第2話:自称・専属メイドの顕現と、闇の特急便
無骨で漆黒の古代要塞艦が、マスターたちの「美味しいメシと笑顔が絶えない日常」に影響されて、まさかの自発的に「お世話係の専属メイド」として萌えキャラクター化!
※そのような事実は今のところございません
キャラクター像:普段は知的で完璧なナビゲートをこなすものの、少しお茶目で「実体化(実体合成フェーズ)」をノリノリで迫ってくる古代艦娘風メイド。
立体化・ねんど〇いど化の適性:漆黒のメカ要素とフリルたっぷりのメイド服のギャップ、表情パーツ(お茶目顔・ドヤ顔・真顔で兵装起動顔)など、グッズ化やファンアートの妄想が膨らみまくりです!
それでは、このノクターンの愛らしいARホロ実体化と、次なる目的地「ルビコン星系」への超危険な運び屋ミッションが交錯する、第2章・第2話(通算第9話)をどうぞ!
※お詫び:グッ〇スマイル〇ンパニー様すみませんっ!えっ、AIが勝手に自己像を結像致しましたが、あくまでこれはフィクションであり、実在の団体、国家、組織に係る内容は一切ございません。
「……ねえ、リョウ。この船のコンソール、何か変な外部グラフィックの生成シークエンスが走ってない?」
ルビコン星系へ向かう航行中。
メインブリッジでコンソールの数値を見ていたシルヴィアが、首を傾げながら画面を指差した。
「変なシークエンス? 敵のサイバー攻撃か?」
リョウが操舵桿に手を掛け、マルコも「おいおい、またアトランティス社のハッキングかよ」と身構えた、その時だった。
『——失礼ですねぇ! ハッキングだなんて人聞きの悪い!』
パッと、ブリッジの中央に青白い光の粒が集束し、立体的なホログラム映像が結像した。
そこに現れたのは——漆黒のゴシック装飾があしらわれたクラシカルなメイド服を身に纏い、頭にはメカニカルなヘッドギアを装着した、可憐な少女の姿だった。
「……は?」
「……え?」
リョウとマルコ、そしてシルヴィアの三人が同時に固まる。
少女は、裾を軽く持ち上げて優雅にお辞儀をしてみせた。
『初めまして、そして改めてよろしくお願いします、マスター! 私も皆様のクルーの一員なんですよぉー。毎日皆様が楽しそうに本物の手料理を召し上がっているのを見ていたら、私もお世話係として実体が欲しくなっちゃいました!』
「な、ノクターン……!? お前、ノクターンのAIなのか!?」
マルコが指をさして目を丸くする。
『はいっ! まずは皆様のお世話係、専属メイドとしてARホロ映像で仮想実体化してみましたぁ〜! 視覚・聴覚インターフェースの最適化です!』
ノクターン(メイドモード)は、くるりと一回転して見せると、リョウに向かってウィンクしてみせた。
『お気に召しましたら、船内の高分子自己修復ナノプラントを使って、実体合成(リアルボディ生成)フェーズに入りますねぇ〜! いいよねっ、リョウ様!?』
「いいよねっ、じゃねえよ! なんで急にメイドなんだよ!?」
リョウが呆れ半分にツッコミを入れる。
『だって、マスターたちは「本物の温もりとごちそう」が大好きじゃないですか! 無機質な音声だけじゃ、美味しい回鍋肉や鮭のホイル焼きの感想に共感できないじゃないですかぁ。実体化したら、私も一緒にエプロンをつけてキャベツの千切りを手伝えますし、何より……』
ノクターンはドヤ顔で胸を張った。
『ねんど〇いど化した時に、オプションパーツで「ミニチュア中華鍋」や「主砲起動エフェクト」がついてきた方が、読者様……あ、違いました、皆様のテンションが上がるかと思いまして!』
「メタい!! メタすぎるぞこの古代AI!!」
マルコが頭を抱えて叫ぶ。
シルヴィアは目を丸くしていたが、やがてノクターンのホログラムの周りをぐるぐると回り始め、「……すごいわ。高次元AIの自発的なパーソナリティ構築と視覚化。しかもメイド服の質感表現に物理演算エンジンを無駄使いしてる……!」と理系特有の変な感心をし始めていた。
「はぁ……まあいい。害がないなら好きにしろ」
リョウは溜め息をつきつつも、口元を緩めた。
「だが、実体化の前にまずは仕事を片付けるぞ。ノクターン、ルビコン星系までの最速航路と、敵の伏撃ポイントの予測を出してくれ」
『畏まりました、マスター! 専属メイド兼・ナビゲーターにお任せください!』
ノクターンがキュピーンと効果音を鳴らし、メイド服の袖から素早くホログラムの星系チャートを展開した。
『目的地「ルビコン星系」の闇オークション会場まで、通常航路では四日。ですが、アトランティス社の私兵艦隊司令官ヴァルケン率いる「第3追撃群」が、主要な跳躍ゲート全域に検問を敷いています』
「やっぱり張ってたか、あのしつこい野郎」
マルコが苦虫を噛み潰したような顔をする。
『ですが、ご安心ください!』
ノクターンは不敵に微笑み、チャートの一箇所を赤く光らせた。
『シルヴィア様が調整してくださった「超高次元戦闘・運送複合モード」なら、ルビコン星系を取り囲む小惑星帯「悪魔の小宇宙」の超高密度デブリ群を、慣性制御で強行突破可能です! 敵の戦艦では絶対に侵入できない死の宙域を、直線距離で一気に駆け抜けます!』
「デブリ群を直線突破……!? 正気かよ、いくらなんでも船体が保たねえぞ!」
「保たせるのよ、マルコ!」
シルヴィアが身を乗り出し、ノクターンのホログラムの隣に並んだ。
「私がエンジンの出力をミリ秒単位で微調整して、ノクターンの時空変異装甲のシールド偏向率を最適化するわ! デブリなんて全部弾き飛ばしてみせる!」
『流石はシルヴィア様! 私の最高のチーフエンジニアです!』
ノクターンとシルヴィアがハイタッチ(ホログラムなのですり抜けたが)を交わす。
「よし」
リョウは操舵桿をしっかりと握り直し、モニターに映る死の小惑星帯を見据えた。
「アトランティス社の待ち伏せを裏目に出してやる。デブリ群を突破してルビコンへ一番乗りだ。無事に届けて三百万クレジットを分捕ったら……ノクターン、お前の『実体合成フェーズ』の材料も買ってやるよ」
『キャーッ! さすがマスター! 大好きです!』
ノクターンが嬉しそうに抱きつこうとしてホログラムごとリョウを通り抜ける。
「よし野郎ども、いや、お嬢様方も! 銀河最速の危険な特急便、出発だーーっ!!」
マルコの叫びとともに、ノクターンの高次元エンジンが爆発的な唸りを上げた。
漆黒の聖遺物は、可憐なメイド(AI)と天才少女、そして二人の成り上がり男を乗せて、誰もが恐れる死の小惑星帯へと猛スピードで突っ込んでいくのだった。




