナは何処だ?」


「PAソナ? 彼はここを制圧してからスグに鬼ON星の視察だとかで、ここに居るのは研究員と技術泥棒と情報操作のハム星人だけだ」


「ワナカもういいじゃない!」

「ああ、ヤラれた。すっかり騙されてたみたいだ……」


――GIGIGIRI――

「おい、ココならヤれそうだぞ」

「頼む」


――BOGAAAHHNN――


 またも外壁を破壊したヤシの怪力。

 穴から逃げ出すワナカとハナとヤシ。






 一足遅く間に合わず、ハチク星人研究者の逃亡を許し外壁の破壊痕にワナカ達も逃げた事と理解したストカーが悔しそうに立ち尽くす。



「クソっ! 逃ゲラレタカ、待テヨ……何デ気付イタ? クソっ! ピートか」



 自分の存在に気付かなければ逃げる事は無い。

 ピートの裏切りと理解し嵌められた事に怒りを湧かせ急ぎ戻るストカー。





「よお! MJ準備は整ったか?」

「ああ、お陰で手間が省けたよ」



 サンタワーの中心部に在るコントロール・ルームでピートと再会したMJだが、腹の探り合いに互いに間を空けての会話に緊張の糸が張っている。



「ピート、騙すにしても何故ここまで?」


「ふ、解ってるんだろ? 力さ!」

――JAJA――

「力ねえ、持ってどうする? 所詮俺等は八本足だぞ!」


「それだよ、足が多いってだけで悪者扱いだぞ!」



 視線の先で興奮し始めたピートが自分語りに曝け出す本音に、同情も出来るMJ。

 合図の通信には気付いてはいるが……



「四本しかない癖に威張り散らして、挙げ句の果てに四輪車だ! 折角俺がくれてやったホバーバイクの技術を奴等どうしたと思う? バギーだぜ! ワザワザ四輪付けて飛べなくしたんだ。解るか? 俺にはサッパリ解らねえよ! 俺は飛び出したいんだよ! このクソみてえなハムやタヌウキをぶっ殺す為に力をつけて、スペースポリシー使って殲滅してやるんだよ! なあ、お前だって解るだろ? こんなクソみてえな奴等にいつまでもいいようにされてたまるかよ!」



「だったら何で花魁館に偽の蜘蛛の子を散らすような真似をしたんだ!」



 MJの指摘に、怒りからため息一つに嘲笑うピート。



「そりゃ、アカシの技術情報さ! 女郎の奴、俺を研究関係から遠ざけやがって……上に行くのにハム星人に取り付く為には研究技術の提供が条件だったんだよ」


「結局ハム星人の取り巻きじゃねえか……お前何処まで?」


「ハハッ大丈夫、ルナGの件は秘密さ! アレを言ったら俺が研究対象にされちまうからな」



 一先ずは予想通りで安堵するが隙は見せない、肝心な質問に入るMJ。



「で、タラバは何処だ?」


「何だ、もう俺には興味が無いのか? どいつもこいつも皆そうだ! タラバの野郎も俺の顔見てもうんともすんとも。だから、アイツは天閣の天辺に缶詰にしてやったよ!」


「お前……何て事を」


「ヘッ! とうした、撃てよ! このサンタワーのPZL−230を使って天閣と挟んでトンボリ道を毒光線で浄化しようってんだろ? さすがに毒耐性があっても放射口で直に浴びたらどうなるか……ハハっ笑える」


「腐ったな、その眼、奴等と同じだぜ」


「ふざけんな! あんな薄汚えクズ共と一緒にすんな!」

――JAJA――

「タラバは天閣の天辺に居る」




 ピートが嘲笑って通信のやり取りに口を挟む。



「いいのか、そろそろストカーがここに来るぜ!」

「そうなればお前も終わりだろ!」


「ああ?」


「ワナカ達は逃げたぜ!」

「まさか? ヤシか……」




――JAJA――

「MJいつでもオーケーだぜ」


――JAJA――

「タラバか? 何で?」


――JAJA――

「ワタリさ! 逃げてる内に偶然見つけてくれやがって、こいつ死ぬ気だったんじゃねえか? 放射口から狙撃しようとしてたらしいぜ」


――JAJA――

「了解、こっちも準備は整ったスグにソコを離れてアンタレスと合流しろ!」


――JAJAJAAAHH――



 呆然とするピートを尻目にPZL−230を使う為の操作を続け始めたMJに、呟くように問うピート。



「いつからだ? いつから俺を疑っていた?」


「俺じゃない女郎だ!」


「そんな、じゃあ女郎は知ってて俺を遠ざけたのか……」


「さあな、まぁ今頃お前の散らした子供達は監禁されて忠誠の確認中じゃねえか」



 PZL−230の準備を完了させたMJが放射と脱出の準備を始めた。



「じゃあなピート!」



 出て行くMJが足を止めるのを不穏に見るピート。




 出入口を塞ぐようにハム星人の男が寄り掛かっている。

 こちらに歩みを進める見覚えのある姿、ストカーだ。



「オットット、モウオ帰リカナ?」

「ストカー、クソっ!」


「ハッ笑える」



 武器を手に取り舌舐めずりで悪者振るストカー、何の武器かは視ても判らないがピートが下を示す。

 ストカーの構えに飛び上がり糸を吐き出すMJとピート。


――PASHU!――

――PASHU!――


 避けるストカー。



「オットット、良ク交ワシタナ。ピート君、君ノ事ハ最初カラ怪シイと思ッテ災妻ニモ行動監視ヲ言付ケテオイタカラね」


「だろうと思ったよ、クソっ! まぁいいお前を倒して成り上がってやるさ! それまでは手え組んでやるぜMJ」

「なら、後ろのコシオリの相手は任せていいか?」


――KATIINN!――


 振り返るピートに襲いかかるコシオリのハサミが目元をかするも、避けたピートがMJにキレる。



「危ねえだろ! 早く言え!」

「お前の話が長いから……おぉっ!」



 ストカーの繰り出す武器に咄嗟の判断で避けるのに精一杯のMJ、ただただ避ける事に専念する他になく、謂わばストカーの違法兵器の祭典状態に糸を飛ばして空中回避の連続。


――PASHU!――

――BIBIBI!――


 一方のピートは元仲間同士で裏切り者同士に同情の余地も無い。

 お互いの事は知った仲で繰り出す手は、出せば交わされ止めれば出されの繰り返しに体力勝負の体を成して来る。


――PASHU!――

――KATIINN!――




「しまっ」


――BIBIBI!――

――PASHU!――


 糸に捉えたストカーの左腕も左足の武器で撃って来る。

 それを避けて糸を放つMJ。


――KATIINN!――


 もうすぐストカーの逃げ場を全て塞げると思ったMJの狙いを打ち砕くコシオリのハサミの一撃が、あと一歩の処で張った罠の糸を拭い去る。



「あ、失礼」

「ピート! お前ワザとじゃねえだろうな!」



「そんな訳ないだろ! ま、コレであいこだ!」

――BIBIII!――

――PASHU!――

「お前やっぱり! 」

――KATIINN!――

「無駄口叩いて、余裕見せてんじゃねえかスパイダーボーイ!」

――KATIINN!――

――KATIINN!――





――BIBIII!――

「ぅがっ!」

――PASHU!――


 疲労の色が濃くなるMJにストカーの違法電波兵器がかする。

 も、糸を撃ち返すMJがかすった傷口に足を充てると、そのスグ脇に堅い異物感に思い出した。



「どうした? とうとう当たったぞ」

「なら次の当たりはコッチだろ!」



――PASHU!――

「手は貸さねえぞ!」

――PASHU!――

「貸せないの間違いだろ、力も無え貧乏人が!」

――KATIINN!――

「俺の店で働くか? スパイダーボーイ」

――PASHU!――

「お断りだぜ、泡吹き野郎!」



 ストカーが新たな武器を手に取る。

 MJも右の三番目の足を脇に据えた。


――KATIINN!――


 コシオリのハサミの音に、一斉に手を出した。


――PIIIIIII――

――BARIRIRI――




「な、何だ? お、俺のハサミが……」

――BATAMU――


 言葉無く倒れるストカーとピート……



「な、何してんだピート!」

「おいおい、助けてやって何してんだは無えだろうよ」



 ピートはストカーが持った電波銃に見覚えがあった。MJに伝える余裕も無く思わず放射線上に飛び出していた。

 MJの放ったレーザー銃はストカーをかすめてコシオリのハサミを破壊していた。



 で、ピートを抱きかかえ、見れば倒れたと思っていたストカーは服を残し本体は無い。正に蛻の殻だった。ピートが散らばる武器の様子に理解する。



「ああ、コイツが最後の武器だったようだな……」

「何処に行ったか判るか?」


「ああ、多分万棒の」

「MACベイ戦艦か?」

「急げ、コシオリがルナGの話をストカーに」


「誰からソレを?」

「ヤシだ、コシオリはヤシの兄弟分だ」


「ああ、俺のブラザーさ! 今頃ワナカもハナもスライスされてるだろうぜ!」

――PIIIIIII――

「ぅァアアア、足がぁ、俺の足がぁぁぁあ!」



 レーザーでコシオリの足を全て焼き落としたMJが、ピートにPZL−230を頼みワナカ達の救出に向かう。



「MJ、コレは貸しだぜ! あの世で返せよな!」



 立ち止まり振り向くと首を傾げて嫌味に応える。



「あ、作戦が片付いたらハナが迎えに来るから、殺される為に生きて待ってるこったな!」







 サンタワーを後にし、MJは急ぎアンタレスに通信を送る。


――JAJAJAAAHH――

 ……

――JAJAJAAAHH――

「クソっ、あの時か」



 壊れた通信機に走り出しホバーボートに着くと、サンタワーから光線が放射された。


――KAAAAAAAAAAHH!!――


 周囲を紫の光が覆う。慌ててスキンケアを起動するMJ、明るくなった森をホバーボートでワナカ達を追う。


――SHUFOOOOOHH――


 

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