第10話:死宙域の要塞レテ! 潜入とハッキングの嵐
【前書き】
本日もお越し頂きありがとうございます。
「なあノクターン、もったいぶらないで早く言えよ! その『アカシック』ってやつはどこにあるんだ!?」
『じぃつはですねぇ〜、銀河の中でも生命体生存可能域というものがあるんですけどぉ、それらは銀河中央よりも外側でぇ……本来生命がいられない宙域に、アカシックはその性格上、バルジの中央付近に鎮座したがるんですよぉ。ほら、ブラックホールっていう情報の最終場所というかぁ〜』
「はぁぁぁ〜〜〜!? ブ、ブラックホールぅぅぅぅぅ〜〜〜!?? そんなの入ったら二度と出られねぇじゃんか!!」
『ふふん! そこは私の“空間歪曲能力”が効いてくるんですよぉ! 超重力の中に潜ると時間も無限に進むっていうじゃないですかぁ。それを私の空間歪曲を使えばぁぁ〜、時間も空間も捻じ曲げて、元の時間軸に戻ってこれるわけですぅぅぅ〜!』
「……空間だけじゃなくて、時間遅延まで捻じ曲げる気かよ……相変わらずとんでもないバケモノだな」
『ええっ! 実は銀河恒星連邦が「死宙域」と呼んで接近を固く禁じている【銀河中心バルジ近郊データアーカイブ要塞・レテ】、ここには『アカシック・レベル2』が収められていることだけは私も知っていたんです。ですが、さらにその奥……ブラックホールの事象の地平面ギリギリに『レベル3』が隠されているんだと推測しているんですよぉ!』
「なるほどな……! まずは連邦の『要塞レテ』からレベル2を奪取して、レベル3の正確な空間位置を特定する。そこからノクターンの空間歪曲で一気に飛んで、トンボ返りしようってわけだ!」
「怖ぇ……怖ぇけど……極上の肉とウニと宝の地図のためだ! 行ってみようぜーーっ!!」
というわけで、死宙域への突入作戦!
第2章第10話、怒涛のハッキング&強奪シークエンス、行ってみましょう!
漆黒の宇宙が、徐々に異様な「狂気」を孕んだ光に染まっていく。
視界の先にあるのは、銀河系の中心——無数の星々が超高密度でひしめき合い、荒ぶる放射線と重力波の嵐が吹き荒れる【銀河中心バルジ】。その中心に鎮座するのは、あらゆる光と物質を呑み込む超巨大ブラックホールだった。
通常の宇宙船であれば、近づくだけで強力な潮汐力によって艦体が粉々に引き裂かれ、乗組員は放射線で即死する。連邦がこの宙域一帯を「死宙域」と定め、航行を固く禁じているのも当然の処置だった。
だが——。
「おいおいおい……マジで生きた心地がしねえぞ……」
ノクターンの全天周ホログラムモニターを見上げながら、マルコが引きつった顔で額の汗をぬぐった。
モニターのすぐ先には、重力でねじ曲げられた光の輪が不気味に渦を巻いている。そして、その死の宙域の手前、漆黒の小惑星に寄生するように築かれた巨大な金属要塞が浮かんでいた。
連邦暗部(特務八局)が管理する極秘情報保管庫——【データアーカイブ要塞・レテ】である。
「安心してくださいな、マルコ様!」
空中を漂うノクターン(ARメイドモード)が、ニコニコと笑顔で胸を叩いた。
『私の『空間歪曲フィールド(Level 1)』が、要塞の周囲に吹き荒れる重力波も放射線もすべて明後日の方向へ滑り滑らせていますからねぇ! 船内はマイナスイオンたっぷりの快適空間ですよぉ〜!』
「放射線をマイナスイオンみたいに言うんじゃないわよ……」
コンソールに向かうシルヴィアが呆れつつも、目を輝かせる。
「でも凄いわ、リョウ。要塞レテの防衛システム……連邦の最高機密レベル『オメガ』で自動化されているけれど、この超重力環境のせいでセンサーにわずかな“重力ノイズ”の歪みが生じているわ!」
「ああ、ノクターンの言う通りだな」
リョウは操舵桿を巧みに操作し、空間歪曲で機体の熱源と反応を完全に消しながら、要塞の死角である「廃熱ダクト」の直近へとノクターンを滑り込ませた。
「敵は『こんな死宙域に接近できる船など存在しない』と高を括っている。……連邦の暗部様を、運び屋のやり方で出し抜いてやろう」
『ふふふ、お任せくださいマスター! 敵のメインサーバーへのハッキングは、私のAGIレベル3の頭脳と、マスターたちの“型破りな現場の知恵”のコラボレーションで行きますよぉ〜!』
◇
要塞レテの最深部——絶対ゼロ度に保たれた超量子データサーバー室。
そこでは、連邦特務八局が極秘裏に回収した古代技術や、銀河中の禁忌の情報が静かに保管されていた。
通常、ここへアクセスするには「連邦元帥クラスの生体ID」と「リアルタイムで変化する三重の量子暗号鍵」が必要であり、外部からの侵入は100%不可能とされていた。
だが。
『マスター、敵の第1セキュリティ『量子暗号障壁』に到達しました! 普通に解読しようとすると3秒かかってしまい、アラームが鳴ってしまいます!』
「3秒で鳴るのかよ!? ノクターンの頭脳でも無理なのか!?」
マルコが叫ぶ。
「いや、待て!」
リョウが不敵にニヤリと笑った。
「ノクターン、要塞の外部冷却パイプのバルブ回路を、ほんの0.1秒だけ逆流させられるか?」
『え? はい、排気系のローカル回線なら1ミリ秒でハックできますが……それをするとどうなるのですかぁ?』
「この要塞は超重力線の影響で、冷却系の液化窒素の循環が常にギリギリの圧力で保たれているはずだ。パイプを一瞬逆流させれば、サーバー室の温度センサーが『急激な熱暴走』と勘違いして、緊急冷却の自己診断モードに入る!」
シルヴィアがピンと来て膝を打った!
「そうか! 自己診断モードの間、セキュリティシステムは一時的に『メンテナンス・プロトコル』に切り替わって、暗号鍵の更新が0.5秒間ストップする!」
『まあっ! なんという現場の構造を知り尽くした悪知恵……いえ、素晴らしい運び屋の知恵ですマスター! 冷却バルブ、逆流スタートですぅ!』
ズズズン……!
要塞全体に微かな振動が走り、サーバー室の警告灯が黄色く点滅を始めた。
『システムメッセージ:冷却ライン圧力異常。自己診断プロトコル移行——暗号更新を0.5秒停止』
『今です! AGIレベル3・高速思考割り込み——完了! 第2、第3セキュリティ、一瞬で突破しましたぁ〜!!』
ノクターンのホログラムが歓喜の声を上げるのと同時に、ブリッジのメインモニターに、要塞レテが秘匿していた最深部データベースが怒涛の勢でダウンロードされ始めた!
「よしっ! 奪取成功だ!」
マルコがガッツポーズを決める。
「ノクターン! お目当てのものはあったか!?」
リョウの問いかけに、ノクターンの瞳が怪しく光った。
『はいっ! 連邦が隠し持っていた【アカシック・レベル2】のデータライブラリ、完全強奪完了です!……そしてマスター、私の推測は正しかったですよぉ!!』
ノクターンはホログラムの指揮棒で、モニターの背景にある「ブラックホールの中心」を指し示した。
『要塞レテのレベル2データの中に、本物の『アカシック・レベル3』が発している高次元思考波の【真の空間座標】が記録されていました! ……存在場所はやはり、あの超巨大ブラックホールの事象の地平面のわずかに内側……超高重力圧縮領域です!』
「マジかよ……本当にブラックホールの“中”にあるのかよ……!」
マルコがゴクリと生唾を呑み込んだ。
「行くぞ」
リョウは迷いなくスロットルレバーを握り直した。
「レベル2のデータで、銀河中の最新の地図と裏取引ルートの半分は手に入った。……だが、ブラックホールの奥にある『レベル3』を手に入れなきゃ、10大聖遺物のすべての座標も、1000年前の幻の和牛の遺伝子データも手に入らないんだろ?」
『はいっ! レベル3と私のAGIが完全同期すれば、時空を超えた“全知の宝の地図”が完成します!』
「シルヴィア、ノクターンの空間歪曲エンジンの状態は!?」
「バッチリよ! 重力波の反動を利用して、ブラックホールへ飛び込む準備はできてるわ!」
「よし……ノクターン!」
リョウの叫びが響く。
「時空をねじ曲げて、ブラックホールの底から『宝の地図』と『ご馳走の未来』を横取りして、トンボ返りしてやるぞーーっ!!」
『アイアイサー、マスター! 【時空・重力反転歪曲ダイブ】起動! ブラックホールの中へ……いってきま〜すですぅ〜!!』
ノクターンの漆黒の機体が、眩い青紫色の光の渦となって超巨大ブラックホールの呑み込まれる闇の中へと、一直線に飛び込んでいった——!
【後書き】
最後までお読みいただき、ありがとうございます!
要塞レテへの潜入と、リョウたちの「現場の知恵(冷却システムの逆流)」を利用した見事なハッキング&強奪!
『アカシック・レベル2』を手に入れたチーム・ノクターンは、ついに本物の『レベル3』が眠る超巨大ブラックホールの内部へと飛び込みました!
時間も空間も引き裂く超重力の世界で、ノクターンの空間歪曲能力とAGIレベル3が真の威力を発揮します!
次回、第2章第11話(通算第17話)!
**『事象の地平面を超えて! 覚醒のアカシック・レベル3』**
時間の進みが無限となるブラックホール内部で、ついに『アカシック・レベル3』と同期!
10大聖遺物の全貌、銀河中の絶品食材マップ、そしてシルヴィアの先祖の真実が一気に解き放たれます!
「ハッキングの現場の知恵がカッコいい!」「ブラックホールダイブへの疾走感がたまらない!」「いよいよレベル3解禁でワクワクする!」と思ってくださった方は、ぜひブックマーク登録や評価をいただけますと大変励みになります!
次回更新もどうぞ期待してお待ちください!




