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AAB★★★ナンパはレース前に……


――KATHKATHKATH――


 グリーン隊の指揮官が慌てて()ユリコ(ケイ)のVIPルームへと走り込む。



「失礼します」


「どうしたの?」

「それが、例の件にあの浮浪が……何だお前?」



「お久しぶりです」



 グリーン隊の背後から姿を見せる男に、マジックミラー状の硝子床の上でラウンジの客を見下(みくだ)しながらグラスのジェルドレンを飲んでいた娘ユリコ刑が不服そうに目を細める。



「あら、久しぶりじゃない(オト)デッケー、ジャポメカ星のトーヨス博士の件で私に泥を投げて出て行った後、災妻(ワザツマ)の配下に入ったって聞いてたけど、今更何?」



 娘ユリコ刑は元々音デッケーが横タヌウキ星人だと知らずに自身の右腕にしていたが裏切られ、その後釜に入ったのがAインコウだった。



「貴女の右腕、いや、元右腕から過去の無礼に土産話を持って来まして……あなたの今の右腕の件でしてね」


「Aインコウまで裏切るとでも?」



 ほくそ笑む音デッケーの顔に、客からは想像もつかない悪人面で睨み付ける娘ユリコ刑の耳元に囁き伝えると、目を見開き怒りを顕にしていた。

 開いた目の回りがヒビ割れ、グラスのジェルドレンに指を浸しヒビを補正しながら指揮官を呼びつける。



「グリーン隊、Aインコウが男と居るか確認して! 居たらレース中にそいつと一緒に消して構わないから……」


「了解です」






 UC・Cや賭場のイカサマを司るシステムの監視を担う管理セクションの責任者の元に、重要案件に関するデータの動きを知らせる警告が入り確認に動いていた。



――NOIN――


「え、ちょ、ボスに報告しろ!」



――KONKONN――


「ボス、例の男の(かせ)が外れました」



 UGロウの借金返済が伝わると改壊(カイカイ)が企み顔に変わる。

 暫くの後、何処かへの光振動波通信に(かしこ)まる。



「手詰まりだ、トジミン星の土地も民の権利もやるからアンタの組織と兵器で俺の儲けと権利を守ってくれ!」

「イイアルカボン?」


「やってくれるか!」



 ニンマリと笑う三次元の顔。


 UGロウに横タヌウキ星人の新G老(シンジーロウ)をブツケてロウ対決と銘打ち、再度借金を背負わせるようにすれば良いと進言された改壊。



「ぉぃ」



 モゴモゴと配下を呼び寄せ新G老を勝たせる為に、娘である娘ユリコ刑の出場レースを変更するように伝え安堵の顔を見せる改壊。









――POYUUUUUUHH――


 その新G老はスタッフに何かを伝えると、ニヤついた顔で女とシューターに乗っていた。



「これが私の船だ。君は先ず船上でカメラに向かって私を褒めろ! 褒め千切れ!」


「……何の為に?」

「これは政治の駆け引きと云うモノさ!」



 ただの欺瞞と自慢を拗らせた馬鹿なお坊ちゃまの遊説に、阿呆らしさを感じながらも勘繰り考えていた作戦の為にと今は馬鹿の右腕で踊りに付き合う覚悟を決めて、Aインコウはカメラに顔を向け固まっていた。








――KATYAKATYA――


 船の中で一人メンテナンスをしていたUGロウが、レース前のパドック解説モニターに写ったAインコウに気付く。

 隣の新G老を苛つかせ、変なポーズで何を言っているのかと音量を上げる。



「・お・も・い・き・り・」

「……が、良いと」


「・お・も・い・こ・み・」

「ん?」


「・お・か・ね・も・ち・」

「君はポンコツか? 下手糞が! 誉め言葉も知らないとはな……」



 リポーターが娘ユリコ刑の右腕Aインコウと気付き尋ねようとする。



「あの、そちらは確か……」


「私は五百NOで買われた女です」

「黙れ女! コッチへ来い」



――PUPHOOO――


 馬鹿女を連れ込んだと知れたら拙いとでも考えたのか、新G老が逃げるようにゲートから船の中に消えるまでをモニターは捕らえていたが、MCに切り替わる。



「あいつ、何がしたいんだ……」



 理解しきれない言動に右腕の能力値にも疑念を持ったUGロウは、モニターを消しハイな音楽をかけ作業に戻った。







――同時刻――


 娘ユリコ刑がVIPルームの特別装置で賭場衛星の主催者権限からハッキングシステムを開き、登録レースのルールを障害レースに変更していた。


 ふと、聞き覚えのあるAインコウの声に、モニターを見て顔を引き攣らせる。

 グリーン隊の指揮官を呼び付け、頬に手をやり粘土剥がしのジェスチャーで処刑を指示し、殺意を顕に嘲笑って船へと急いだ。


 そのハッキングシステムにより改壊配下の行っていた娘ユリコ刑出場レース変更届は弾かれていたが、知る由もなく……


 改壊は部屋で独りジェルドレンを飲み、モニターの新G老に期待を寄せていた。








――レース開始三十TE(ティー)前――

(時間の単位:地球の時EA(イート)TE(ティー)TA(タップ)





 新G老のメカニックが改壊の指示で来た主催者スタッフに連れられ、おもてなしを受けていた。


 それと入れ替わるように船を弄り始めた主催者メカニックが、船の電波受台装置を操作しボートの帆以外の船体部分も電波受台出来るアルカボンに換装して行く。



 そうとは知らずにグリーン隊がやって来た。


――PABONN――


 電磁波銃でメカニックを撃ち消し焦がす。



「な、グリーン隊が何で」

――PABONN――


「おい、何を」

――PABONN――


「お前等、俺達は改壊様の」

――PABONN――


「馬鹿な、我々はスペースポリ」

――PABONN――



 倒した主催者メカニックを宇宙空間にゴミとして放り出す為に、ジェルドレンを散布して軟体化させグリーンボックスに放り入れた。



「時間が無い、作業にかかれ!」



 換装途中だった船尾の未着部分に手を入れ、グリーン隊が違法銅線コイルと爆弾を設置していた。

 名ばかりの環境家の船には、違法ガス噴射装置を搭載しているとも知らずに……







――KANKANKANN――



「ふふん、今日は念入りだな。君がした風評被害に我が前向きなメカニックは奮起したようだ」


「・お・お・せ・の・ま・ま・に・」

「まあいい、安物買いの銭失いにならずに済んで良かったと私に証明して貰おうか」



――DOGONN!――


 服を脱ぎAインコウに迫る新G老が、衝撃につんのめりAインコウの胸に顔から突っ込む。


――BOMMO!!――


「あ、」

「ぶもっ!?」



 潰れた胸の粘土の谷間に埋もれる新G老の顔から窒息しそうな悲鳴が洩れる。

 仕方無く引っ剥がしたAインコウに、視線を胸に向ける新G老が手を突っ込み胸の粘土を引っ剥がすと雄叫びをあげた。



「粘土ロイド……UGロウォォォォ!」



 何かに気付き怒りを顕にした新G老がメンテナンス中(破壊工作中)の船を発進させようと起動する。



「何だ! まだレースには……」


「おい、何が起こった?」

「まだ配線が……」


「早く降りないと」

「あ、出航してます」

「嘘、お前等、スキンケア!」



 スキンケア(所謂、宇宙線防護服)を慌てて起動するグリーン隊が船尾からキャビンに上がり固定具にしがみつくと同時に、新G老の宇宙船が待機デッキ内で勢いよく発進し始めた。



――WOOOOOOOHH――


 

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