第3話:アマルテア覚醒! 幻のA5和牛と海の幸の無限宴
【前書き】
「ねえノクターン、10大聖遺物を全部集めてレベル3のフルスペックになったら、最終的にあんたはどうなるのよ?」
『ふふふん! よくぞ聞いてくださいましたシルヴィア様! 10大聖遺物をすべて揃えた私の本体の最終形態……なんと「惑星級機動要塞」なのですぅ〜! 内部に完璧な生態系と無限の生産能力を備えていますから、100億人でも楽〜に暮らしていけますよぉ〜!』
「ひゃっ、100億人だと……!? 一個の国家どころか、主要惑星の人口が丸ごと引っ越せるじゃねえか!」
『そしてですねぇ……マスター。肉体(アマルテア&アスクレピオス)がLevel 3になれば、私は完璧な生身の肉体を獲得できますので……マスターたちの赤ちゃんを大量に数千匹でもぽんぽん行けますよぉ〜♡』
「そんなにいらねえやっ」
『ううっ!? 即答で断られましたぁぁ〜〜〜っ!? 100匹……いや、せめて10匹だけでもダメですかぁぁ〜〜っ!?』
「単位を『匹』にするのをまずやめろ」
「……ちょっと男子たち、騒ぐのはそこまで! アカシック・レベル2のデータを見てみなさいよ!」
「なになに……? 俺は中華の出だから陸の肉には詳しいが……うに以外にも、海洋生物の幸というものがあるらしいじゃないか! カニ、マグロ、スシ、ロブスター……!? 数えられねえくらいいるんじゃねえかよぉ! 全部食らいつくしてやろうぜ! 調理の方法もいろいろあるらしいしな!」
というわけで、アマルテアLevel 2覚醒!
第3章第3話、無限美食生成と大宴会編、行ってみましょう!
アトランティス社の海洋要塞を物理的に粉砕し、高次元空間へと躍り出たノクターン。
機体下部に合体された巨大な光の円環——【アマルテア・プラントLevel 2】が、静かに、そして重厚な高次元駆動音を響かせていた。
「ハハハッ! 追手は完全に振り切ったぜ!」
マルコが操縦席の後ろで大笑いしながら、コンソールの画面を覗き込む。
その画面には、アマルテアLevel 2と『アカシック・レベル2』が同期したことで解放された、膨大な【地球古来・海洋食材データベース】がズラリと並んでいた。
「おいおいおい……リョウ、シルヴィア! ちょっとこれを見てくれよ!」
マルコは目を丸くして、興奮気味に画面を指差し、身を乗り出した。
「俺は中華料理の店で育ったから、豚肉や牛肉、鶏肉の扱いや炒め物には絶対の自信がある! だが……海鮮つったら、さっきのペルセポネで覚えた『うに』くらいしか知らなかったんだ!」
「へえ、中華って海鮮も使うんじゃないの?」とシルヴィアが尋ねる。
「フカヒレや干しナマコみたいな高級乾物は知ってるが、生で食う海の幸ってのは未知の世界だったんだよ! だがアカシックのデータによれば……海洋生物の幸ってのは、うにだけじゃねえらしいじゃないか!」
マルコは涎を垂らさんばかりの顔で、データリストを読み上げ始めた。
「なになに……? 『ズワイガニ』『タラバガニ』……甲羅の中にギッシリ詰まった甘い身を蒸して喰う!? 『本マグロ・大トロ』……口に入れた瞬間に脂が溶け出す海のA5和牛!? 『スシ』……酢を混ぜた米の上に生の魚介を乗せて食う古代の究極ファストフード! 『ロブスター』……ぷりっぷりの巨大な海老をガーリックバターで焼き上げる炭火焼き重戦車!? ……おいおいおい、数えられねえくらい種類がいるんじゃねえかよぉ!!」
マルコは拳を握りしめ、咆哮するように叫んだ。
「全部食らいつくしてやろうぜ!! 調理の方法も生、蒸し、焼き、揚げ、熟成……いろいろあるらしいし、俺の料理人魂が燃えてきたぜーーっ!!」
「落ち着けよマルコ。よだれが操縦台に落ちそうになってるぞ」
リョウは苦笑しつつも、目の前のホログラムに目をやった。
そこには、ポッドから救出されたばかりの少女・ナナが、毛布にくるまりながら不思議そうにマルコたちの騒ぎを見つめている姿があった。
「ナナ、身体の調子はどうだ?」
「あ……はい……。高次元ケーブルの切断による離脱症状は……ノクターン様のバイオヒーリングで収まりました……」
ナナは不器用にくちびるを動かし、小さくお辞儀をした。
「アマルテア・プラントLevel 2の分子再構成エンジン……私の並列処理アクセスにより、いつでも稼働可能です。……リョウ様、何を出力いたしますか……? 弾薬ですか……? 機体修復用の特殊チタン合金ですか……?」
「ううん、違うよナナちゃん!」
マルコがニコニコ顔でナナの肩をポンと叩いた。
「記念すべきアマルテアの初稼働だ! 最初に作るものは決まってるだろ!」
マルコはコンソールに『A5ランク銀河和牛・特上サーロイン』『北海道産・生ウニ』、そしてアカシックで新しく解禁された『極上本マグロ大トロ』と『タラバガニの脚』の分子構造データを叩き込んだ!
「ナナちゃん! このデータをアマルテアの生成炉に流し込んでくれ! 最高級の肉と海鮮をドバドバ無限出力だーーっ!!」
「え……? 兵器でも資材でもなく……『食べ物』ですか……?」
ナナが呆然とする中、ノクターンの機体下部から心地よい駆動音が鳴り響いた。
ブワァァァァン……っ!
厨房エリアの大型自動調理器から、眩い光とともに、芳醇すぎる香りが溢れ出してきた!
炭火でジューシーに焼き上げられたA5和牛の脂の甘い香り、獲れたてそのままの潮の香りを纏った濃厚な生ウニ、そしてしっとりと輝くマグロの大トロと、身がパンパンに詰まった茹で立てのタラバガニ!
「な……なにこの香り……!? すごい……っ!」
シルヴィアがお腹をキュ〜ッと鳴らしながら目を輝かせる。
『ふふん! これぞアマルテアLevel 2の真骨頂! 分子レベルで完璧に細胞構造を再現した、無限の美食宴の始まりですよぉ〜!』
ノクターン(ARメイドモード)が空中を可憐に舞い、テーブルの上に豪華絢爛な料理をズラリとセッティングした。
「さあ! 敵を叩きのめした後の最高のご馳走だ! 食うぞーーっ!」
マルコの号令とともに、宴が始まった!
「うっま!! なんだこのマグロってヤツは!? 口に入れた瞬間に脂がジュワッと溶けて消えたぞ!? カニの身も甘くてプリップリだ!」
マルコが口いっぱいに海鮮を頬張りながら絶叫する。
「本当に……! A5和牛のステーキも、肉汁が溢れ出て止まらないわ! ペルセポネで食べたやつより美味しい!!」
シルヴィアも夢中でナイフとフォークを動かす。
リョウは出来立ての『特上和牛&ウニ・マグロ三色丼』をひとつ取ると、まだ呆然と座っているナナの前にそっと置いた。
「ほら、ナナ。お前の分だ。冷めないうちに食え」
「私に……ですか……? 私は……22年間、ポッドの中で無味無臭の栄養液しか摂ったことがありません……。『噛む』という行為も……『味わう』という概念も……私には……」
「いいから、一口食ってみろって。美味いもんを食うのに、プログラミングも資格もいらねえんだよ」
リョウに促され、ナナは震える手でスプーンを握った。
肉とウニ、そして大トロが乗った温かいご飯をすくい、おそるおそる小さな口へと運ぶ。
パクッ。
その瞬間——。
ナナの全身の細胞が、歓喜の悲鳴を上げた。
舌の上に広がる、熟成された和牛の上質な旨味。
とろけるように広がる生ウニの甘みと濃厚なコク。
温かいご飯の香ばしさと、鼻を抜ける芳醇な香り。
「あ……あ……っ」
ナナの瞳から、大粒の涙がボロボロと溢れ出してきた。
脳内でドーパミンが分泌されているからではない。計算プロトコルが反応しているからでもない。
22年間、暗い缶詰めの中でただ数字を処理するだけだった彼女の「生きている生体心臓」が、初めて『生きる歓び』に震えていた。
「美味しい……っ! すごいです……胸が……胸の奥が、こんなに熱くて……あたたかいです……っ!」
「だろ!?」
マルコが自分のことのようにボロボロと涙を流しながら、ナナの頭をワシワシと撫で回した。
「それが『味』ってやつだ! 人生ってのはなぁ、美味いもんを食うためにあるんだよ!」
「はい……! はい……っ!」
ナナはボロボロと涙を流しながら、一生懸命に二口目、三口目を口へと運んだ。
その光景を、リョウは満足そうに微笑みながら見つめ、特上サーロインを口に放り込んだ。
『うふふ、マスター。アマルテアを手に入れたことで、当艦の弾薬・資材・食料の補給は実質的に“永久に不要”となりましたよぉ〜!』
ノクターンがリョウの隣にふわりと舞い降り、得意気に胸を張った。
『これでどんな危険宙域でも無制限に作戦行動が可能です! ……ですがマスター。私、気付いてしまったのですぅ……』
「ん? なにをだ?」
『アマルテアの分子構成データと私の記憶を照合したのですが……10大聖遺物をすべて集めて私の肉体がLevel 3のフルスペックになれば……本体の最終形態はなんと「惑星級機動要塞」になるのですぅ〜! 内部に完璧な生態系を備えて、100億人でも楽〜に暮らしていけますよぉ〜!』
「ひゃっ、100億人だと……!? 一個の国家どころか主要惑星の人口が丸ごと引っ越せるじゃねえか!」
マグロを喉に詰まらせかけたマルコが叫ぶ。
ノクターンはパァァと頬を染め、リョウの顔をじっと見つめながら、もじもじと指先をつつき合わせた。
『そしてですねぇ……マスター。肉体(アマルテア&アスクレピオス)がLevel 3になれば、私は完璧な生身の肉体を獲得できますので……**マスターたちの赤ちゃんを大量に数千匹でもぽんぽん行けますよぉ〜♡**』
「「「数千匹!??!?」」」
マルコとシルヴィア、そして涙を拭いたばかりのナナまでが素でひっくり返る中、操舵桿を握るリョウだけが、一切表情を変えずにボソッと言い放った。
**「そんなにいらねえやっ」**
『ううっ!? 即答で断られましたぁぁ〜〜〜っ!? 100匹……いや、せめて10匹だけでもダメですかぁぁ〜〜っ!?』
「単位を『匹』にするのをまずやめろ」
『はいぃ!わかりましたぁぁぁ~。じゃあぁ100体からにしましょ!』
「それもやめろ!クリーチャーかMOBみたいに言うなあぁ!」
船内に爆笑と賑やかな歓声が響き渡る。
アトランティス社を出し抜き、無限の美食と最高に愛おしい新たな仲間「ナナ」を手に入れたチーム・ノクターン。
彼らの「銀河中の聖遺物を横取りし、最高のご馳走を喰らい尽くす大冒険」は、さらに加速して次なる標的——連邦の『プロメテウス・コア』へと向かっていくのだった——!
次回、第3章第4話(通算第22話)!
**『次なる標的! 連邦最前線要塞とプロメテウスの影』**
無制限の補給を手に入れたチーム・ノクターン!
ブラックホールダイブに必要な「無限エネルギー(プロメテウス・コアLevel 2)」を狙い、連邦特務八局が誇る鉄壁の最前線要撃要塞への作戦を開始します!
「ナナちゃんが泣きながらご飯を食べるシーンに感動した!」「マルコの海鮮への情熱が最高!」「リョウの『そんなにいらねえやっ』のツッコミで腹抱えて笑った!」と思ってくださった方は、ぜひブックマーク登録や評価をいただけますと大変励みになります!
次回更新もどうぞ期待してお待ちください!




